6話 スクープ
僕は、週刊誌の記者として、超能力者が存在しているらしいという情報を得ていた。
しかも、日本政府を転覆しようとしているらしい。
都市伝説のような話しだが、どうも本当らしいという周辺情報があり、調べることにした。
最初に目をつけたのは、顔、体を変えて他人になりきれるという超能力者だった。
そんなことがあり得るんだろうか?
そんな事があれば、誰でも騙されてしまう。
まずは、その人の尾行から始めた。
かなり古い2階建てのアパートに住み、とても質素に暮らしていた。
超能力者だからといって、儲かるわけじゃないみたいだ。
超能力者でないのかもしれない。
こんな貧しい服を来ている人が超能力者なのか?
諦め、尾行をやめようと思った頃だった。
部屋から女性が出てくるじゃないか。しかも、おしゃれな服を着た美人。
あんな貧しい生活をしている男性が、あんな美人と付き合っているのか?
違和感を感じて、その女性を尾行することにした。
その女性は、雪が降り始めた六本木に行き、ある女性と話していた。
なにか揉めているようだ。
最初は、別の女性が笑顔いっぱいで駆け寄り、近づいた途端、顔は凍りついた。
5分ぐらいだろうか、2人の女性は言い争っていたけど、駆け寄った女性はうなだれた。
そして、2人は別の方向に歩いていく。何があったのだろうか。
僕は、超能力者と思われる男性の部屋から出てきた女性の尾行を続けた。
その女性は、暗い公園に入り、周りを見渡した後、なんと男性トイレに入っていった。
どういうことだろうか。あの女性は、どうして男性トイレに?
その女性はトイレの個室に入った音がしたので、僕は中を覗いた。
個室以外には誰もいない。
そして、驚くことに、その男性トイレから尾行していた男性が出てきたじゃないか。
その男性がトイレに入ったことはないはずなのに。
これは、自分の顔、体を変えられる超能力者ではないかと疑念を持った。
もしかしたら、さっき話していた女性も超能力者なのかもしれない。
その後も、そのアパートを張り、不在の時に忍び込んで隠しカメラをセットした。
そして、驚くべき映像を入手したんだ。その住人の顔と体が変化していく映像。
これは大スクープだ。世の中に発表すれば、僕は一流記者となれる。
俺は、この超能力者に声をかけようかとは思ったけど、警戒されて逃げられても困る。
映像はフェイクだと言われてしまうかもしれない。
その時、政府が超能力者を抹殺しようとしているという情報が入ってきた。
その中心は公安だとか。そこで、公安にアクセスしてみることにした。
公安の食いつきは良かったが、映像を見せたところ、特に驚いた雰囲気はなかった。
「これって、フェイクじゃなくて、信じてください。」
「大丈夫です。このような超能力者がいることは我々も知っています。」
「そうなんですか。でも、一応、確証がないと記事にできなくて。」
「そうですよね。では、公安メンバー10人とリアルで、顔と体を変える映像をリアルで見ましょう。そこまで証人がいれば、本当だと言えるでしょう。」
「そうですね。お願いします。」
僕は、10日程度、様子をみていると、公安の前で、その男性は顔を変え始めたんだ。
これで証明できる。これを世の中に出せば、俺は、世界でも一躍有名になれる。
これで、聡子も、結婚する人が、世界で名の通っている有名な記者だと自慢できるだろう。
聡子は喜んでくれるに違いない。
俺は、聡子がお父さんと赤い絨毯のバージンロードを歩いてくるのを、愛らしく見ていた。
その時、公安は、すでに、あのアパートに住む超能力者を抹殺していることに気づかず。
しかも、俺に向って進む聡子も超能力者だということも知らずに。
そして聡子も、公安から狙われているということも。
そもそも、公安は、聡子を追っていく中で、僕もマークしていた。
そして、スクープの餌をちらつかせ、他の超能力者の存在をあぶり出した。
聡子の暗殺で、僕も犠牲になってしまうことを前提として・・・。
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