第9話 怖すぎる最後の手紙


「銃を……銃を下ろせ篠織!!」


「これ以上僕に一歩でも近づいたら、○ロシますよ!?」


「私の表現が、読者のミスリードを誘った『風な』書き方になったのは謝る!

 君が女性なのは見ればわかることだ!」


「そこじゃないんです!! 僕をそんな目で見てたんですか!」


「それは、ない!! それだけはない!! それは……この手紙を読んでくれればわかってくれるはずだ!!」


「もう何も読みません! 所長の書いたものは、金輪際受け入れません!!」


「いいか篠織よく聞け!!

 どうして我々は……わざわざこんな地下室で『あたらしいホラー』なんて書かされている!

 誰に書かされている!」


「知りません!」


「それが……ここに書いてある。俺を撃ち殺すのは、これを読んでからにしてくれ……」


「…… ……」


篠織は、軍用のマークスマン・ライフルを下ろし、私の書いた手紙を広げた。


それは、原稿用紙に書かれた手紙だった。


その隙に私は、逃げるように地下室から出て行った。





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『怖すぎる、最後の手紙』


ルールなどはない。それが、一番厄介なルールなのかもしれない。

一番大きなキーは、つまりは『かきつばた』という事なのだ。それを忘れるな篠織。



 私は、ホラーのルールを覆えして、『あたらしいホラー』という概念を構築しようとした。

理由は君にあったんだ篠織。

私は、君の才能に嫉妬していた。


 何度も何度も、君に負けまいと作品を書いては、君を驚かせようとしていた。

だが結果は、君が評価してきた通りだ。

ルールがないとしながら、ないはずのルールをいざ破れば頓珍漢な文章になる。

どうやらこれが、ホラーというゲームのルールだ。


この事実に気づいた時、私は君を何度も殺そうとした。


 だが案ずるな。君がこの手紙を読んだ時点で、すでに私の『あたらしいホラー』は完成した。

我々は、第三の壁すらも破り、新しいホラーの構築に成功したのだ。





追記


……どうした。もしかして例の殺人サイボーグと、いつもの展開を待っているのか?

心配するな。すぐ来る。

ところで……

お前(達)は、ZT-KLS666というフラグさえ回収すればと、後半にだけ神経を尖らせて物語を読んでいたようだが、

それこそが私の用意した罠だったのという事に気づいたものは一人でも居ただろうか?



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