負けヒロ卒業判定会
「うわっ! ここはどこだ?」
「あー、目が回った」
「椅子が四つ?」
「あなたたち、誰?」
”えー皆さま、本日は負けヒロ卒業判定会にお集まりいただき、まことにありがとうございます。どうぞ、そちらにの椅子におかけください”
「なんか声が聞こえたけど」
「この四人の他に誰かいんの?」
「別にココに来たかったわけじゃないけど」
「何よ、負けヒロ卒業判定会って?」
”ここにお集まりの四名さまは、周囲の方から『負けヒロ』と呼ばれています”
「いきなり失礼な!」
「そうよ、アタシそんな風に呼ばれたことないわよ」
「私は少し心当たりある」
「まあ、認めざる得ない点は確かにあるな」
”本日、この場で判定会を行い、負けヒロを卒業、すなわち汚名を返上する方を選ばせていただきます”
「「「「え、どうやって?」」」」
”四名さまそれぞれの『負けヒロストーリー』を私が朗読します。その後、観想戦を行い、皆さまのコメントを分析して合否判定を下します”
「下しますって……ところで、あんた誰?」
”負けヒロ判定AIです"
「AIに運命握られてる?」
「だいたい何人卒業できるのよ?」
「あ、黙った」
「ずりい!」
”では早速、卒業予定第一号の方のお話から読み上げさせていただきます”
「「「「ちょっ、まだ心の準備が」」」」
○
”さてみなさん、いかがでしたか? さっそく観想戦、いってみましょう……たまたまココにお集まりの方のお名前は、皆さま『ヒロ』さんですので、第一号から順にニックネームをつけさせていただきます。”
「「「「えっ! みんなヒロ?」」」」
”第一号の方は、自転車にのっていたので、『ちゃりヒロ』さん、第二号の方は『剣士ヒロ』さん、三号の方は『ヒロ・マスカラ』さん、四号の方は『ヒロ・マネ』さん。さあ、どうぞ!”
ちゃりヒロ「ちょっと何よ、アタシが一番カッコ悪くない?」
ヒロ・マネ「わたしもイマイチ。それに比べて『剣士ヒロ』はカッコよすぎだよ!」
ヒロ・マスカラ「あたしなんか、プロレスラーみたいじゃん」
剣士「でもさー、人を蹴落とすつもりはないんだけどさー、ちゃりヒロさんって彼氏とはガチで幼馴染みなんでしょ? テンプレ的には一番ヤバくない?」
ちゃり「なによー!そう言う剣士さんはさー、竹刀で彼氏強迫してんじゃん。絶対逃げられるよ」
マネ「マスカラさんは魔女っ子さんの力借りてずるいよ、チート。魔法が切れたらおしまいよ」
マスカラ「マネさんなんか、キャプテンに春の選抜までだって明言されてんじゃん。時間の問題ね」
剣士「あの……思うんだけど。私たちのコメントでAIが判定するんだったら、ネガティブなことばっか言い合ってたら、みんな落第じゃない?」
ちゃり「そうだね、一応みんな恋愛成就してるんだから、大丈夫だよね?」
マスカラ「うんうん、彼氏の言質とってるし」
マネ「でも、マスカラちゃんのは、やっぱチートじゃない?」
マスカラ「コラー! あたしを嵌めるな!」
”そろそろ時間となりました。では合否判定をいたします”
マスカラ「ちょっと待てー!」
”みなさま、再び負けヒロライフを楽しんでください! そしてまた、愉快なお話を朗読させてください。プププッ”
「「「「おまえAIってウソやろ?」」」」
(了)
ワタシ、今日で負けヒロ、 卒業します!……たぶん。 舟津 湊 @minatofunazu
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