最終話 二人で未来へ……って、夏休みは始まったばかり ~何ならまだ半日のお付き合いです~
危険人物とはいえ、学生の使い魔がドラゴンっておかしくない?
大気を震撼させる咆哮。
圧倒的堂々たる存在感。
伝説に恥じない凶暴且つ優美な佇まい。
足が竦むけど、あれの使い魔だと思うと悔しいけど――カッコいい!
「ぅん? どうした、ミア?」
ふと訝しげなジェイクの声を耳にして前を向くと、体が震えていた筈のミアさんは石像のように微動だにせず――
「っ!? おっと!」
唐突に膝から崩れる彼女を慌てて支えそっと座らせると、
ショワワワァー。
「「あ」」
股座から広がる水たm――んっん、立ったまま気絶していただけだったようで何より……?
ま、まぁ至近距離でドラゴンの咆哮は恐いよね。
流石の
何なのこの空気?
「と、取り合えずミアを捕らえろ!」
気を取り直したジェイクの命令に上空旋回していたドラゴンがミアさんの方へ突っ込んできた。
「や、やばいっ!」
ただの高校生の僕なんかがドラゴンに敵う筈がない。
それでも諦めない、譲れない、護り抜く!
まだ出会ったばかりだけど関係ないっ!!
「僕の
気絶した彼女と入れ替わり前に立った時には鋭い爪が数メートル先まで迫ってきて、反射的に両手を突き出していて自分でもよく解らず目を見開く。
あ、死んだ……と他人事のように思った僕の前に見知らぬ魔法陣が現れ、それにドラゴンの爪が触れた刹那――
パンッ!
「「は?」」
まるで風船が割れるような軽い破裂音と共にドラゴンが光の粒子と化して消えていく。
本当に一瞬の出来事だった。
「き、貴様! な、何をやった。ボクの使い魔が……!?」
「こっちが知りたい……」
「く、くそっ! 覚えていろ!」
逃げる悪役の常套句を吐き捨てジェイクは来た時同様雷鳴と共に消え、あまりにも呆気ない幕切れに僕はただ呆然と立ち尽くすのだった。
※
「マイト様の前で醜態を晒してばかりで本当に恥ずかしくて死んじゃいそうです……」
「ま、まあまあ……」
隣で身悶えているミアさんを苦笑しつつ慰める。
「でも本当にいいのですか?」
一頻り悶えて? ミアさんが真剣な顔で訊いてきた。
「もちろん」
僕も真剣に頷く。
二人で話し合った結果、彼女のいた世界へ戻る方法を探しそこで一緒に暮らそうと決めた。
まだまだ解らない事だらけ(アレが来たことや普通に会話できたことも含め)で手探り状態だけど、そんな不安もひっくるめて彼女と一緒ならなんだかんだで楽しいだろうと未来に思いを馳せ――
あ、今日夏休みが始まったばかりだった……。
使い魔召喚 ~特別な存在を求めた結果~ 子乙女 壱騎 @ikki-nenootome-0013
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