第9話 危険人物襲来

 雷鳴と共に降り立ったその人物はスカイブルーのロン毛を緩く束ねた高身長のイケメンだった。


「やっと見つけたよ。ミア」

「ジェイク……」


 いきなり現れたイケメンは僕のことなど眼中になく、華やかな笑顔でミアに手を伸ばしたが、当の彼女は若干怯えた様子で僕の後ろに隠れる。

 パッと見た感じミアと同じ学園の生徒なんだろうけど……って、馴れ馴れし過ぎない? イケメンなら許されるの?


 そんな彼、ジェイク? は僕とミアを交互に見て、さらに改めて彼女の姿を凝視したのち憤怒の表情で僕を睨む。


「き、貴様っ! ミアにな、なんて破廉恥な格好を強いている! 彼女はだっ!! 貴様を生かしてはおけないっ!!」


 あー、彼女は今裸に首輪を付けただけの人様の前でしていい恰好ではないよね……。

 それを差し引いたとしても、彼の暴言は聞き捨てならない。


「ジェイク、だっけ? いきなり人んに上がり込むだけならまだしも、彼女を所有物もの扱いするのは失礼じゃない?」

「馴れ馴れしくボクの名を呼ぶなっ、指図するなっ。この盗人風情がっ! さあ、ミアもボクの許へ戻っておいでっ!!」

「……って、彼が宣ってるけど?」


 リアルで「この盗人風情がっ!このセリフ」を聞く事になって軽く引きつつミアさんに確認すると、彼女は怯えたまま首を振った。


「いやだって」

「き、貴様……いいだろうっ! ボクの手自ら葬ってあげようっ!!」


 うわぁっ、マジで人の話を聞いてないっ!?

 しかもこっちに向けられてる両掌に雷光が閃き奔ってるんだけどっ!?


「やめてくださいっ!!」


 戦慄する僕を庇うようにミアさんがジェイクの前に立ちはだかった。


「ミア……どうして?」

「あなたが相手であろうとも御主人様、マイト様に危害を及ぼす者は絶対に赦しませんっ!」

「んなっ!?」


 依然、体が震えていることも厭わず毅然と言い放ったミアさんの言葉にジェイクが絶句して膝から頽れる。


 こんな状況だけれど、不謹慎にも僕は嬉し過ぎて密かに彼女ミアさんを抱きしめたい衝動を必死に抑えていた。


「ふ、フフフ。そう……だけは使いたくなかったんだけど、仕方ないよね?」


 文字通り負のオーラ全開のジェイクが手を掲げた瞬間、魔法陣が浮かんだ。


「いけませんっ!」


 いち早くミアさんが反応したと思ったら、瞬時にリビングから何もない空間異次元の中に僕たちはいて、




 遅れること数秒、魔法陣から顕現姿を現したのは伝説の魔獣――ドラゴンだった。

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