第6話 神域の森調査
決めたら即行動のギルマス
他の仕事も放棄して風の足跡のギルドハウスへと向かう。
後ろの方で何やら副マスターが叫んでいるが気にしない。
(がんばれ副マス)
街の人はギルマスを見ると挨拶をしてくる。
どこ行くのーとか小さい子が駆け寄って来てよじ登ろうとしてくる。
ギルマスはこの街の出身で自身は戦争孤児だった。
街のみんなが家族と言えるほどお世話になり恩返しのため私財の大半を街に寄付している。
また、モンスターパレードが起きた際は自ら前線に立ち対処した経歴もあり街の英雄と言われている。
街の人々を本当の家族のように愛しすぎてて結婚もしていない。
ただ街の人もその気持ちは分かっているため同じようにギルマスを慕っている。
ただ、たまに豪快なのは呆れているが。
よじ登ろうとしてきた子どもを肩に乗せてやると近くの露店で串肉を買い子どもに渡す。
その際に子どもがタレをこぼしてギルマスについてもギルマスは注意もしない。
露店の大将もそれを見てギルマスの分をサービスするのであった。
風の足跡のギルドハウス前で子どもと別れ、
敷地内に足を踏み入れる。
ノックもせず扉を開けると戦闘に入りそうな雰囲気を感じる。
ふと、自身の後ろと左右を確認して一言。
「なんだ?この街に敵でもいるのか?」
カイル達
「お前のせいだ!!」と怒る。
見事にハモった。
ナディア
「ギルマスも魔物じゃないならノックぐらい覚えましょうか?」と怒気をのせつつ嫌味も忘れない。
ギルマス
「悪いな、今度から気をつける。」
嘘である。
「お前さんらに頼みたいことがあってな来てみた。詳細はギルドで話す。」
カイル
「呼び出しを職員に頼めばよかったのでは?アホですか?バカですか?本当にギルドマスターなんですか?」とナディア以上にキツイことを言う。
タジキは興味をなくして自室に戻った。
ギルマス
「それもそうだな。今度からそうする。」
嘘である。
じゃあ早めによろしくと言いギルマスは去っていく。
ギルド会議室にて
お前らが遭遇した魔物の生活圏が知りたいのと危険度合いを確かめる必要があり、この依頼を出したんだがA級パーティ以上が1組足りてない。
参加してくれないか?
カイル
「…………………確かにこのメンツにギルマスもいれば生存率は高いでしょう。
ただ我々はエリュクシルが目的です。
場合によってはそれを優先してもいいなら受けます。」
タジキとナディアも頷く。
副マスター
「優先とはどういった形でしょうか?
奇跡的にエリュクシルが見つかった場合にその後の調査はやらないとなると厳しいかと。」
(マスターはすでに防具をつけようとしている)
ナディア
「見つかった場合は長期保存が効く液体に入れるので大丈夫ですが、命の危険を感じた場合にはパーティ及びエリュクシルを優先します。」
副マスター
「いいでしょう…マスターもいいですね?」
マスターは
「あ?あぁ」
(おそらく聞いてない)
副マスター
「では任務の他のメンバーは下にいるのでお願いします。
また、補給部隊は物資の関係上で多少遅れて向かいます。」
1階にて合流をする。
ゴンザがお前らかよと分かってたくせに悪態をつく。
ちなみにゴンザ以外のパーティメンバーは強いものには噛み付かないが弱い奴にはすぐ噛み付くタイプである。
では行くぞーと久々の任務でテンションが高すぎるマスターを先頭に森へと向かう。
道中、ゴンザのメンバーの1人である弓使いがカイル達に聞く。
「このメンツなら例の魔物に勝てるか?」
横を歩いていたナディアが無理よ。と即答する。
カイルも、よくて逃げれるだけだと確信して言う。
弓使いは険しい顔で身を硬くするのであった。
〜神域の森中〜
神域の森、2日目
(1日目はかなり浅い層を調査して補給隊のとこに戻った。休憩等の見張りも補給部隊の仕事である。)
結構、魔物がいないもんだな
俺らも中の方で活動するか!?と気軽なゴンザ
それもそのはず、神域の森にいる魔物は群れが少ない。群れがいたとしてもより強い魔物によって淘汰されてしまうのだ。また、強い個体は比較的に知能が高いのが多い。
今も狙われている可能性があるのだ。
そのことを知っているカイル達は警戒態勢を解かない。マスターもそれを見て警戒態勢である。
それらを察してゴンザ以外のメンバー全員も警戒している。
要はゴンザは強いが頭が足りないのだ。
しばらくすると濃密な魔力の存在をゴンザのパーティの斥候が気づく。
「やばすぎる!!!全員!迎撃態勢を!!」
全メンバーが緊張状態となる。
さすがのゴンザもメンバーの叫びに警戒する。
5分たっただろうか感覚としては3時間もここにいた気がする……
全員が冷や汗をかき始める。
まだカイル達はいい。覚悟は出来てた。
ただマスターとゴンザパーティは震えが止まらなくなる。
マスター
「これは…ダメだ…すまないなみんな。
殿は俺が務める。危険となったら即座に逃げろ。」
ゴンザパーティは既に逃げれないほど足から根を生やしてしまった。
しかし、一向に脅威が来ない。
そう魔力が大きすぎて遠くからでも分かってしまったのだ。
銀色の狼型魔物は狩りではないため魔力を抑えることをしてなかったために
冒険者からすると生死がかかった魔力を感じることになる。
我side
ふむ、警戒してる理由は分からぬが住処も知りたいし、食べたらより話せるようになるかも聞きたい。
行くか… (ある意味で処刑宣言である)
〜会合〜
何用だ?
ゴンザパーティのゴンザを含めた半分が気絶した。壊滅である。
マスター
「やはり話せるのか。
後ろにいる者たちの報告により、危険度合いの確認をしに来た。
こちらに貴殿を攻撃する意思は全くないが、貴殿の恐ろしい魔力によって警戒しているだけである。
こちらとしては話し合いが出来ればと思っている。」
マスターは魔物の検討がついていた。
彼は幼き頃に父親からもらった絵本を今だに大事に保管している。
もはや遺品となったその絵本に出てくるのが勇者とフェンリルなのである。
定かではないが似ている。
風の足跡パーティは近くに来た魔物を視認し、武器をしまう。
少しでも敵意がないことの意思表示だ。
ただ足はおかしいくらいに震えてはいる。
勝てる要素など1つもないのだ。
我
「話し合いか……好都合だな…だが先に我の質問に答えてもらう。その後、気が乗れば質問に答えてやろう」
調査隊は承知しましたと頭を下げる。
(うん?頭から食って欲しいのか?話し合いなのか?と邪推する)
「一つ目だが、お前らの種族を食えば能力が身につくか?それと住処を教えよ?」
調査隊の警戒度が跳ね上がる。
マスターでさえ大剣を前に出さざるを得ない。
カイル
「僕らを食べても能力は身につきません。他の魔物を食べても能力が身につかないのと同じです。住処はこの森を抜けてしばらくすると街があります。その街はガリルール帝国のツヴァイ子爵領となっています。」
ナディア
「食べないでくださぃ……」
我
食べたいわけではないのだよ
不味そうだしなと軽く反論すると
調査隊は微妙な顔つきになる。
街か………こやつらの食料を食べてみるのも一興か。
それでお主らの質問は?
マスターが緊張を解かず応える
「我々人間を滅ぼす気はありますか?
また、この森自体は貴殿の物なのでしょうか?」
我
「場所も聞いたことだし、攻撃してきて邪魔であれば滅ぼすかもな。
この森は別に誰のものでもない。ただ我より強いものはおそらくいない。
おー質問が思いついた。
なぜ震えたり汗をかいたり気絶してるのだ?」
調査隊が魔力の多さを指摘する。
すまなかったと魔力を抑える。
抑えたところで冒険者で言うS級の魔力量なのだが、幾分マシになる。
ちなみにS級のカイルが魔力を抑えるとC級以下に見られるくらいにはなる。
我は思いのほか、会話が楽しいことに気づく。
ゆっくりと地面に伏せるように座る。
我、最強!誘惑に弱し。 @nearnow
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