一般病棟〜退院まで

 一般病棟へ移った日。

 息子は全く眠りませんでした。眠薬も効かず、単語を喋り続け、気づけば朝でした。

 私も点滴が抜けないようにと気を張っていたのと、息子とのお喋りが嬉しくて眠気は訪れず。

 かなり動けるので麻痺はないでしょうと言われましたが、足が氷のように冷たく「寒い」と言っていました。


 次の日、まだ目線は真っ直ぐ向けられず、体も自分では起こせません。

 記憶障害で家族のことが思い出せなくなることもあるそうですが、面白かった動画を思い出して笑い始めたので、大丈夫そうだなと思いました。


 この日は眠薬が効き、四時間ほど眠りました。言葉はだいぶ話せ「怖い。救急車の音。目を開けたら地獄だった」と何度も言いました。心に大きな傷が出来てしまったことに泣きそうになりながらも、冷たい足をさすって、手を握ってそばにいました。


 食事は介助すれば食べられましたし、足に温かみが戻り、トイレもできるように。

 歌も歌えるようになり、リハビリも毎日三回、言語・歩行・認識に関係するものを続けました。


 あと、子供の回復は本当に早くて、約一週間で話し方は元に戻り、ゲームまで出来るように。

 早朝から院内を散歩。これが良いリハビリになり、もっと動けるように。

 けれど、体力はまだ戻っていませんので無理をし過ぎないように注意が必要です。


 頑張っていた理由は、家族に会いたい。

 友達に会いたい。

 引っ越してしまう友達の見送りに行きたい。

 という、真っ直ぐな願いでした。


 息子の努力の結果、約三週間で退院。

 ほぼ体の機能は戻り、発達検査も問題なし。

 頑張ったね、奇跡だよと、たくさんお言葉もいただきました。

 入院中に関わった病院の皆様からの寄せ書きは、大切な宝物です。

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