病院到着〜MRIを撮るまで
無事到着。ですが、知らない病院だったこともあり、症状が悪化。
救急隊員の方がずっと励ましてくださり、「頑張ってね、〇〇くん」と声をかけて病院をあとにされました。
小児科の先生がすぐに診てくださり、MRIを撮ることに。けれど空き時間がなく、待つことに。
その間に問診や血液検査をしました。
看護師さんへこれまでの状況を話しているうちに「息子のこんな姿を初めて見て……」と伝えて、いきなり涙が出てしまいました。自分の余裕の無さに、この時気づきました。
救急は他の大変な方もいるのに、何人もの方が様子を見に来てくれて、本当に励まされました。
夫も娘も合流し、息子の様子を見て唖然。
悪化しているのもですが、話しかけてもほぼ反応が返ってこなくなっていたからです。
緊張から症状が悪くなることもあるそうですが、初めて見る姿に戸惑っていました。
十七時頃になってもMRIが撮れず、でも入院は決定していたので私だけ残りました。
この時、採血するので私も一旦部屋を出たのですが、息子の叫び声が待合室まで響きました。
戻ってみると相当暴れたようで、血がいろいろなところに付着。(拭いてはくださっていましたが、爪の隙間などに形跡が残っていました)
普段ここまでのことはしないので、これも脳の影響でしょう。
次に、点滴をすぐ入れられるよう準備が進み、今度は私も同席。
子供の血管は細いし逃げるので、押さえるのは私が担当して、看護師さん達がなんとか針を入れてくださいました。
この時、お友達の名前や学校のことを話すと、そのたび、少しの間だけ、正気に戻ったのです。私の声に耳を傾け、動きも止めてくれて。
心の中にある大切なものの力は、こうして本人の力になるのだと、改めて気づかされました。
同時に、息子の中に宝物がたくさんある環境に感謝しました。
ですが、ここから完全に声が出なくなりました。
起きては私に抱きつき、すぐ倒れ、眠り、また飛び起きる。下唇を噛みながら、ずっと繰り返していました。
この姿を見て、『やっぱり脳の病気かもしれない』と考えました。
私は元動物看護師なのですが、脳にダメージを負った患者の子とどうしても重なるものがあり、最悪の結果も想像してしまいました。
今だから言葉にできますが、この時はそれを言ってしまったら息子ともう会えなくなってしまうと思い、絶対に口にはしませんでした。
ようやくMRIの順番が。その前にPICUへ。暴れているので眠らせてから撮ることに。
この時、私の抱っこで移動しましたが、足は完全に硬直し、曲げられなくなっていました。
手の力もそんなに入らない状態でしたが、「大丈夫だよ、もう大丈夫だよ」と私が話すたび、首に回された手に力を入れて返事をしてくれたことが、本当に嬉しかったです。
ここでこんな話を挟むのも気が引けますが、この時の息子の体重は約三十キロ。看護師さんが「お母さん抱っこ!? なんで車椅子準備しなかったの!?」と驚かれていました。
その様子に、私が笑って大丈夫ですよと伝えると、看護師さん達も笑っていました。
私の腕はプルプルしていましたが、息子は暴れなかったし、少しでも触れ合えていた方がお互い安心だったよね、と思ってます。
後日、無事笑い話になりました。
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