第3話 帝都〈薄明〉
凛華達は昼過ぎ頃、森を抜けて
「不気味な程、静かだな」
「まあ、そりゃこの区域で生活していた者達は皆、風雅の都に逃げ延びたからな」
大和と正宗の会話を聞きながら、凛華は握っていた手綱をぎゅっと強く握りしめる。
凛華が故郷である水蘭帝国の薄明の都に行くのは、化け物が現れたあの日以来であった。
「大丈夫か? 凛華」
凛華の顔が少し強張っていたことに気付いた蘭は凛華と同じように馬に乗り手綱を握りながら、心配そうに凛華を見て声を掛けてくる。
「はい、大丈夫です」
「そうか、ならいいんだが」
✴︎
凛華達が水蘭帝国の薄明の都に到着したのは、水蘭帝国に入ってから1時間が経った頃であった。
「異様な空気が漂っているな」
隊長である大和はそう呟いてから、凛華達に
馬から降りるように告げる。
大和からの声掛けによって馬から降りた凛華達は薄明の都を歩き始めた。
「随分、静かね……」
「そうですね、ん?」
「どうかしたの? 凛華」
凛華は殺意を感じる視線に気付き、立ち止まる。突然足を止めた凛華に気付いた大和達は凛華と同じように何かがいることに気付き、いつでも戦える姿勢を取る。
その直後、大和達を狙った敵の者が大和達に襲撃を仕掛けられる。
「オマエタチ……ヨソモノ。テキダ……」
突如、大和達の前に黒い煙から現れた人を喰らう化け物【黒煙】はカタコトの言葉を話し、黒い顔の中にある赤い二つの丸い瞳をギラギラと光らせながらニタリと笑い大和達に襲い掛かってくる。
「くっ……!!」
「正宗、大丈夫か?」
敵の攻撃を剣で払い除けた正宗は敵である化け物の鋭い爪で少し腕を掠りかけて体勢を崩し掛ける。
大和はそんな正宗の身体を支えて声を掛ける。正宗はそんな大和に対して『大丈夫、少し掠っただけだ』と返事を返した。
「ヒサシブリノ……ショクジ…… ニガサナイィ!!」
大和は目の前の化け物【黒煙】を見つめてから、隊員全員に命令を下す。
「此処は俺と正宗で何とかする。凛華、蘭、恭介の3人は作戦を遂行しろ!」
隊長である大和の命令に凛華、蘭、恭介の3人は強く頷き返してから『御意』と返答し、その場から走り去って行く。
「大和隊長、俺達二人でこの化け物倒せますかね!?」
「正宗、何、弱気になってるんだ!! 倒すんだよ! 俺達、二人で」
「そうですね〜! やってやりますか!」
正宗と大和が会話をし終わるのと同時に化け物【黒煙】は大和と正宗に襲い掛かる。
正宗と大和はそんな化け物【黒煙】の攻撃を交わす為に走り避けながら化け物【黒煙】と戦い始めたのであった。
空夜の下の誓い 藍凪みいろ @__Nayu__ru__
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