本当のきみは救いたいカタチをしていない

可哀想

　私が、かわいそうですか？かわいそうだと思ったんですか。ありがとうございます。そう思ってもらわなくちゃ。

　かわいそうな人を見るときの目でしたもんね。

　知っていますか？自分が安全圏にいると思っている人間が、この世で一番気持ち悪いんだよ。

　まあ何はともあれ、私に近づいてきてくれてありがとう。二か月ぶりの食事なので。嬉しいんですよ。うふ。

　いやあ、偽善って素晴らしいですね。ありがとう。

　え？そんな人だと思わなかった？

　馬鹿だなあ。人じゃないってのに。ほら、まあまあわかりやすいビジュアルしてあげてるんだから。わかれよ。

　もう、なに泣いてるんですか。指一本無くなっただけでそんな喚かないでください。

　…あ、おいしい。おいしい！おいしい！おいしい！おいしい！おいしい！

　おいしいです。

　痛いですか？どこが？どう痛いですか？教えてください。今後の参考にするので。

　可哀想だなあ。あ。あれしてあげましょうか？渾身の同情顔。あなたの特技ですもんね！

　ほら。嬉しい？嬉しいかな。

　…なんか言って？おい。言えよ。あ！言わなくてもいいから、笑おう？嬉しいですって、楽しいですって、笑って？ほら。

　笑えよ、屑 。

　なあんで言われた通りにできないかな。あ、そっか。

　唇、美味しかったよ。