第4話
こちらが刀を抜いたと同時に相手も剣を構える
(流石に反応されたか!)
飛び込み攻撃を仕掛けるが上手く流される
攻撃を流すと姿が背景に同化し始める
「隠密系でなく透明化する〈スキル〉か!」
そうして全身が見えなくなると同時に刀を鞘に戻し目を閉じ感覚を研ぎ澄ます
(集中しろ、俺ならできる)
透明化といえど気配を消すことができるわけでは無い
だからこそ自らの武器である超感覚と抜刀という武器を持って対抗しようとする
少しの間が空いたあと突然空気が裂かれる音が背後からして来る
(そこか!)
音が聞こえると同時に抜刀し勢いのまま背後の空間に斬り掛かる
そして「キィィン」と鈍い金属音が鳴り響く
「ほお」
驚いた相手は後方に飛ぶ
距離ができたのでこちらはまた刀を鞘に戻す
「よく反応したな。〈スキル〉の恩恵か?」
突然そんなことを聞いて来る
「さあ、どうかな。手の内をわざわざ敵に教えるほど強くないので」
警戒を解くことなくそう答えるがフードの男は面白そうに笑う
「そうか、次も反応してみよ」
そう言い今度は一瞬で姿が消える
再び目を閉じて感覚を研ぎ澄ます
そしてまた風を裂く音が聞こえ抜刀を行うがさっきと違い金属音が鳴ることはなく
スッと大きく左肩を斬られる
「っ!」
痛みに耐え後方に飛ぶ
(振るのが遅かった?いや、切られたタイミング的にそんなことは無い。ならどうしてこちらが切った感触がしなかった?)
色々な考えを巡らせていると再び後方から風を裂く音が聞こえる
鞘に刀を戻せておらず普通に受けようとするが
(ダメだ!抜刀じゃなければ間に合わない!)
そう思いとっさに前方に飛ぶがザシュと右足を切り裂かれる
(くっ、判断が遅れた!右足が使い物にならなくなった!)
何とか回避したが逃走も勝利も絶望的になってしまう
(いや、負けない道筋を探せ!最後まで勝負はついていない!)
刀を鞘に戻す時に見えないように『ある石』を間に挟む
「次で終わらせる」
そう呟き感覚を研ぎ澄ます
そして再び風を裂く音が聞こえると同時、抜刀するときに挟んでいた『ある石』が光を放ち大きな爆発を起こす
大きく吹き飛ばされ城壁にぶつかる
(体が動かない!威力が高すぎた)
そう思いながら目を開くとそこには
「な、んだ、これは…」
そこには血まみれの人がたくさん倒れていた
(さっきまでと景色が全く違う!)
そう思うと同時血まみれの男が立ち上がり言う
「相打ち覚悟の〈
そう興味無さそうに言い放つ
(もう打つて無しか…)
そう判断し時間稼ぎに移る
「…あなたは強かった。だからこそ負けない一手を考えた結果です」
「僕は前提から間違っていてあなたの〈スキル〉は透明化でなく背景を作り出すものだった」
そういうと男は「ああ、そうだ俺の〈スキル〉は〈空間貼り付け《スペース・ペースト》〉一定の範囲に背景を貼り付ける力だ。」
ああ、だから戦闘の痕跡がさっきまで見えなかったんだなと思う
「今度は私の質問だ、お前の〈スキル〉は何だったのだ?」
そんなことを聞いて来るが答えはただ一つだ。笑いながら言い放つ
「2回目だが敵に手の内を明かしたりしない」
そう言い終わると同時に男は切り掛かるが『火の玉』が飛んできて後ろに後退する
飛んできた方を見るとそこには
(何だあれは?)
そこには『狐の耳』と『尻尾』をもった少女がいた
「あなたは襲撃犯の一員ですね」
少女がそう問いかけると男は「いかにも」ろ答える
「あなたの仲間はすでに無力化されました。大人しく投降してください」
そう言われると男は大きく笑う
「襲撃からまだ二十分と少し。もう無力化したとは思えぬな」
そう言い剣を構える
「この距離では〈空間貼り付け〉《スキル》は意味ないな。正面から参ろう」
そう言い斬り掛かる
「『吹雪』!」
少女がそういうと突然強風と霰が発生し男に襲いかかる
「うぬぅ」
男は少女まで近づくことができず後方に大きく飛ぶ
「何とも厄介だな」
男はそう言い様子を伺う
少女の方を見ると額に汗を浮かべ肩で呼吸していた
(おそらくここに来る前にも戦闘があって『魔力』がギリギリなのか)
男と少女の攻防を眺めながら刀を支えに立ち上がる
(男の頭の中から俺が薄れている今俺ができる最善手を見極めろ。拾った命を無駄にするな!)
戦況を眺めながらタイミングを伺っていると
最初は押され気味だった男だったが少女の攻撃がだんだん緩くなってくると攻めに転じ始め距離を詰めていく
「くっ、『火玉』!」
少女が何とか近づけまいと攻撃をしかけるが
「あまいわ!」
男は火の玉を斬りそのまま少女に近づき
「さらば」
そう言い少女を斬ろうとした瞬間に後方で『
「振り、抜けぇぇ!」
高速で飛んでいき二度目の爆発をもろに受け限界の体を動かし気合いで刀を振う
刀は男の腕を捉え切断する
そのままの勢いで住宅に飛び込み何件かの壁を破壊したのち止まる
(あ、これ死ぬやつだ。脳がメチャクチャに冴えてる)
そんなこと思いながら少女と男の方を見ると男が氷付にされていた
(最後に役に立ったな)
そんなことを思いながら意識を手放すのだった
ショウタイム・パス〜風の行先 floud @floud
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