空夜の鬼遊び
菱川
第1話 静かな街で
この世界で、最強と言えば誰だろう。
有名なサッカー選手?人気な漫画家?
どれも正解だ。あながち間違ってはいない。
———しかし。
しかし、だ。間違ってはいないが、模範解答ではない。
この世界の最強は「靖目屋七音」という女だ。
誰からも殺されようとしない。
その美しい所作は、街中の男を虜にした。
月夜に輝く長い黒髪。それに反して、白い肌。
誰がどう見ても美形。それであり最強。
神経が尖っている。常に。
親密な関係の相手でも気を抜かない。
十の名前を操り、上手いように使い分ける。
自身の近況報告はしても、そのもっと奥、個人情報に最も近いことは話さない。
もし断りを無視し、無断で入ってくるものには重い制裁を下す。
殺さない程度に苦しめて、命綱一本で世の中に放り投げる。
そうすれば、周りから飛び出たその人は社会的地位を失い、行き場を無くす。
もしくは徹底的に突き放す。
物理的な距離を取り続ければ、人は飽きて離れて行くものだと、知っているのだ。
常に気高く、常に孤独であったから。
それでも、しつこい奴は存在する。
敵対心を煽るような相手だと余計に面倒だ。
しかし、それを見た集団は「最強の鬼ごっこ」と揶揄して面白がるのだ。
だから七音は集団が嫌いなのだ。
無能だと感じれば、すぐに関係を切る。
冷たい人間だと言われ続けた七音の次の「しつこい奴」は。
「七音、もう諦めたら?」
毎日白い薔薇を買ってくる、変な人でした。
空夜の鬼遊び 菱川 @akubi-0119
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