閑話 タイガのその後

「ここが……かの有名な修練の洞穴」


 男の名はタイガ。

 17の時に依頼請負人となり早15年。

 段々と体の衰えを感じるようになってきて、依頼よりも新人いびりに精を出すような残念コントラクターだったのだが……。


「さすがに10かそこらの嬢ちゃんに負けたとあれば、引退か、修業だよな……」


 あの日エモニに負けて以来、彼は自分を鍛えなおすことを決め世界中を旅しながら修業を積んでいた。

 そしてあれから3年たった今、タイガは武の都マーズにてもっとも有名かつ、マーズが武の都と呼ばれるようになった所以である修練の洞穴ダンジョンにやってきていた。


 このダンジョンの何がマーズを武の都と呼ばれるまでにしたのかと言えばそれは、クラス4以上の力を持つ者がこのダンジョンにはいることができないということである。


 この性質が発見されてからマーズに住むものはこのダンジョンに入れなくなることで一人前と呼ばれるようになった。


 逆に言えば、このダンジョンに入れてしまううちは一人前と認められない。

 その結果、都中の人々がこぞってダンジョンで修練するようになり、都中の人の戦闘力が上がったというわけだ。


「俺は、自分の実力を過信しない。プライドも捨てた。今日からこのダンジョンに入れなくなるまでずっと修業をしてやる!!」


 周りの目も気にせず、そう叫んだタイガは勇み足でダンジョンへ踏み込んでいった。


 ◇◇◇


「のう、ロティス」


「なんだ?ユメ」


 夜、日課となっている素振りをしていると俺に振られているユメが話しかけてきた。

 普段は剣閃に集中しろ!と滅多に話しかけてくることはないのに……珍しい。


「これから、どうするんじゃ?ロティスの話しならこの街への危機はもう去ったのじゃろう?」


「これから……かぁ。このままこの街でゆっくり……」


 そんな話をしていると家の扉を叩く音が聞えて来た。


「ん?誰だ?こんな時間に?」


 エモニならそのまま入って来れるはずだし、ミリアは今日は依頼で帰らないはず。

 特に何も考えずに玄関に向かい、扉を開ける。


「なにやら、厄介ごとの香りがするのう……」


 というユメの呟きを聞きながら。

 


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき


次話より本編再開です。

ですが、体調を崩してしまったため少し再開まで時間をいただくかもしれません。


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救世主転生 ~死にたくなかったので、勇者覚醒イベントの攻略不能ボスを倒したら勇者が旅立たなかったんだが!?~ 嵐山田 @arasiyamada

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