第5話 類は友を呼ぶ?
友人たちと花見をした時のこと。
場所取りができるのは、予定がなかった僕と北村くんだけでしたが、僕たちは仲間内でも、そんなに話したことはないし、連絡先さえ知らない仲です。彼は大人しい人、という印象があるだけだったので、なんとなく憂鬱でした。僕は結構、人見知りなので……。
そして当日の朝。なんと小雨が降っていました。3月の終わりなので、雨が降ると結構寒い。僕は「雨が降ってるけど、それでも花見をするのか?」と訊きました。するとリサは。
「午後は止むって書いてあるから、早く行って」と言い放ち、電話を切ってしまいました。
いや、シートがびしょびしょになるじゃん。
というか、こんな日に場所取りしてるやつなんか、いねぇよ……。
色々と思いましたが、もう行くしかない。GPSのアプリで見張られているからです。
僕たちは川沿いにある花見スポットへ行きました。もちろん、場所取りをしている人なんて、いません。
川沿いって、風が強くて寒いんですよ。水で空気が冷やされるからですかね。とにかく寒いんですよ。僕と北村くんは、ガタガタ震えながら、10時間も耐えました。仲がどうのこうのじゃなくて、寒すぎて喋ることもできずに。
夕方には雨は止んでいて、みんなもやってきて花見ができました。それは良かったのですが、買い出し班が買ってきた量が少なくて。するとリサが言いました。
「あおいと北村くんは、座ってただけなんだからさ、買ってきてよ」
——出たよ。
と思いましたが、みんなに「顔白いよ?」と言われるくらい僕はぐったりとしていたので、もう言い返す気力もありませんでした。
北村くんも無言で立って、2人で歩き出します。そしてみんなから離れた時、北村くんが急に喋り始めました。
「俺、YouTubeで怖い動画とか見るんだけどさ、藁人形ってあるじゃん」
「ん? うん」
「あんなの、効くわけないだろって思ってたけど、今めっちゃやりたい。五寸釘、山ほど買いたい。どこに売ってんのかな、アレ」
彼は真顔でした。藁人形で済めば良いけど——。
「あはは……」
笑って誤魔化しましたが、内心では「おぉ、そこまで行っていたか……」と思いました。
まぁそうだよね、あの場でキレなかっただけ、偉いよ。結局、コンビニで30分くらい温まって、みんなのところに戻りました。
あれ以来、北村くんとは親友と言っていい程、仲良くなりました。そして今のところは、彼は藁人形と五寸釘は買っていないようです。そして気付きました。
僕の友達は、物騒な人が多い。
〈つづく〉
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