第37話
「幕僚長、諸々の処理お疲れ様です」
「二人の時はお爺ちゃんって呼んでよー。記者会見とか久し振りで緊張しちゃったぁ……」
「なに子供みたいなこと言ってんですか孫の前で……でもまぁ、助かりました」
あれからも事後処理に追われ、まともに休暇を取れたのは昨日のこと。
放棄された宇宙ステーションから人工衛星まで、片っ端から囮の質量弾として勝手に使った始末書を上げて、
気苦労が絶えない一月だった。ここから更に
人類による100年以上ぶりの
そしてフィフスの
これからファウストたちは、間違いなく今より強くなる。肉体の変性は、まさに戦闘に適した能力だ。これを持ったファウストが戦場で存分に活躍出来るよう、
階級としては指揮科には横並びで数名大佐の階級を持つ者が居るが、部署が違うこともあり、この場合は私の方が偉いことになるらしい。
これまで小娘だからと甘く見てきた者を見返した――といっても書類上、私は現場指揮官でしかないので、防衛に関するすべての指揮を取っていたことを知っているのは、戦ったファウストたち、あとは情報科や外の軍隊――アサイラムくらいのものだろう。
だが、噂くらいは出回っている。
万単位の人間の口は、そう簡単に塞げるものではないからだ。
ほとんどが根も葉もない噂でしかないが、時折確信を突いたものもある。特に指揮科――それもファウストと接することの多い
質問された私が適当に流していたのも、それを増長しているかもしれないが。
私たちは、これからも戦い続ける。
敵が生きている限り。
人が、一人でも生きている限り。
この戦場は、終わらない。
私の代では、きっと終わらせることは出来ないだろう。
それでも、
――それでも、私は戦うことをやめない。
死んでいった、皆のために。
名も知らぬ、彼のために。
大切な仲間に置いて行かれた、アグレッサーのために。
これからも私は戦い続ける。終わりかけた、この世界で。
ひとでなしのかれら 衣太 @knm
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます