第23話後輩の安堵
【七瀬優真】【昼休憩】
今日は朝っぱらから凪沙を
「今日はお弁当なしです。むぅ」
と言われてしまった。仕方ないから以前みたいにパンでも買ってこようかな。
その前にお茶でも買うか。俺は常に暖かいを買う派だ、しかし買ってから気づいた。今日めっちゃ暑いわ
屋上に行ってこようかな、飯は別に後でもいっか
しかしこうなるとお茶が完全に足でまといだ。熱いんだよこれ
屋上に着いた。
すると先客がいた。でもなんか様子が変だな、あんな端っこにいたら金網があるとはいえ危ないのに。
様子を見てみる。すると
「死にたい!」
と言っていた。
何言ってるんだよ!自殺か!?
「何やってるんだ!」
彼女はビクッとしたが直ぐにこちらを振り向いた。
ん?作り笑顔を浮かべている気がする。凪沙のおかげでそういうのには敏感だからな。
「そんな作り笑顔するなよ」
その子は少しビクッとした、見破られると思ってなかったのだろう
「あなたは誰?」
俺のことが怖いのか恐る恐る訪ねてきた
「俺は七瀬優真、2年1組だお前は?」
「弥生...造花...1年4組...です」
「弥生さんね。で、どうして自殺なんかしようと?」
「あなたに話す価値がありません」
冷たいな、一切全て拒絶されてる。でも凪沙は温かいかい飲み物をあげると反応してくれる。だから彼女もか?
「ほら、暖かいお茶だ暖かいもの飲んだら少しは落ち着くだろ?」
「受け取れません。あなたのお金でしょう?」
少し効いてるな
「オレが100円ちょっと出すだけでお前の親の葬式代全部浮くんだぞいいから飲め」
あ、そういえば凪沙が貸しを作るために親切にしてくるやつもいるんだっけか。俺もそれだと思ってんのかな
「...別に貸しを作ろうって訳じゃないぞ、普段頑張ってる後輩への先輩からの優しいプレゼントだと思ってくれ」
その通りだったっぽいな。
「あのなぁ、もしお前が自殺したらな教師になんで止めなかったんだ!とか言われるからさ受け取ってくれよ」
渋々受け取る。そしてちびちびと飲みだした。
彼女の目から涙が溢れてくる。相当辛かったんだな
「ごめんなさい」
「謝るな」
この子は何も悪くないし謝る必要はない
「でも、私を必要としてる人がいないなら、死んでも変わらないし、みんな私をアクセサリーやステータスみたいなものと思ってるし...」
誰も必要としていない?とことんネガティブだな
「じゃ、俺がお前を必要としてる。これでいいか?」
彼女がポカンとし、涙の量が更に多くなる
「~~~ぅぅぁあ゛あ゛あ゛ごべんなざいぃぃ」
「ん、よく言った。これからも辛いことあるだろうけど、頑張れよ」
彼女の目に光が戻ってきた。どうやらなんとかなったみたいだ
「先輩、ありがとうございます」
なんだか妙に艶っぽく笑っていた。
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【放課後】
「今日凪沙先帰っちゃったの!?」
「うん。相当機嫌悪かったみたいでホームルーム終わったらすぐに帰ったよ。なんかやらかした?」
いつもより少し(推定)
久しぶりに一人で帰るか
「あ、あの...先輩...もしよかったら一緒に帰りませんか...?」
お、弥生さんかそうだな...俺くらいしか頼れる奴らばっかなのかがいないくらいにつらい境遇だったのか...
「勿論いいぞ」
「えへへ、やったぁ。ありがとうございます!」
彼女が嫌がらないならどうして自殺しようとしたかとか聞いてみようかな...
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【弥生造花】【昼休憩】
「あ、弥生さん。大丈夫?元気になった?」
「うん、外の空気を吸ったら元気になったよ」
ふふふ、先輩...
「そう?でも気を付けてね」
「うん」
あぁ先輩
どうしよう、先輩と一緒に帰りたい。でも会った初日からとかいやがられちゃうかな?
それにもし、彼女さんとかがいたら絶対迷惑だし...いや、昼食の時間に彼女と一緒にいない人とか少ないのでは?
それに...私には先輩しか頼れる人がいないから、いいよね?
よし、決めた。先輩と一緒に帰ろう。
【放課後】
「あ、あの...先輩...もしよかったら一緒に帰りませんか...?」
うぅ、可否は一瞬なのに今までの人生で一番長く感じてしまう、やっぱりダメだったのかな?
「勿論いいぞ」
いいって言ってくれた!やった!
「えへへ、やったぁ。ありがとうございます!」
「じゃ、帰ろ」
「はい!」
凄い幸せだなぁ
「あとお願いがあるんだけどさ、どうして自殺なんかしようとしたかとか、可能な限りでいいから教えてほしいんだよね」
う、思い出すだけで胸が締め付けられるような痛みがくる。
そうだ、先輩だって男の人なんだ。私を襲うかも...でも先輩にならされてもいいかも...
「はい、いいですよ」
「ありがとう。じゃあなんで自殺しようとしたか教えて?」
「えっと、私はいろんな人に告白とかされてるんです。赤の他人にすら、です。それにストーカーに誘拐されたこともあるんです。それで男性恐怖症になってしまって、もうそばにいるだけで怖いんです。何かされちゃうんじゃないかって...それでも外では真面目にしないといけなくって、そうするともっと告白されてしまって...追い詰められて、です」
先輩が驚いて少し私と距離をとってくれる。こういった些細な気遣いができるのもかっこいい...
「あの、先輩は大丈夫ですよ。助けてくれましたし、信頼してますよ」
「じゃあもしも俺がそんな奴だったら?」
先輩ならいいですよと言おうと思ったけど、ほぼ告白みたいなものじゃないか。
「自殺します」
「ねぇ弥生さん、そんな簡単に自殺するとか言っちゃダメだよ」
「あ...はい。わかりました」
「男性恐怖症だけど、俺みたく大丈夫な人っているの?」
「先輩以外では、パ...お父さんです」
う、言い間違えた。普段あんなに気を付けてるのに...先輩の前だと油断しちゃう。
「そっか、根本的解決をしたいならちょっとずつ男性慣れしたらいいかもね」
でも、それが難しい
「あ、もう先輩の家ついちゃいましたか?」
「うん。もう少し話したかったね」
「はい、でも私の家から凄く近いです」
あ、先輩と連絡先交換しておきたい
「あの、先輩、連絡先交換して下さい」
「あぁいいよ。これでいつでも相談のれるから、不安なこととかすぐに連絡して」
「はい!」
ふぅ今日は楽しかったなぁ
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婚約したくないお嬢様の偽彼氏やってるけど、ベタ惚れな気がする UTMS01 @UTMS01
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