まひづる 🚢
上月くるを
まひづる 🚢
自転車のライトゆらゆら冬の霧
冬霧をかき分けてゆく四駆かな
細腰の黒エプロンや室の花
加湿器の少し匂へる喫茶店
舞鶴は線路の果てや開戦日
十二月八日ちかづく腕時計
遠海を惑ひまどひてはぐれ鷹
故地なくて名なく墓なし立忍
凩に地鎮の禰宜の祝詞散る
労基署の緑十字や小雪舞ふ
玻璃越しに干せる蒲団に日の匂ひ
午後の冬日ぎらりと家族写真かな
機影見えず飛行機雲の太りゆく
セーターの薄青き闇かいま見る
玄関に白菜つつむ新聞紙
子の家の厨を思ふ冬の夕
骨抜きの表示の鮭にこつと骨
組みし足痺れてなほも夜仕事
実印の姓名ホットワインかな
折り鶴を忘れぬ指や雪をんな
まひづる 🚢 上月くるを @kurutan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます