第12話 新しい宇宙
オキもオグマも観念せざるを得なかった。オキは、オグマへ引きさがって下されという視線を送った。オグマも兄弟や家来をむざむざと死なすわけにはゆかず肩を落として引きさがった。かくして、すべてがオミの筋書きどおりに進んだ。オキはその場で捕らえられ斬首に遭った。呆気ない最後だった。
オキの首は村外れの通りに晒された。が、数日後、その首が忽然と消えた。何者かが持ち去るのを見たという噂や、キコニアが銜えて行ったという話が、まことしやかにささやかれた。
オミは屋敷の者を使ってその噂を調べさせた。真相は分からなかった。村人は疑われないよう口をつぐみ身をちぢめた。村全体が死んだように暗く静かになった。季節も変わるのを忘れて新しい枝葉を伸ばさなくなり、田畑も穀物を育てる勢いをなくした。
そんな中、オミ屋敷で新しい命が生まれようとしていた。マロイの母胎という大宇宙が新しい宇宙を宿していたのである。マロイは臆せず、オキの子どもであることを父に伝えた。オミは驚かなかった。
「おまえの体のことがあるから、産むだけは産め。あとはそれからだ」
としか云わなかった。
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