第30話 一年中 乾燥芋の季節 END

としやは自分なりの研究を始めた。


それはトライ&エラーを繰り返しだったが、苦にはならなかった。


なぜなら・・・


『芋ほりがあるから遊べない!』


その気持ちが・・・少しだけわかったから。




としやが目を付けたのはシルクスイートという品種。


名前の由来通り、口当たりがシルクのような滑らかで柔らかい舌ざわり、

そして、上品な甘さ。


そのシルクスイートを育て、研究した。


土壌、水質管理、植え付け時期、収穫期、キュアリング、調理法・・・





「ねえ、としちゃん、なんで天王だめだったんだろう?」

「甘すぎたんじゃないか?」

「え、甘いは正義でしょ!」

「砂糖がジャブジャブ入ってるチョコが優勝するならな」

「なにそれ!どういう意味?」

「うるさいな!あとは自分で考えろよ、りさ、俺は芋ほりが忙しいんだよ!」




数年後、桐の箱に入った乾燥芋の詰め合わせが茨の城領より宮内庁に献上された。


その乾燥芋は宮内庁御用達とされ、某アフリカ要人が天皇に謁見した際にお茶請けとして出された乾燥芋を大層お気に召し、桐の箱入り乾燥芋を大量に持ち帰り、アフリカでのサツマイモ生産に大いに寄与したとされている。



桐の箱の裏面には、生産者は小清水 としや&りさと記されていた。




秋は乾燥芋の季節 END

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