第37話

そこは、圧倒されるほどに豪華絢爛な大広間だった。


天井から煌びやかにホールを照らす、宝石の山のようなシャンデリア。


大理石の床はまばゆい光沢を放ち、ホール内の輝きをよりいっそう盛り立てている。


室内に充満しているのは、まとわりつくような麝香の香りだ。


高級ドレスに身を包んだ女たちが、そこかしこで上品な笑い声を響かせ、流し目で男を誘っている。




赤いシルク地のチャイナドレスを着せられたヨウは、あまりの居心地の悪さにうつ向くしかなかった。


ダイヤモンドのイヤリングにネックレス、履いたこともないようなヒールの高い靴。


髪をアップに結われたせいで、首筋がスーッとして鳥肌すら立つ。


グウェンがよこした使用人たちは、こうして無理やりヨウを飾り立てた。


そんなヨウに、隣にいるグウェンが舐めるような視線を向ける。


「ガキだとばかり思っていたが、こうしてみると悪くないな」


あざ笑うように言われて、茶化されているのだとすぐに分かった。

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続 猿鬼 ユニモン @unimon

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