第1話
一線引いた恋ですが、何か?
私が諦めるようになったのは、いつからだろう。
彼とは付き合ってもうすぐ1年半になる。
今まで喧嘩は1度だってしたことは無いし、かと言ってラブラブかと言われれば違う。
学校では自分達の友人と過ごし、デート以外はほぼLINE。
それはそれで楽しいし、ずっと一緒にいる疲れとかもなくて、結構楽だ。
たまにその距離が寂しくなることもあるけど、その方がお互い楽だと思って過ごしている。
その関係に現状、不満はない。
だが、そんな私を一年半も、悩ませているのは…
「…彼、絶対私の事好きじゃないよね」
ぽつりと呟いて、はぁぁと大きなため息を着く。
枕に頭を填め、先程の言葉を訂正するように、首を横に振った。
と、言うのも、告白したのは私の方だった。
だから、彼の心理が死ぬほど分からない。
私に配慮したのかもしれないし、いつか好きになるかもと付き合ってくれたのかもしれない。
それか、断る理由がなかっただけか。
私はその疑いが激しすぎて、OKをもらってから”嬉しい!”と言う感動も直ぐに、ネガティブ思考に陥ってしまったのだった。
そしてそのネガティブ思考の先で思ったことは、「好きじゃないなら付き合ってほしくなかった」。
告白。
人生での一大イベント。
もちろん、これから好きになると言う意味合いで付き合うのもいいと思う。
けど、私は違う。
それって思考放棄しただけって思うから。
告白された側は、”付き合う”ことと、”付き合わない”と言う選択肢がある。
それでOKしたのなら、それはもう自分の意思。
決めた責任があるのだ。
それを成し遂げるならいいよ?
でも彼は…ちっともそのそぶりがない。
普通、彼女がいたら、異性との距離を考えると思うんですけど。
他の人と楽しく接しているのを見て、思わず嫉妬してしまう。
私だって話しかけたいのに。
近づこうとすると、急に足が重くなる。
意識したら、とてもじゃないけど無理だった。
彼女なのに、なんでこんなに行動できないんだろう。
彼はきっと、私がいなくても、私じゃなくても大丈夫なのだ。
私は、彼しかいないのに。
とても、惨めな感情だ。
そう言う気持ちになりたくなくて、彼が他の子と仲良くしてる姿を見ていたくなくて、最近は見なかったことにしてる。
見なかったら、それは”なかったこと”になると思うから。
嫌なんです。
貴方を好きになるたびに、貴方は見てくれていないと思うから。
…見ていないのだと、知ってしまうから。
どうして付き合ってくれたんですか。…好きでもないくせに。
貴方が私に”幸せ”をくれるたびに、苦しい。
貴方の心理が分からなくて苦しい。
…貴方を好きではないのか、と疑ってしまって、苦しい。
もう付き合い始めの頃のような、淡い恋心ではなくなってしまった。
だから私、貴方に一線を引いてます。
これ以上本気になったら、辛いから。
嫉妬で溢れてしまうから。
貴方ともう少しこの関係でいるために、私は夢中でいることを、諦める。
一線引いた恋ですが、何か? 抹茶 餡子 @481762nomA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます