第2話 初夢

ニッカの初めて見た夢はこうだった。

何も無い森林の中、持っているものは現金、それも一文やニ文といった古銭だ。それと腰にぶら下がる刀。ただ通常の日本刀とは異なり、鎬がなく真っすぐで、まるで聖徳太子の肖像に描かれているような直刀だけだった。

そのまま暫く歩くと、一般人が暮らす里の様な場所に出た。

団子屋、賭博場、酒屋。

通り過ぎる人々も和服がほとんどだ。

ここは現世よりかなり古い時代のものだろう。それだけは分かった。

ひとまず十二文で酒を買い、五文で煙草を買い、山のふもとで休むことにした。

夢の中とは言えど、酒を飲めばやはり酔うみたいだ。

俺は数時間かけて切り株の真ん中を直刀でくり抜き、灰皿を作り、疲労のままそのまま近くの落ち葉の上で気がつけばうとうとしていた。

さて、明日は何をしようか。

直刀と数百文の入った巾着を枕元に置き、眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢の中へと、旅をして。 尾谷金治 @haya-punk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画