夢の中へと、旅をして。

尾谷金治

第1話 ニッカの夢

ニッカは目を覚ます。

皆、ただの夢ではないのだ。

一日、二日、三日、同じ世界で同じ夢を見る。

同じ様な世界、ただ、一日目、二日目と話が続いている。

要は、「夢の中の世界で新しい人生を歩んでいる。」

きっと明日も明後日も、この「夢の中の世界」で夢の中での人生を送るだろう。

昼前になり、図書館で親友の酸と話す。

「俺、同じ夢の中で毎日夢の中だけの人生を歩んでんだよ」

酸は言う。

「そんな馬鹿げた話がある訳…いや、あるかもな

知ってるか、人には明晰夢や予知夢なんていう不思議な夢を見る奴がいる。お前のその夢はつまり、同じ異世界を毎日続くように暮らしているわけだろう?」

ニッカは続く。

「ああ、そうだ。毎日毎日同じ世界で、現代とはまるで違う。そして何より不思議なのが前日に最後に見た景色の続きから次の夢が始まるんだ。」

酸が言う。

「それはつまり、【異世界】に行っているんだよ。お前は毎日、このつまらない現世と謎の異世界で暮らしている。」

ニッカは湯呑みに注がれた芋焼酎のお湯割りを飲み干して話した。 

「だからって、どうすりゃいい?歩けど歩けど山や湖ばかり。何も出来ないじゃないか」

そうすると酸は座布団の上組んでいた正座をあぐらに崩し話す。

「…その異世界の正体を暴いてみないか?」

ニッカ続くように話す。

「そう言ったって、どうすりゃいい?地図も何も無いんだぜ?」

ニッカは語る。

「…分かったよ。俺が日々訪れているあの世界を、解明してみせる。」

酸が言う。

「ああ、俺達二人でお前の夢を解明しよう。」


こうして俺と酸の夢探索調査が始まったんだ。

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