第5話 ザクロ②★

 

 女を犯す快楽に目覚めてから2ヶ月経ったある日……。

俺はムカリに出張と嘘をついてとある田舎村に足を運んでいた。

その村にはマジで畑と自然以外何もないってくらい何もなかった。

こんなゴミの掃きだめみたいな所……女がいなければ絶対に足を運ぶことはなかっただろうな。


「おっ! いたいた……」


 村の周囲を歩いていると……若い女が1人で川から水を汲んで運んでいるのを見かけた。

周囲には誰もおらず、人の目を妨げる人気のない茂みもそこら中にある。

女を簡単に犯すことができるってところが、数少ない田舎の良いところだな。


「顔もまあまあだな……よし、あの女に決めた」


 俺はさっそく、茂みの中に隠れ……女が俺の前を通りかかった瞬間、茂みの中に引きずり込んだ……。


「騒いだら殺すぞ?」


 俺は所持していたナイフを女に突き付け、わかりやすく恐怖心を煽ってやった。

力づくで女を犯すよりも、道具を使ってシンプルに脅した方が効率的だ。


「ひひひ……小汚ねぇが、結構良い体してるじゃねぇか……」


 近くで見ると発育もなかなかのもんはねぇか……。

田舎でゴミみたいな飯しか食っていない割にはよく育っているもんだぜ。

これはなかなか楽しめそうだ……。

俺は女が纏っていた衣服を力づくで引きちぎり……さっさと食ってしまおうと思った……その時!!


「お姉ちゃんに何をしてるんだ!!」


 いつの間にか俺の背後にいたチビなガキが俺に向かって叫び声を上げた。

それだけならガキを黙らせるだけで済むが……。


「貴様! 娘に何をしている!?


 最悪なことに……女の父親がガキの叫び声を聞いて俺の元へと走ってきた。

俺は慌ててパンツとズボンを履きなおし、その場から逃げ出そうとしたが……。

父親が1歩早く俺の腕をつかみやがった。


「はっ離しやがれ!!」


 必死に父親の腕を振り払おうとするが……やけに馬鹿力でどうにもできなかった。

俺はそのまま騎士団に引き渡され……強姦未遂で逮捕されることになった。

現行犯で捕まったことで、これ以上言い逃れができない状況だと思い、俺は罪を認めた。

ところが裁判で……俺がこれまで犯してきた女達が被害を訴えてきた。

俺がレイプした証拠なんて何もなかったが……すでに未遂とはいえ、罪を認めていることと……仕事場の上司の証言から、俺が出張とムカリに嘘をついて外出していたことがバレてしまった。

それらの証言と証拠から……女たちの訴えが全て真実であると裁判官が認めちまった。

その結果……俺は刑務所に十数年ぶち込まれることになった。


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「離婚してください……」


 有罪判決を受けてから数日後……。

面会に来たムカリが俺に離婚を突き付けてきた。


「はぁ? ふざけるな! 腹の中のガキを片親にする気かよ!!」


「じゃあこの子を犯罪者の子供にする気なの!? まだ生まれてもいないこの子に……一生消えない傷を背負わせる気なの!?」


 俺はこの時……初めてムカリがはっきりと怒りを露わにしている姿を見た。

俺が娼館で女漁りをしていた時だって……罵声1つ浴びせてこなかった。

そいつが今になって俺に噛みついてくるとは……ふざけやがって!


「テメェは俺の女房だろうが!! 女房は旦那を支えるのが当然の役目だろうが!!

それなのに旦那が刑務所にぶち込まれた途端、離婚とは……こんな身勝手なクズ女だとは思わなかったぜ! 大体俺がこうなっちまったのも、もとはと言えばお前が俺の誘いを断ったのが原因だろうが!!」


 ムカリが俺の相手をしてくれてさえいれば、俺は田舎の小汚い小娘に手を出すことはなかった。

そうだ……この一件において、最大の被害者は俺だ。

なのにどいつもこいつも俺を薄汚い犯罪者と決めつけやがって……。


「そうね……だから娼館に通っていたことは許したわ。

あなたにそうさせたのは……私にも責任があったから……。

だけど……どんな理由があったとしても、何の罪もない女の子を強姦して良いことにはならないの。

まして……ただ性欲を満たすために女の子を襲ったなんて……ただのケダモノじゃない!

そんな人間が父親だと知ったら……この子がどれだけ傷つくか、わかるでしょう!?」


「はぁ? 知るかよそんなこと……」


「そう……だったらあなたに、この子の親になる資格はないわ。

この子は私が全うな人間に育ててみせます。

あなたはもう……私達に関わらないでください」


「ふっふざけんなよ!! 今まで俺が稼いでいた金で飯を食っていた寄生虫が、ガキを抱えたまま生きていける訳がねぇだろ!!」


「生きて見せます……私はこの子の母親ですから……」


「うるせぇ!このクソアマ!! さっきから俺を舐めるようなことばっかり言いやがって!!

お前は黙って俺の言う通りにしていればいいんだよ!!」


 ムカリの態度に腹を立てた俺は、設置されているガラス板を乱暴にたたくも……すぐに刑務官に押さえつけられた。


「今までありがとうございました……さようなら」


「おい待て! 待ちやがれ!! このクソアマ!!」


 ムカリは俺に一礼し、面会室を後にした。

何度も俺が制止を呼び掛けたが……ムカリが戻ってくることはなかった。

その後……俺は離婚に承諾することにした。

ムカリの両親はもちろんのこと……犯罪にまで手を染めた俺を親父とお袋は見限り、離婚を機に俺と絶縁するとまで言いやがった。

刑務所にいる以上、慰謝料だの養育費だのを払う必要はないのは幸いだが……現状は最悪としか言いようがねぇ。


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「ちくしょう!!!」


 刑務所の暮らしは想像以上にひどかった……。

収容されている牢屋には汚いトイレとベッドしかねぇ……。

定期的に出される飯も生ごみ同然のろくでもねぇもんばかり……。

毎晩ほかの囚人共が馬鹿みたいに喚き散らすせいでまともに寝られたためしがない。

毎日つまらねぇ雑務をやらされるだけで頭がおかしくなる……。

何よりも女がいねぇ……。

こんな生き地獄を何年も続けるなんて俺には耐えきれねぇ……。

いっそ死んじまいてぇ……何度そう思ったか……。


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 だが……そんな絶望のどん底にいた俺に……奇跡が起きた。


『あぁぁぁ……』


「くっ来るなぁぁぁ!!」


「撃て撃てぇぇぇ!!」


 ある日……刑務所内におぞましい化け物が現れた……。

どこからどうやって入ってきたのかは知らないが……そいつらは刑務所内にいる人間を次々に襲い、喰らいつくしていった。

しかもどういう訳か……化け物に殺された人間は化け物として蘇るみたいだ。


「なっなんなんだよこいつら……」


 いきなりのことで俺は訳がわからずパニックになった。

牢屋にいる俺には手が出せないだろうと一瞬タカをくくっていたが、腕力自慢の男でもびくともしない固い鉄格子を破り……化け物共は囚人にまで牙を向いた。


「うわぁぁぁ!!」


「助けてくれぇぇぇ」


「やめろぉぉぉ!!」


 俺は同じ牢屋に収容されていた囚人達が喰われている隙に、命からがらその場から逃げ出すことに成功した。

俺は息を殺して身をひそめながら無我夢中で刑務所内に設けられている避難エリアを目指した。

ここは刑務所ということもあって、かなり頑丈な造りになっている。

だから自然災害とかで避難が必要になった場合の避難所も兼ねている。

刑務所でのつまらねぇ作業を強制されていた際に、刑務官からそのことを聞いた。

避難所ということは、非常食やら水やら用意されているはずだ。

逃げる道中で死んでいた刑務官共から銃を奪い、化け物達に鉢合わせした際にはそれでしのいで逃げ出した。


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「ハァ……ハァ……ハァ……」


 俺はどうにか避難エリアにたどり着くことができた。

鍵は掛かっていたが、銃で強行突破できた。

幸いにも、ここには恐ろしい化け物やうざい刑務官はいなかったが、俺以外にもここへ逃げこんできた囚人が数人いた。

こいつらもここにある非常食や水を求めてここへ来たみたいだな。

案の定……食糧庫には山のような食べ物と水が揃っていた。

この人数なら当分の間は持つだろう……。


「お前ら! 入口全部塞ぐぞ!!」


 俺達は生き残りたいという目的が一致したことで、一時的な協力関係を築けた。

俺達は避難所のありとあらゆる出入り口を重い棚や机でバリケードを作って塞いだ。

化け物共が入ってくるのを防ぐというのはもちろんだが……これ以上生き残りがここへ入ってきたら、ここにある食料や水の消費量が多くなってしまうからな。

しかもラッキーなことに……武器庫まで見つけることができた。

中には銃火器や手りゅう弾といった、武器が取り揃っていた。


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 こうして俺のは薄暗い刑務所から避難所へと住まいを移った。

自由とは言い難いが……牢屋の中よりはいい。

食料も水も武器もある……当分は安全に生活できるだろう……。

だが足りない……。

女が……刺激が……足りない。

俺以外の囚人達も同じ思いらしい……。

暗い牢屋の中で禁欲生活を強制されていれば当然だ……。

そんな俺達の尊い願いを神様ってやつが聞き入れてくれたのか……またもや俺にチャンスが訪れた。


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「誰か! 誰かいませんか!?」


「お願いします! 助けてください!」


 刑務所の外に繋がるドアから、助けを求める声が轟いた。

ドア越しから聞いた声からして若い男と女であると予想できた……。

俺達男はの方を殺し、女の方を慰み者として捕えることを決意した。

俺はのぞき穴から外の様子を伺ってみた。

するとそこには……


「あれは……ムカリ……」


 そこにいたのは俺の元女房であるムカリだった。

服装はかなりボロボロで、所々に返り血らしきものがついている。

おそらく化け物共から命からがら逃げだして、ここまで来たってことだな。

このまま放っておけば、いずれ化け物の餌食となるだろうが……それでは俺の気がすまない。

俺がこんなところでずっと苦しい思いをしていたっていうのに……こいつは能天気にシャバで生き続けていた。

俺はムカリに報復する権利がある。


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「よう……ムカリ。 久しぶりだな」


「ザクロ!!」


 ドアを開いて出迎えたのが俺だったことに、かなり驚いたらしいな……。

なんとも間抜けなツラをぶら下げやがる。

だがその時、俺はのぞき穴では見通していたことを2つ確認することができた。

まず1つ……ムカリの隣に立っている若い男だ。


「なんだ? ムカリ……しばらく見ないうちに男を誑し込んだのか?」


「しっ失礼なことを言わないで! 彼は私の夫よ」


 俺がこんなところにぶち込まれているっていうのに……こいつは人並みの幸せを手に入れやがった……ふざけやがって……。


「……?」


 ふと視線を落とすと……ムカリの手を掴んでいる幼女が立っていることに気が付いた。


「そのガキは……」


「この子は私の娘よ……」


 なるほど……つまりは腹の中にいたガキを生み落としたってことか。

ククク……こいつは面白くなりそうだぜ。


「ところでお前ら……ここに何をしにきた?」


「あちこちで化け物が現れて……ここなら匿ってくれるかと思って……」


 想像通りの回答だった。

俺は思わずにやりと笑みがこぼれちまった……。


「もうここには俺達しかいない。 あとの人間は全員化け物共に喰われちまった」


「そんな……」


 ムカリは救いがないとあきらめたのか、その場で膝から崩れ落ちた。


「お願いします! ウチにはまだ幼い子供がいるんです。 私達を匿うのが難しと言うのなら……せめてこの子だけでも……お願いします!」


 ムカリの旦那は頭を必死に下げて懇願してきた。

全く……血の繋がらないガキなんぞのためにそこまでするとは……マジで笑える。


「まあいいぜ? ただし……1つ条件がある」


「!!!」


 俺がそう言った瞬間、ムカリは歯をギシギシと強く噛み、無意識に自分の体を庇っていた。

俺が命と引き換えにムカリの体を欲していると考えているんだろうよ。

だが30代の経産婦の緩い股なんぞに興味はない。

俺は……。


「そのガキとヤラせろ」


「「!!!」」


 俺は……報復のために、自分の血を分けた娘をムカリの前で犯すことを決めた。


【予想以上に長くなりそうなので、また区切ります。 次もザクロ視点です。 by panpan】

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マイティア2 妻が妊娠中なのを理由にクズ男は連続レイプ犯に堕ち、逮捕の原因となった被害女とその弟に逆恨みし、2人を殺害。 だが女がゾンビとなって報復に出る。 panpan @027

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