第4話 ザクロ★

 俺の名前はザクロ。

俺には3つ年下のムカリという女房がいる。

俺は人一倍性欲ってやつが強く……親の金を持ち出しては毎日のように女を漁っていた。

そんな俺の将来を不安に思った両親が、身を固めたら生活態度を改めると思って開いた見合いで知り合ったのがムカリだ。

初対面の頃のムカリはかなりのいい女で俺の好みだった……。

しかもムカリの家はかなり裕福で、蓄えも相当あると聞く。

働くのが面倒でずっと親のすねをかじり続けていた俺にとって……これは起死回生の逆たまだった。

ムカリはいわゆる箱入り娘で、男に対して免疫があまりなかったらしい。

俺は今までの経験で培ったテクニックでムカリを落とし、結婚まで至ることができた。

ムカリとは体の相性も良く、結婚当初は女遊びを控えるほどこの女の体に夢中になっていた。


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「おいムカリ、さすがに今日はいいだろ?」


「ごめんなさい……今日も体調が……」


 ところがムカリが俺のガキを身ごもった日を境に、こいつは俺からの誘いを断るようになった。

体調が悪いだの……腹のガキに悪影響があったら困るだの……くだらねぇ言い訳を並び立てていたが、そんなの俺の知ったことじゃない。

しかもだ!

楽に生活できると思って結婚したっていうのに……実際は俺が働いて家計を支えている。

ムカリの両親が金銭面で援助してくれると期待していたのに……あいつらは何もしてくれなかった。

生まれてくるガキのために必要なものを買い揃えてはいたが……そんな金があるなら俺によこせって話だ!!

俺の両親も……妊娠中のムカリを労わるばかりで俺には何も与えてくれない。

それどころか……。


『お前は夫であり親なんだ……いつまでも俺達に甘えていないで、家族のために汗水垂らして働きなさい』


 俺に説教垂れて労働を強制してきやがった。

どいつもこいつも……役に立たねぇゴミばかりだ。


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「今日もサービス頼むぜ?」


「はーい」


 俺はムカリの目を盗み……夜の街へと繰り出しては、娼館で女漁りを始めた。

世間じゃこれも浮気や不倫の類に入るらしいが、俺はセーフだろ?

だって俺は女房を抱くことすらできねぇ可哀そうな亭主だぜ?

夫としての貞操を守るために禁欲を強いられるなんてまっぴらごめんだ。

俺は俺のやりたいようにやる。


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「お前はなんてことをしてくれたんだ!!」


 ところが……俺の娼館通いはほんの数週間でバレちまった。

娼館から出てきたところを俺とムカリの両親が待ち伏せていやがったんだ。

同じ男である親父なら俺の気持ちをわかってくれると思っていたが……まさか殴られるとは思わなかった。

義父も俺を浮気野郎と罵ってくるし……このくたばりぞこないのじじぃ共には性欲って奴がねぇのか?


「……」


 ムカリはただただ顔を手で覆って泣くばかり……。

何を被害者ぶってんだよ……。

もともとこいつが勝手にガキを孕んで俺の誘いを断ったのが悪いんだろ?

なんで俺が責められないといけないんだよ!


「ムカリ! こんな浮気男とはすぐに別れなさい!」


 義母のクソババァがムカリに離婚を進めるが……俺は別れたくなかった。

だってこのまま離婚したら慰謝料と養育費を請求されちまうじゃねぇか!!

別れるだけならどうってことないが……金まで絞られるなんて冗談じゃねぇ。


「すみません! 俺、心を入れ替えますから、離婚だけは勘弁してください!」


 俺は下げたくもねぇ頭を下げて食い下がった。

たかが女遊びごときでどうしてこんな屈辱的なポーズを取らないといけねぇんだよ。


「もうすぐ俺のガキも生まれますし……片親なんて可哀そうじゃないですか」


「このバカ息子が!! よくもその口でそんな言葉が吐けたな」


「そうよ! 妻が妊娠中に浮気しておいて……あなたに子供のことを語る資格はないわ!」


 子供のことを出しにする俺の言葉に俺のクズな両親がキレた。

もうこいつらにはまともな思考回路がないらしいから何も期待はしていないが……俺の邪魔までしやがって……。

はぁ……子は親を選べねぇとは言うが、できるものなら親をリセットしてぇ……。


「……わかった。 離婚はしない」


『!!!』


 ムカリの言葉にその場にいた俺以外の人間が全員驚いた。


「ザクロの言う通り……生まれる前からこの子を片親にするなんて……可哀そうだよ。

だから今回だけは……あなたを許します」


 このアマ……何を上から目線で物を言ってんだよ。

全部テメェのせいじゃねぇか……旦那の性欲も満たせてやれねぇ無能嫁が……。


「もう二度と……同じ過ちは犯さないでね。 あなたは父親なんだから……」


「わっわかった……」


 何が父親だ……俺はなりたくて父親になる訳じゃねぇんだよ。

テメェがほしくもねぇガキなんて孕みやがったせいだろうが……。

はぁ……こんなガキ生まれる前にぶち殺してやりてぇけど、それじゃあ俺が捕まっちまう。

かといって、めんどくせぇムカリと別れれば、それこそ養育費やらで金を絞られるのがオチだ。

こんな不便な人生を送るとわかっていれば……結婚なんてしなかったのによ!!

マジで選択ミスったわ……。


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「クソッ!!」


 それからというもの……家に入る金を全てムカリが管理することになり……俺が自由に使える金は微々たるものとなった。

これじゃあ娼館通いどころか、その辺の女を金でひっかける……。

ムカリは変わらず妊娠を理由に俺との行為を拒む始末……。

毎日毎日働くばかりで俺の中の性欲は蓄積していくばかり……。

欲を発散させることができず、俺のイラ立ちは頂点にまで達していた。


「どっかにタダでヤラせてくれる女はいねぇのかよ……」


 今までは良い女としかヤラなかった俺だったが……ここまで来たらもうなんでもいい!!

俺の精をぶち撒けるだけの穴さえあれば……多少の欠点は認可してやってもいい。

俺は真面目に労働に勤しむ夫を装いつつ、ヤレそうな女を物色する日々を過ごしていった。


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 そんなある日……仕事である土木作業の関係で俺は貧乏くせぇ田舎の村に足を運んでいた。

こんな面白味もない場所で、俺は山で切った木材を延々と村まで運ぶだけ……なんでこの俺がこんなくだらねぇ仕事をしないといけねぇんだよ!!


「……?」


 木材を運んでいる道中……俺は河原で洗濯をしている若い女を見かけた。

村の人間だからか、ナリは汚らしいが……そこそこ体は育っている。

顔も美人とは言えないが、普及点くらいはある。

女は1人で細々と選択に集中してる……そして周囲には誰もいない……。


「ひひひ……」


 もう限界ギリギリな俺には迷いなんて言葉は存在しなかった。

俺は手に持っていた木材を放り投げ……女の元へと足音を殺して歩み寄った。


「!!!」


「動くな……動いたら殺すぞ?」


 俺はすばやく女の口を塞ぎ、耳元でお決まりなセリフをささやいて女の恐怖心を仰いだ。

女は震えて俺に服従すると言わんばかりに何度も首を縦に振る。


「よし……いい子だ」


 俺は女を茂みの中へと押し込み……女の衣服を無理やり引きちぎった。

貧乏人の着る服なんてどれも薄っぺらいからな……口をふさいだままでも余裕で引きちぎれた。


「!!!」


 女は涙目で俺に”やめて”と訴えてきたが……俺が流暢にそんな要求を受け入れる訳もない。

俺は今にもはちきれそうな自分の下腹部をさらけ出し……女の体を堪能した。

女はどうやらこれが初体験だったようで……下から血が垂れ流れた時は噴き出しそうになっちまった。


※※※


「……」


 それから俺はため込んでいた精を女にぶち撒け……ようやく俺の下半身が大人しくなった頃には、女は現実から逃げるように気を失っていた。

俺は女をその場に放置し、何食わぬ顔で仕事に戻った。

まあ……俺がヤッたって証拠は何もない。

仕事も今日中には終わるから、もうこの村に来ることもないしな。


「……そうか。 こんな田舎の村なら……女とヤリ放題じゃねぇか?」


 俺はこの一件で味を占めた。

俺が住んでいる町では騎士団が巡回しているため、レイプなんて大雑把にはできない。

だがこういった田舎くせぇ村はセキュリティがかなり緩い。

現にあんな突拍子もない行動が茂み程度のカモフラージュで隠すことができている。


「ひひひ……良い掃きだめができそうだぜ」


 この日を境に……田舎の村の女を犯しまわる日々を送るようになった。

仕事関係の出張と適当なことを言えば、ムカリも疑いはしないだろうからな。

金を使った女漁りとは違い、こっちは無理やり女を犯す分……手間がかかる。

だが、涙ながらに俺に犯される女を見ると……なんとも言えない興奮が沸き上がる。

金で言いなりに動く女もいいが……こういう力に屈服して強引にヤル女もまたいい。


「ハハハ!! 女はチョロいなやっぱ!」


 新たな性癖が目覚め……さらなる高揚感を味わえるようになった。

こんな日がいつまでも続くものだと……思っていた。

”あの女”と会うまでは……。

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