或る双子にまつわる決斗

理霊・Fletcher

或る双子にまつわる決斗

 その双子娘たちは顔つきも背丈もそっくりでした。真っ先に異なる所と言えば、肌と髪の色だけです。片や白髪色白、片や黒髪色黒。それで区別はつくのですがそれ以外が全くそっくりなものですから会う人会う人皆こぞって妖精の類にでも遭ったような顔つきをしていました。かくいう私も小学生の時、彼女達に初めて会ったのだが別の世界からやって来たのではないかと思ったほどでした。実際、彼女達は実に不思議な雰囲気をたたえていました。打ち合わせを一切する事無く、阿吽の呼吸で何でも行動するのです。勉強において分かる所も分からない所も同じなのですから、テストの点は正答も誤答も含めて常に一緒。運動においても、二遊間を守らせれば鉄壁。センターバックやボランチを任せれば完璧な連携。テニスにしろバドミントンにしろダブルスを組ませれば最強無敵。何故だかは分かりませんが、彼女達は一つの意識を共有している様でした。私は彼女達の振舞いを双子間のテレパスを仮定する事で納得する事にしました。


 それは私が辻斬りに適した通りを物色ウロツいていた時の事でした。先客の高校生ヤンキーを3人ほど愛用の長巻直しヤットウ斬捨ブッタギった時、たまたま通りを歩く双子娘を目撃ました。丁度人斬りシュミを済ませた所でしたし、顔見知りの同級生クラスメイトでしたから見逃すつもりでした。ですが双子娘の背後ウシロ尾行ツケる女を見てしまったのが運の尽きです。女の歩法ステップから、私は女が露軍格闘術コマンドサンボの使い手である事を一目瞭然ミヌきました。同時に私は直観カンを覚えました。私の悪い予感カンは当たるものなのです。私は双子娘を尾行ツケる女を尾行ツケる事にしました。これでも気配消失す事は得意だったのです。私は現在歩いている道を頭の中で鳥瞰図イーグルアイ切替えました。この先はT字路になっていたはずです。もしもあの女が仕掛ブッコむならそこでしょう。私は歩調アルキを速め、女との距離ハバを詰める事にしました。そして双子娘がT字路に差し掛かった時、UFOアダムスキー型が双子娘を上昇モチアゲたのです。女もUFOアダムスキー型乗込ハイらんとUFOアダムスキー型真下シタ滑込ハイります。目測テキトーですが私のスピードではUFOアダムスキー型に着く前に双子娘は誘拐アブダクションされるでしょう。手持ちの得物ブキで何とか出来ないだろうか、と私は必死に頭を回転マワしました。そうでした、私はいつもC-4プラスチック爆弾と打矢(註:一尺未満の矢の矢筈に紐を取り付けたもの。一尺二寸~一尺八寸の程の長さで槍穂を用いた物を打根と呼ぶ)を持参ケータイしていたのです。早速C-4を千切って打矢に信管と共に貼り付け、投擲げました。この間、2.4秒。双子娘は未だUFOアダムスキー型収容ハイらず。打矢がUFOアダムスキー型突貫さったのを確認ると、私はスイッチを起爆れました。爆発の威力はUFOアダムスキー型の一部に風穴アナ開放アケる程度でしたが、十分グッド成果ジョブです。続け様に打矢を2本投擲げ、双子娘を拘束シバりました。私に気付いた尾行女オンナが私に拳銃トカレフを向けてきましたが、その前に銃口マズルに打矢をツッコんでやりました。尾行女が拳銃トカレフから打矢を抜き取る前に私は女の両小手ウデ切断ブッタギっていました。続いて頸動脈クビ刺突ブッサ死亡トドメ確定しました。さて私は丁度UFOアダムスキー型真下シタにいましたから、丁度好機イイヤと言わんばかりに残りのC-4に信管を差して放上ブンナげておきました。UFOアダムスキー型上昇加速力ヒッパリと私の投擲加速力ブンナゲ加算プラスされ、双子娘よりも先にC-4がUFOアダムスキー型の中に吸引スイコまれていきます。私は双子娘を両脇ワキ抱擁カカえると、カーブミラーに向けて打矢を投擲げました。紐がカーブミラーに絡まりましたので、私は紐を手繰ヒッパってUFOアダムスキー型シタから離れました。安全ブジ着地りてから私はスイッチを起爆れました。私の目論見ケイサン通りUFOアダムスキー型墜落ちました。


 幸いにも双子娘も私も無傷ノーダメで済みました。ここ最近はUFOアダムスキー型による誘拐アブダクションが多発してきたところです。報道風娯楽番組ワイドショーにも取り上げられる程社会問題になっていましたから、最近の私は対UFOアダムスキー型用の戦術を練っていた事が功を奏しました。そこへ騒動サワぎを聞きつけた屈強マッシヴ二丁ツイン消防斧マスターキー青年ナイスガイが駆けつけてきました。彼は双子娘の兄であり、たまたま目にしたUFOアダムスキー型破斬ブッタギろうと思い来たというのです。UFOアダムスキー型対象メアテが自身の妹たちであり、尚且つ誘拐アブダクション寸前に助太刀ヘルプが入った事もあってか双子娘の兄は私に対して好意的フレンドリーな殺意を向けてきました。成程、彼は体系的な武術ワザこそ学んでいないものの、二丁ツイン消防斧マスターキーを用いた格闘経験ジッセン豊富タクサンと見えました。生来の恵まれた体格ボディ臂力パワーでは一生敵う事はない、と私は判断しました。それでも勝筋ヒカリはあります。これでも私は一端の暗器使いアサシンです。表道具ヤットウ暗器シコミ併用アワせれば致命傷クリった攻撃も不可能ムリではないでしょう。暫くの睨み合いの後、双子娘の兄は急に殺気をユルめ、私に握手を求めました。双子娘の兄曰く、邪心クズ殺気ノリで解る、との事です。私としても彼ほどの実力者マスラオ友誼ダチることは歓迎すべき事でした。その時です、私たちの眼前に数百機のUFOアダムスキー型襲来オソってきたではありませんか。UFOアダムスキー型は双子娘を献上サシダす事を条件に我々の命を見逃すと通告オドしてきました。当然、私も双子娘の兄もテロリストの要求ユスリに屈することはありません。双子娘の兄が二丁ツイン消防斧マスターキー投擲げ、数十機のUFOアダムスキー型破壊ブッコワします。即座スグに彼は二丁ツイン散弾銃マスターキーに切り替えて迫りくるUFOアダムスキー型の群れを撃墜オトしにかかります。私も打矢を投擲げては細く強靭な糸を指先の如く操りUFOアダムスキー型切断ブッタギり、UFOアダムスキー型の破片を絡捕ツカンでは他のUFOアダムスキー型衝突ブツケていきました。一機だけUFOアダムスキー型を逃がしましたが、我々の脅威チカラを知らしめるには生存者マケイヌがいた方が好都合です。私も双子娘の兄も見逃す事に異論はありませんでした。


 それにしても、いくら誘拐アブダクション狙いとはいえ一遍に数百機のUFOアダムスキー型飛来ヤッテクるなど奇妙ヘンな事です。その事について双子娘の兄は事情ワケを知っているようでした。彼はその事情ワケについて話す事を苦渋シブりましたが、既に乗り掛かった舟だと説得し聞き出すことが出来ました。実は双子娘は宇宙人エイリアンが狙うだけの価値がある超能力者エスパーだというのです。誕生まれた時より念話テレパス取寄アポート転送アスポート空間跳躍テレポート過去視ポストサイト未来視フォアサイトなどが発現していた双子娘はあらゆる勢力が生唾ツバを呑むほど欲しがる存在だったのです。双子娘の両親と兄は双子娘を守るため今日まで努力を積み重ねてきたと言います。恐らく先のUFOアダムスキー型もどこかの惑星ホシ回し者エージェントでしょう。私はその話を聞いて、双子娘の境遇ウマレ家族愛アイに深い感動を覚えました。ここまで事情ワケを知ったのならば、私ももう他人ではいられません。誘拐は立派な犯罪です。向こうが再度モッペン仕掛ブッコンんでくる前にこちらから殲滅ブッコむべきだと判断した私は、逃がしたUFOアダムスキー型の通信チャンネルを傍受ハックし、UFOアダムスキー型本拠地ホームに向けて黒洞魔法ブラックホール発射ウチコみました。術式マホウ展開チョクゲキすれば、半径数千kmがシュワルツシルト半径に飲み込まれる事でしょう。惑星程度一瞬で重力の井戸の底です。


 これで外宇宙ソト脅威テキからは一旦逃れられましたが、地球上の脅威テキはまだ続いています。私たちの前に双子娘の婚約者フィアンセを名乗る5人の少年ガキが現れました。合衆国大統領プレジデント息子ガキ連邦首相プライム息子ガキ世界的IT企業CEOボンボンガキ石油王オイル息子ガキ国際スポーツ大会無敗アスリートガキの五人です。何れも自称婚約者フィアンセでしかありませんが、彼らは既に自分たちの誰かが双子娘と結婚し自身らが繁栄する前提ウエで話を進めていました。正直私は彼らの不遜クソ態度ナリ立腹ムカツいていました。双子娘を自身の立身出世スターダム道具ネタとしてしか見ていない様にしか私には見えませんでした。双子娘の兄も自称婚約者フィアンセたちの態度ナリには思う所があるようですが、彼曰くこの5人は数万人は立候補した自称婚約者フィアンセ候補の中でも群を抜いて知力体力に優れた連中エリートとの事です。ある意味この5人がいる事が一種の抑止力フタになっているのでしょう。かといって自称婚約者フィアンセたちを受け入れる事など双子娘一家はだれも望んでいません。故に何らかの方法で決着ケリを着けるべきなのですが、その方法が見つからないのでした。


 随分業を煮やしていたのでしょう、双子娘がとうとう自称婚約者フィアンセたちに宣言げました。それは双子娘とどのような手段でもいいから決斗デュエルをして勝利する事を条件に掲げたのです。いの一番に国際スポーツ大会無敗アスリートガキが名乗りを上げました。ですが素手一人ステゴロ得物ブキ有り二人では流石に絶対王女アスリートも膝を屈服クッさざるを得ませんでした。続いて石油王オイル息子ガキ金銭オイルマネーで搔き集めた傭兵を率いて双子娘に挑みました。ですが空間跳躍テレポート未来視フォアサイトで逃げられ逆に追い詰められた傭兵たちは契約を打ち切って帰ってしまいました。大統領プレジデント息子ガキ首相プライム息子ガキはどちらの軍事教育が優れているかで論争ケンカとなった挙句、双子娘そっちのけで闘争バトり始めました。残るはCEOボンボンガキですが、殺気をぶつけあうような競技スポーツ喧嘩ゴロもした事の無い彼女は凄惨グロ戦闘バメンに恐れをなし意識放出キゼツしてしまいました。大統領プレジデント息子ガキ首相プライム息子ガキはまだ闘争バトり続けていました。いい加減に決着ケリを付けて欲しかった私は大統領プレジデント息子ガキ首相プライム息子ガキに三つ巴の勝負を申し込みました。二人とも私の提案アンを受けたので、双子娘の兄を立会人レフェリーとして三つ巴の決斗デュエルを行う事となったのです。流石は大統領プレジデント息子ガキ首相プライム息子ガキ、各々の国の軍事教育は実に機能的システマティックですが、これでも私は一端の暗器使いアサシンです。糸を振回るい、針を投飛ばせば鉄筋コンクリートを破壊ブッコワセるのです。彼らのアサルトライフルもナイフ格闘術コマンドも、私の打矢の前では無意味ノーダメでした。二人が膝を屈服クッした所で私は改めて双子娘に決斗デュエルを申し出ました。婚約とかはどうでも良く、どうしても戦闘ってみたくなったのです。双子娘は薙刀を構え、私は打矢を槍衾ファランクスの様に展開ヒロげ二刀を構えました。双子娘は空間跳躍テレポート使い、2πrad360°の警戒を怠る訳にはいきません。打矢の槍衾ファランクス2πrad360°展開ヒロげ、二刀で防御マモリを優先する。これが私の戦略でした。私の戦略は上手く行きました。その結果は互いに膠着状態ステイルメイトとなり勝負が流局ナガれたのです。この結果に自称婚約者フィアンセたちは肩を落胆として帰っていきました。当の私は、今度双子娘の家に遊びに行く約束を取り付ける事が出来ました。

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