第2話 漫画「ルックバック」を三幕構成と二項対立で見る。


 三幕構成と言う物語創作術は古代ギリシアからあり、アリストテレスは「詩学」に中で三幕構成に触れているほど古くからある考え方だ。


 現代的三幕構成の基礎は79年シド・フィールドにより理論化されたと言われている。


 三幕構成は現在多くのシナリオ教本で基本的知識として扱われ、物語作成や解読に使われている。


 今回最初に「ルックバック」を解析するのにはこの技法を使いたいと思う。なぜなら現在少年ジャンプに掲載されている漫画の多くがこの技法を徹底的に守られていると感じるからだ。特に一話目では顕著であり、その技法への徹底ぶりは現在新しく始められる漫画全体に大きく影響を与えているように思われる。


(ここでは例となる作品は上げない、それにはさほど意味がないと感じるからだ)


 そのため、いつもと違う(通常のジャンプ作品の発表の仕方とは違う)インターネット上で百五十頁ほどの作品を一挙無料公開した「ルックバック」でも、同じなのか気になったからだ。


 二項対立とはソシュールが提唱した考え方で、この技法を神話の分析に応用したのレヴィ・ストロースだ。レヴィ・ストロースは神話の中には普遍的に対立構造が潜んでいて、その対立構造を抽出することにより深層に潜んだ物語構造を解明できると言った。

 

 三幕構成は基本的に1、設定2、対立3、解決の三幕で作られると言われている。その先にあらゆる創作論やシナリオ論の著者により色々な解釈があり、考え方は違うのだが、ここは基本にのっとり進めていきたい。


 二項対立はお互いが不均衡な力関係に晒されていることによりその上下関係を、その上下関係を作っている社会的因子に注目することを主に使っていきたい。

 

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