本作は幼い頃の自分と再会する不思議な物語です。
主人公の温子は運転中に幼稚園の送迎バスの後部座席で手を振る子どもを見ます。
それは幼い頃の自分だったのです。
不思議な体験のなかで思いだしたのは、手を振るのは、寂しさを紛らわす遊びだったこと。
幼い頃から自分には友達ができなかったこと。
それは誰とも分かり合えないと彼女が思う原点の記憶。
記憶の奥底にしまい込んだ自分との再会でした。
過去の孤独を埋めるように幼い自分へ手を振り返す温子。
それは彼女の日々の小さな楽しみともなってゆきました。
そんな不思議な日々の中。
シングルマザーの彼女は幼い娘との何気ない会話のなかでとある大切な事に気がつくのです。
不思議で特別な時間。
過去の寂しさへの救い。
それはそのまま、現在の自分を見つめ直す機会ともなりました。
この物語は近くにいる人を大切にしたいと思わせてくれる優しさに溢れた物語です。
ぜひ、ご一読をおすすめします。