第17話 もっと心を覗きたい

場面は14話の続き。

帰り道の電車に揺られて、結姫ちゃんと太陽君が手を繋いでいるところからです。

~~~~~~~~~~~~~~~~


しばらくすると、また太陽君がお喋りを始める。

私から手を繋いだことが無かったせいで、いつになくドキドキしてしまっている。眠気もどこかに行ってしまった。


太陽君ばかり話をして会話のバランスがとれていないと思ったので、もうそろそろ私からも話をしよう。


そうだ。

太陽君のお義父さんの話を聞いて、一つ決めたことがあったのだった。


「太陽、私ね。いろんな人の心を覗きたい」

「それは……、良い意味だよね?」

「それはそれは良い意味だよ。逆に悪い意味って何を考えてたの?」

「いや、観測分体の悪用はUOONでは禁止されているから。結姫は何でもやりかねないなと思ってさ」


私、もしかして全然信用されてない?

心を覗いて聞いてみよう。


『私のこと信用してくれてる?』

『もちろんさ。好奇心の強さを除いてはね』


一応、信用してくれてはいるのかな?まあいいや。


「太陽は私のブレーキね。アクセルは任せて」

「それは…身の危険を感じるね笑。分かった。体当たりしてでも止めて見せるよ」

「ふふっ。任せた」


少し照れ臭くて、カッコいい…かもしれない。


「太陽ってさ、私に心を覗かれたら嫌?」

「絶対に嫌って訳では無いけれど…。結姫が知られたくないと思うことは、覗かないで欲しいかな」

「それって、例えば、R18的な事とか?」


──私、今、何て言った!?バカ!


「なっっ!で、でも、そういうこと」

「……わかった」


つい、三花ちゃんと話すような感じで喋ってしまった。


今までそういう意味でほとんど意識したこと無かったのに。

いずれ何かそういうことをするのか、とか、ちょっと想像してしまった。


……


太陽も急に無口になるし、気まずい。

軌道修正しなくては。


「安心して。怒ってる時以外は覗かないようにするから」

「あ、ああ。善処するよ」

「話を戻すけど、覗きたい理由はね。UOONだっけ。将来的にそういう学校に行くならさ。観測力を鍛えといた方が良いと思ったんだよ。太陽と長く一緒に居ようと思ったら、鍛えておいた方が良いかなって。どう思う?」

「それは良い考えだね、嬉しいよ。何か協力出来ることはあるかな。僕の心を覗く以外で」


実は覗かれたくないのね笑


でも、人間というものは覗くなと言われたら、つい覗いてしまう生き物なんだよ。特に私はね。


そう言えば、今まで太陽君からエッチな感情が伝わって来たことって無かったな。それなら、心を覗いてもいいのかな……って。


──何も思われて無いなら無いで、逆に問題ある感じ?


いやいや、この話は一旦忘れよう。


「一つ案があって、部活を作るのを手伝って欲しい。太陽は強制参加で良いよね?その名も茶話ちゃわ部」

「チャワ部?一体何をするんだい?」

「その名の通り、お茶をしながら雑談するんだよ。最近悩んでいることを一つずつ持ち寄って、話し合うの。そして私が、相談相手の心を覗いて、心に刺さりそうな言葉を言う」


「少し難しくないかい?」

「ううん、後半は単なる理想でね。悩んでいる人の心を覗きたい欲が満たせればノルマクリアって感じ。話した人も心が楽になれると思うし、WINWINかなって」

「うん、そうだね」

「じゃあ、部活の作り方を先生に聞いておいて欲しい。そういうの得意だよね。お願いしてもいい?」

「おーけー。任せといてよ」


さてと、用件も言えたし。

少し怖いけれど、早速少し踏み込んで心を聞いてみるとしよう。


ごほん。


『私と手を繋いでいるよね。何か思うことは無いの?例えば…、このまま抱き締めたいとか?』

『結姫の手っていつもさらさらしてるな。これから乾燥する時期だから、ハンドクリームを買ってあげよう』


──どういう感情??ドキドキとかしないの??


汗でベタベタよりはいいけどさ。


もういい!寝よ寝よ!


「太陽。着いたら起こして」

「いいけど……距離感近くない?」

「嫌?」

「いや、……嬉しい」

「あほ、ばか」


太陽君にわざと体重をかけて、無理やり眠った。



~~~~~~~~~~~~~~~


◯作者コメント


書いていて、付き合いたてのラブラブな感じがいいなー。

と思いました。(羨ましい、、)


ちなみに三花ちゃんは、結姫ちゃんの隣でずっと爆睡してます。

三花ちゃんにも幸あれ!!


投稿前に追記:

「積読消化キャンペーン」

って書いておくと良いことがあるそうなので、しれっと追記。笑

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