第2話 私と恋と自問自答(2)
「
「……おはようございます」
高校の校門前。
体育の先生が朝の挨拶ついでに、遅刻する生徒を見張っている。毎日毎日精が出るね。
先生が挨拶で挙げている左手、その薬指。指輪が朝日を反射して光る。
あんなに頭頂部が禿げてても結婚って出来るんだ。
――結婚って不思議だな。
「結姫ちゃん、おはよ!」
「おはよ」
声をかけてくれるのは、幼馴染の
群れることを嫌って勉強だけしてきた私の、ただ一人の友達。
三花ちゃんとは幼稚園から一緒で実家も近い。義務教育の波に乗って、小~中学校も同じ。
彼女がいない場所では生きられ無いので、勉強が得意な私が必死に教えて、何とか同じ高校にギリギリ滑り込ませた。
やればできる子。
だけど正直、勉強の才能は無い。
同級生の高校一年生だ。
そんな唯一の親友に、思ったことを聞いてみる。
「単純な疑問なんだけど。何で体育の先生って結婚出来たと思う?」
「え!?校門に居た先生だよね。考えたことない角度の疑問だな……」
こんなくだらない問いかけも、ちゃんと考えて答えてくれる。
「体育の先生ってことは筋肉があって、学校の先生ってちゃんと仕事してて、若い時は禿げて無かったんじゃないかな。詳しくは、本人に聞いてみたら?」
「聞くのはちょっと…。なるほどね」
面倒見が良い性格のお陰で結婚出来たらしい。何となく、そんな気がした。
思えば最近は、三花ちゃんと恋愛の話しかしていない。
今までにお互い彼氏とか出来たことは無いけれど、地球がひっくり返っても三花ちゃんの方がそういうのは早そうだ。
「また恋愛で悩んでるの?最近いい傾向だと思うよ、彼氏出来たら教えてよね」
「いや、恋愛の悩みというよりは、人間とは何かという哲学に近い……」
「あははっ、頭だけで考えてないで行動しないと恋愛は一生分かんないよ」
「それな」
「そういう変な所、好きだよ」
目をパチパチして、何の告白なのか。
とにかく。こんなに気にかけてくれる友達は大切だ。特に私のような性根の曲がった人間には特に。
私の中の友達という概念は、百%彼女によって形成されている。
だから、友達には彼女のように接するのがお手本だと考えているし、実際、彼女は陽キャであるし、友達も沢山いる。
私は彼女にとって、その友達の中の古参の一人でしかない。でも私にとっては彼女しかいないから、精一杯良い友達でいたいと思う。
"目には目を歯には歯を"の、法典では無いけれど、ウインクされたらウインクで返すのが礼儀か。
ちょっと頑張って、出来ないウインクを返してみる。
私のまぶたの神経は別々に閉じるということを知らない。
「出来てないの。かーわいい」
「ふんっ」
三花ちゃんへの好感度が五つ下がった。
元々の好感度が無限のため、誤差である。
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◯作者のつぶやき
元々一話目が7000文字超あったのですが、短いのが相場だそうなので、四分割しました。
個人的には長い方が没入感があって良いと思うのですが、郷に入っては郷に従えというやつですね。
次回から恋愛展開始まります。
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