四杯目 檸檬

第4話

檸檬サワーといえば思い浮かぶものがある。

例えば某グループだったり、はたまた初恋の味かもしれない。

これは人によってさまざまなものが思い浮かぶ不思議な飲み物かもしれない。


まさに今思えば私にとって檸檬サワーは初恋の味でこそなかったが、

間違いなく記憶の片隅を支配する味だった。


まだ私がお酒を飲めるようになったばかりのこと。

二つ上の彼と初めて居酒屋に行ったときの味だ。


もともとあまり甘いお酒が得意でなっかた私が精いっぱいかわいくあろうとして

選んでいたのが檸檬サワーだった。

せめてもの抗いだったと思う。

そんな浅はかな私をやさしく見つめていてくれた眼差しが酔いを加速させ、

私は深い沼に落ちていた。

そう。


泥酔した…


トリキのサワーで乾杯した後スポッチャでオールナイトなんてまたの夢。

現実は無情だった。


彼の腕の中でボロボロ泣きながらさらした醜態。


完全に振られるかと思った。

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おうち酒場三丁目。 @sakezaki

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