三杯目 角はお好きでしょ?

第3話

角瓶ー。


皆さんはこいつをご存知だろうか。

サントリーのウイスキー。

私は長らくこいつと人生を共にしてきたと思う。

このウイスキーで作ったハイボールを


「角ハイボール」


なんて呼ぶ。


ついこの間専門学校を卒業したが、専門在学中飲みに行く際にはみんなに角ハイはあるか何度も確認した。

挙句の果てには、飲みに行く居酒屋に角ハイがないと大丈夫か心配されるほどだった。


ここでひとつ言っておきたいが、別に角瓶のウイスキーが好きな訳では無い。

これが角ハイボールという形になるから好きなのだ。

炭酸水と混ざりあってキンキンに冷えたその状態を愛していたのだ。

もはや旦那と言えるほど酒を飲む際にはこいつと口を交わしていだと思う。


そして、今手にしているのもまた角ハイなのだ。


缶の角ハイを片手に持っている。

銀色の缶。7%。

こいつさえ居れば、嫌なこともほんの少しだけ見えなくなる。

それでもできない時もある。

そんな時、それは金色に変わる。

濃いめの9%


「たまにはいいだろ」


そう言っている気がした。


たったの2%。


たかが2%


されど2%


この数字は小さいようでわたしの中では大きな意味合いを持つのだった。


忘れたいことも忘れさせてくれる、2%なのだから。


「ウイスキーはお好きしょ?」

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