第5話 アメージング グレイス

教会の讃美歌を聴きながら。

みんなはどうしているのだろうと思う。


私は何とか脱出できたから、こうしてここで祈りを捧げる事ができる。

もう、何年目、、、。

破壊された街や村、灯も無く、水も無く、

暖かい火も無く。

クリスマスなのに食べる物さえ無いかも知れない。


家族を想う。

ボルシチ、キャベツロール、バレニキ、ビーツサラダ。

あまいクチャ。

みんなで作って家の中には美味しい香りがした。

当たり前でずっと続くと思っていた。

あの日まで。


帰りたい、帰りたい。

でも、幼い私だけでもと送り出してくれた

父や母、祖母、祖父の気持ちを思えば、

私は異国の地で生きなければならない。

それが私の使命だから。


主よ、どうかウクライナの人々の魂をお救い下さい。



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聖夜 菜の花のおしたし @kumi4920

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