第4話 サンタがまちにやってくる
頼んで置いたクリスマスケーキ。
年に一度だけだから。
あ、教会から讃美歌が聴こえる。
ふふ。
あー、素敵だわ。
さあ、早く帰って料理もしなきゃ。
自転車をこぐのも楽しい気分。
自転車置き場に自転車を停める。
急いで、エレベーターに乗る。
公営住宅はもう古くてガタが来てる。
六階で降りて家に向かう。
待ってるだろうな。
これを見せたらどんな顔するかな??
今年は、スーパーの売れ残りケーキじゃないわよ。
ちゃんとケーキ屋さんの果物が沢山のったのにしたわ。
年末年始も物入りだから悩んだけれど
誕生日もお祝いって程のこともしてやれなかった。
物価高が家計にドンと響いちゃって。
鍵が開いてる、、。真っ暗だわ。
ええ?
どうしたの?
子供達の名前を呼ぶけど返事が無い。
灯、灯をつけなきゃ。
焦って思わずケーキ箱を落としてしまった。
いない、どこにもいない、いない、いない。
どこに行ったの?
ねぇ、どこ???
待ちきれなくて探しにいったのかも。前にもそんな事があった。
自転車置き場に直行して猛スピードで走る。
どこだろ?
公園?商店街?私の職場?
泣きたい気持ちで自転車を漕ぐ。
讃美歌が聴こえる、、。
まさか、教会から離れた場所なのに聴こえる訳ない、、。
でも聴こえる、、。
何かに導かれるように教会へ行った。
「あ、おかーさーーん!」
子供達の声がした。
良かったぁ〜〜。
力が抜けてへたり込む。
ふたりの子供はびっくりして駆け寄ってきた。
「おかあさん、大丈夫?ごめんなさい。
留守番してなきゃいけないのに。
友達から教会でクリスマスの会があるからおいでって言われたの。
それでね、、。」
いいの、いいのよ。
ふたりが無事なら。
ふたりを抱きしめた。
自転車にはチビ息子を乗せて自転車を引きながら娘と歩く。
「おかあさん、教会の人からもらったの。
ほら、クリスマスプレゼントなの。」
へぇー、そんな物を頂けるとはね。知らなかった。
何が入ってるのかしら?
「見て、サンタさんのチョコとかビスケットがあるよ。それに、手袋よ、おかあさん!」
見せてもらうとサンタさんのチョコもビスケットも手作りだわ。おかしなサンタさんなんですもん。ビスケットも不揃い。
手袋は左右の大きさが違う⁇
ふふふ、でもいい。
誰かが心を込めて作ってくださったんだわ。
有難い。
あ!あのケーキ。
床に落としてしまったケーキ。
子供達、がっかりするだろうな。
家に着いて、子供達とおそるおそるケーキの箱を開ける。
そこには、そのまんまのケーキがあった。
嘘みたい、、、。
子供達は大喜びしてる。
これ、クリスマスの奇跡なのかしら。
サンタさん、ありがとう。
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