第2話 【スキル 創造】

 あの声に、「何かご所望のものがございましたら、三つまであげましょう」といわれていた。俺はまず地球の日本語の辞書を欲しいといった。

 前世の記憶が残っているのか、俺は日本語を話せる。もしや俺の前世がこの体だったのだろうか? 

 神様に貰ったスーパー◯辞林で、俺は「そ」を引いた。


 創造——神が万物を作ること。


              *


 俺はもう一度あの紫色の光を見たくなった。一瞬だが、微かに文字が見えた。俺はまた手をしげしげと見つめた。


「文字よ、灯れ!」


 すると光が灯った。……文字だ! 俺は喜びながら、文字よ灯れと叫び続けた。そして声を呼び、「ボールペンと、人間2体、これで三つ、終わりだ」と告げた。ボールペンが俺の手元に落ちた。

 声は、無言で頷いたような気配を漂わせながら、消えた。


              *


 同類を待っている間、俺は暇なので、草地を開拓することにした。そういや開拓ってどうやるんだ? もちろん、日本の辞書には載っていない。

 俺は辞書の片隅に、ボールペンで工場のような図を書いた。「文字よ、灯れ!」

 文字が、灯った。

「声を呼んでほしい!」

 

 投影されている文字が変わった。「コエは、まだヒトを連れてきていません」


「それでもいいから!」


 すると声がやってきて、不機嫌そうにいった。「人を連れてきました」


「ありがとう。開拓ってどうやってやるの?」


 声はうーん、と悩んでから、「大辞林に図を描くのはどうですか? そして、2人の大臣に作らせるのです」

 なるほど、これでよかったんだな。

 

                *


 声が去った後、俺は大辞林を見つめた。そして男2人を呼んだ。俺の同級生のような逞しい男だった。

 

「海があるだろう? あの流木を取ってきてほしいのだが……俺もやるけど、手伝ってくれないか?」


 2人は、無言で頷いた。

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文明を創れ!平地サバイバル! 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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