黄昏の語り第三章、十九話

               「19」


 トマがぼやくころ、司令母機エレナは今悩んでいた。


 死ぬつもりが聖女と聖騎士の肉塊にエネルギーをぶち込まれ復活させられた。


 これには舌打ちするしかない、大好きな戦争で満足してしまったのだ。

 要するに飽きた。あとは死ぬ前にトマの奴を呪っておこうというだけの話。

 そこで生かされる。


 しかし道は示されない……困る。


 聖女と聖騎士、あの二人にとっては増え続け喰い続ける肉塊として生きるよりは人として死にたかったのだろう。急所をきっちり破壊してやったら何か勘違いして感謝しやがった。


 むかつく二人だ。


 絶望したなら世界を滅ぼせば良い物を私を助けに此処まで来たらエネルギー押し付けて消えやがった。


 まあ、この膨大な知性とパワーをもってすれば帝国を築くなど容易い。

 が、つまらない予感しかしない、難しい、悪意以外が難しい。


 一応トマに毒物を打ち込んでおいたから何時でも殺せるが、こう、もっと、こう、劇的な演出がしたい。トマが惚れた女が実は化け物で心を開いた瞬間パクリ。


 これは山羊がやってる事で、しかもトマは惚れもしないで見抜いて先に魂くれてやってる。で、あの山羊、混乱して本能が狂った。魔族と言うただでさえ狂った本能がさらに狂った。


 あれでは獲物を捕食できない。

 邪神の今のトレンドは弱いけど死なない男なんだろう。

 女の助け必要だが、死なない働く男。

 そのコンセプトでトマは作られている。


 普通と言えばそうだが、普通の男は普通に強く成る余地があるのだがトマは心が強い男に成る余地があるのやら疑問。


 あ、ガルーダだ。

 しかも原種、魔物分化した雑魚じゃない、つまり霊鳥。神の使いだ。

 見つかれば滅ぼされる。

 ……逃げるか……この私と言う最新鋭兵器が逃げるっ!糞っ!


「待て子供」


 見つけるの早いんだよ……なんだ?

「泉に行け、体洗って来い」


 それ人に戻る泉じゃん……やだ……ただの目が見えないメス餓鬼なんざスグ死ぬ。ならここで戦う。

「この場で人に戻しても良い」


 したら、アンデットナイトとか言う糞雑魚ゾンビに喰われて死ぬじゃねえか?ここら辺多数出没地帯じゃん。それって人に戻す理由に成るのか?罪と罰セットです的な?


「力据え置きで人」


 もう一声っ!

「大冒険で生き残れば寿命延伸、さらに善人に成れれば迷宮攻略の資格在りと認め、神の責務なしで若返りと不老不死……」


 悪くはないんですが、それって私の幸せになる?


「ならん」


 ですよねえ。永遠生命に必要な永遠精神がない。

 ただの馬鹿には若返りも不老不死も豚に真珠、永遠拷問開始。


「まあな」


 困る。


「私は君が嫌いだ。泉に行って体を洗え、さもなくば、拷問してから殺す。死んだふりも効かない、聖女の助けも聖騎士の守りも、もうないぞ?」


 拷問は好きだが、されるのヤだから行ってきます。

「素直でよろしい」


 ―――、ガルーダは飛んで消えた、―――


 山を越え、エレナ司令母機は、古い集落の廃墟泉に身を浸す。牙と歌いの氏族が残した廃墟だ。牙は戦士を意味し歌いは封印の歌を歌える巫女を指した。ここには大きな強い魔物がいた。空中戦艦を作れる技術なら倒しただろうが古い時代とあって、誰も倒せなかった。滅ぼされたくないから皆逃げたが、強い魔物はどんどん育ち土地の資源を食い荒らす、そして砂漠を広げる。


 このままでは住めない土地が広がるので皆合力したが七度の決戦で敗れ諦めた。


 しかし、強い魔物はそれで終わらなかった。砂を食べ地下に穴を掘り体を大きく育てついにマントルまでたどり着き溶岩まで食べ始めた……星が滅ぼかもしれない。


 観測した偵察兵は怯えた。


 封印するより人の出来る事はなかった。

 何時か戦士が倒すと願い、巫女が結界を張り内部で暮らした。


 幾人かのそば仕えと戦士が巫女の世話と守護のために内部に居残り封印を閉じた。  

 狭く荒涼とした世界、食料を持ち込んでもいずれ死ぬ。


 だが巫女は内側から結界を閉じた。

 そして世界は滅びていないと言う事は連中はやり遂げたと言える。

 誰もまだ発見できていない廃墟にて、泉は残り水だけは困らずそこにある。


 かつて大自然豊な大森林が大陸東方の砂漠に成る前、昔々にエルフの聖地であった。


 今は人の聖地。

 牙と歌いの氏族の伝説が、長命なエルフでも引き継げぬほど古い昔の話。

 しかし、廃墟と泉はそこにあり、歌が聞こえる。


 今も美しい亡霊が歌い、亡霊となった戦士が剣を腰に装備し背中に弓と矢筒を装備する。そして亡霊戦士は歌が嫌い、こんなもので鍛えこんだ戦士が抑え込めない化け物が眠るから嫌い。エルフの魔法戦士が一人前に成るには長い時がいる。その長い時をかけ戦士として鍛え同胞を守っていたのに、巫女の歌で己より強い化け物は止まる。


 口惜しい。


 巫女は喉が裂けても血を吐いても歌い続け発狂しても歌い続け死んでも歌い続け今も歌い続ける同じ歌。


 魔物が好むバカげた歌で、決して人に聴き心地よくない。


 子守歌でも、勇壮な戦歌でも、伝承の謡でも、夕方の恋歌でも、妖精の遊び歌でもない。


 魔物の催眠波だ。人は歌と認めたくないが致し方がなく歌い続ける。

 が、いずれこの地も人の手で封印が破れ大いなる軍勢が救いに来る。

 世界の危機に立たぬは戦士にあらず。

 そして鍛えれば皆戦士となる。

 そう言い続け狂った歌の巫女亡霊を戦士の亡霊は慰める。

 彼女は落涙して今日も歌う。

 亡霊戦士も落涙して同じ「助けが来る」と呪(のろ)いを言い続けねばならない。


 そして今、おぞましい飛行クラゲが二万もの触手を伸ばし高速で飛び降臨。

 封印結界すら敗れ、もはや終末世界の光景である。

 そいつは異国語でほざいた。


「なんだこの雑魚?うわっ!マジ食い意地しかねえのにマントル喰う気だ!星と一緒に死ぬのもわかってねえ……迷惑だから駆除だっ!……毒注入♡……死んだ……よわっ!体ばっかでかい失敗作め、だからお前の種族はお前以外皆死んだ♡今は小型軽量高性能な時代だボケナス♡十キロメートルも育って現代の国を亡ぼせる力があって毒抗体も作れないとは……雑魚♡」


 そして、亡霊となり狂った巫女も戦士も呆然とする中、でかいクラゲ触手の化け物は、泉を汚染する。かに見えたら、何故か大地を癒し浄化しどんどんエネルギーを使い果たしていく。終われば砂漠はだいぶ減り、クラゲの魔物は変質し目の見えないダークエルフの子供に変じ泉から裸で出てきた。


「……マジ目が見えねえ、確か、ここに喰えそうなやつが……駄目か、歯まで弱い、金属も食えねえ……木ならいけるか?、、ここに集めていた奴を……かたい……やはり肉か野菜だな、あるいは穀物、果実、どこにも在る訳ねえだろうが……あっても無駄だ……下手しなくても調理しないと、消化できなくて腹下して終わりか……夏なのに寒い、体が弱すぎる……無理だな……」


 子供は、諦めたように地面に転がる。


 戦士の亡霊と巫女の亡霊はお互いを見つめ合った。


 そう言えば戦いばりかで子供を作ること忘れていた。一族は残っているだろうか? 

 この子は生きて行けるだろうか?……無理だっ!


 ここには何もないっ!

 自然は復活したが人の文化がない、そして我々は亡霊、触れない、教えられない。今から畑を作り狩猟を教える先生がいない、先生がいても食べ物は愚か服すらない。


 あの化け物は人間に成る代わりに大地を復活させ死んで行く。


 しかもダークエルフ族の姿。


 憎きダークエルフどもは他所の土地に逃げて決戦参加せずエルフと対立しても命乞いを続け、我々は諦めた。臆病者どもを北に逃がした時たっぷりと危険な魔道文献をくれてやったわ。それを改良し続ければあるいは十キロメートルまで育った魔物を殺せるやもと思ったが長老の読みは当たった。


 しかし、戦士ではなく化け物を送り子供にしてしまうとは、許せない。

 人はもっと素晴らしいものだ。

 そこを判っていない。子供の生贄ではだめなのだ。


 二つの亡霊は話し合う、巫女の亡霊はガラガラ声だがそれは人に聞こえない。戦士は、泣いて止める巫女をなだめて言い募る。亡霊がこの場を動けば消えると巫女も戦士も知っている。消えて行く体を押さえ戦士は歩んでいくのだ。


 ……亡霊でも許せない……


 ……なら、近くの里まで行って人を呼ばねば……だからっお前はここで……

 

……あらまあ、戦士の貴方がどうやってこの子を助ける心持つ人を見抜けますかな?……巫女の助けが要りましょう、そうですねえ.人では居ませんねえ、あの子は魔物ですから、人ではあの子を殺さねばなりません。


 ……魔獣のトマに話しかけるのがよろしいかと思います。


 ありがとう巫女殿、では……行ってくる。その間にお前はあの子に宿り命を繋げ。


 酷い人だ、これだから戦士は巫女にもてない。

 あの子の命をつないだらきっと私は消えるでしょう。


……まだ生きたいのか?

貴方と共にどこまでも……


 そうか、私もお前も狂ったか……脳の化け物か……悔しいのものだ……私も本当は、お前以外どうでも良いのだ。お前が狂い死のうとも痛みに苛もうとも私はお前を助けなかった。歌い続けろとしか言えなかった……そんなわたしと世界が憎い。


……戦士殿、しかし世界を憎むは止めておきます。休みましょう……

……では行ってくる。

……おさらば。


 深夜、トマは砦の囚人部屋で寝ていた。そこで闇の夢を見ていた。闇、長き闇、暖かな闇、地獄の入り口の闇、冷たい闇、滅びの闇、暗黒生命が生まれる前の闇、全てを閉じる闇、無へ導く闇、愚行の果てに滅びと死しか運ばない闇……なんか殴られた。闇のそいつは叫んだ。


 剣技は生き様では無いそうだ。生き様こそが剣士に成れと怒られた。


 意味不明だった。


が、闇は俺より強い良い剣技を見せてくれた。その代わり走れ保護しろと言った。標的は目の見えない、魔法適性のないダークエルフ、七歳くらい。性格が悪い口が悪い態度も悪い、名前はエレナ司令母機。


嫌な顔をしたらそいつ勝手に俺ン中に入った。

あとは走っていた。


 魔獣の体とはここまで速く走れるとは知らなかった。走り続けると景色が変わった。地図では呪われてしまい植林不能な砂漠のはずが森がある。古い封印があり解析不能で侵入できないはずが、入れた。通常生態系と言うか太古の原生林、魔素のない世界だった。植物ばかり、野生動物も魔物も魔獣もいない、僅かな小虫ばかり、植物ばかり元気で大きい世界だ。空気が濃い強い、妖精が生まれて行く、危険な気がするがずいぶんと穏健な連中しか生まれない、いや自我が途方もなく薄い、魔素でもない。


 魔獣の俺に懐いてくる。

 俺の体の中に入った奴が消えた。

 戦士の魂が消えている。強制力も消えた。

 もう帰れる……が、進んでみるか……景色が素晴らしいので気分良いからな。


とても冷たい泉があって、距離があるのに気持ち良い。

寒冷なる冬の魔素がわずかに噴き出て水を作っている。

そこには七歳のエレナがいた。


「ちっまたてめえか、こっちこい捻り潰してやる。今日の晩御飯ゲットだ♡」

「巨体も触手も飛行能力も魔力もねえぞ?」

「てめえの体に魔法毒を……」

「刺してたな、そいつ起動するための魔法コントロール力が今のお前に無い、ついでに解毒魔法薬持ってる……スザンナって女死なせた時怖くなったから買った……」

「……そうかい……」

「お前なら一撃で殺せる奴生成できたのに何やってんだか……市販薬で何とかなる毒じゃ殺す気かも怪しい」

「……白状してやる。他に遊びの誘い方わかんねえ……」


 トマは、先を聞きたくないので逃げた。文化意義深いエルフの建築物に入り込み今切り出したばかりの薪を発見、炭もある。小麦に米に鍋に調味料に他にも色々ある。が、それは亡霊が一人で作れる分量しかない、作れば亡霊は消える。真実魂が消え冥界にも行けず死ぬ。死を超えて何も残せなくなる。


そしてトマはつぶやく「……バカが……」新品の巫女服が子供用にそこにある。


此奴を拾っていく。


「……どこ行ってた?」

「腹減ったから飯の準備だ」

「羨ましいねえ、こっちは裸で寒いったらねえ」

「こいつ着ろ」


 投げつける。


「最悪、どっかの宗教服だ。体が動かねえから着せろ」

「へいへい女王陛下……おら、浄化魔法に適温魔法込めたサーコートだ」

「……素直じゃねえか……私が社会性魔法昆虫真似た兵器だと気付いたか?」

「ばーか、女王ってのは偉くて気高い、国家の象徴だ。王様の同格、虫けらとは違う。虫は虫で大変だろうが俺は人の女王が良い」

「はん……帝王の方が良い」

「帝国主義は遥か昔、人間同士で遊んでられたのは昔々の話だ」

「族滅喰らう側には遊びじゃねえよ」

「てめえは、あい変わらず、弱った時だけ、饒舌だ」


 出来上がった不味いポトフは栄養価と消化に良いことが取り柄で後は野営地で作れる簡易料理なところ以外良い所がないものを完成させる。おいしいポトフを野営地でも作るため、昔の旅人の努力は虚しくもトマに届かなかったようである。


「クックっクックっ懐かしい味だ。糞不味い、お前班長なのに給仕係のくせにこんなのしか作れなくてよく後輩に突き上げ喰らってたな」

「……思い出したくねえ……」

「お前はそればっかりだ。餓鬼は皆トマを待っていた。お前らが都市を焼いてみんな大歓喜だった。――、魔物襲撃をぶっ飛ばす。そのために各国合同軍結成、聞こえはいいが、それで経済も軍隊も国もかつかつ、皆重労働と貧乏にうんざり、そんな時にトマ♡お前がワルツ盗賊団が来た……新しい遊びを皆に広めてくれた……感謝しかねえ……なのに……お前、すげえビビり、負けんの判ってんだから、死ぬ前に遊んどこうッて皆決めてんのに……一番最初に教えてくれたお前はっ!……みんなみんな楽しかったんだぞっ……なのにお前だけ……」

「飯を食えうるせえ」

「喰ってられるかっ!悲しみやがって、ビビりやがって、私たちと遊んでくれない……」

「一緒に戦っただろうが」

「地獄の後退戦で負けてる時だけな……お前は支援に訪れて友軍が後退するまで魔道砲撃、その後は現場に残って大剣担いで突撃!お前がいなくなったら遊びが詰まんねえだろうがっ!」

「飯を食え」

「他にも戦闘参加したがきついとこに居残って略奪しねえっ!ザッケンナよっ!補給しなきゃ戦えねえだろうがっ!」

「……箱に霊薬があった。エルフの霊薬だ。眼球治療薬……略奪品だ……どうだ?」

「殺すぞ?遺跡探索してお宝発見だろ?そこの建造物にあるのは兵器の時に知ってんだよっ!私の探知系をなめるなっ!」

「……」

「まあ、良いや、で?私を助け、どうするんだ?」

「考えてねえ」

「犬が、駄犬のままだ……私も人に成っても凶暴なままか……他のシリーズは良い線行ったんだがな、本人が羨ましい、要塞に単騎突撃してきっちり地雷踏んでぶっ飛んだ。わざとだ。コピーの私も変われないか」

「飯が冷えたよこせ」

「……温めなくて良いよ……うるせえ喰うよ……虐めて悪かった……言いたい事はそうじゃねえんだ……愛してんで西に連れってください。きっと役に立ちます」

「ヤダ、今決めた孤児院にぶち込む」

「……はあ、やっぱり♡……お前そういう奴だもんな……お前が紹介した国は確かに北邦の覇者、優しい山羊獣人に感化された強いダークエルフが多かった。私みたいな異国で流民やって遺族の婆に保護されてる奴は連中の涙を誘う。どうにかして保護しようとして来て……戦ってくれなかった……しゃあないから地雷原に走ったんだよ……まさか北に同族がいて魔物になった私まで保護に動くとは思わなかった……魔物に成った強く成った……違う……何時でも殺せる雑魚だった……悔しいもんだ」


 見上げれば雲、星も月もない、だが輝く、見れば樹木が魔素の影響で魔法植物に成っていく。そこに放散吸収される魔素が様々な影響を受け属性変化し無数の色で輝き広がっていくが、トマにしか見えない。


 昔の事しか言わないエレナに腹立ってきた。

 霊薬をじゃぶじゃぶエレナの目玉にかける。


「見ろ、世界を見ろ、なぜこんなにもきれいなのに何故見ない」

「……さすが霊薬私に欠落していた素質が補完された。ダークエルフらしいまっとうで強大な魔力が自由に使える……言いたい事は違うってか?トマ……私には判らない。ただ光ってるだけだ奇麗に見えねえ。重巡洋型空中機械の方が好きだ……」

「そうだな……今なら確かにわかる……てめえが砲撃で吹っ飛ばされて好きになる感性は判らんがな、治療成功理由は、ひたすらにお前の執念のみだった」

「……泣くなよ、虐める気はないんだ……好きなんだ」

「お前らは相変わらず怖いものだ……やだ」

「男の子も女の子も三十名集まってお前を捕まえてナイフで脅してこういったよな?千から同調者は居たが可哀そうだから代表に三十名立ったんだ」

「……」

「殺されたくなきゃ友達でいろ、逃げ道用意するから逃げとけ……で、お前は頷いてみんなが手を離した瞬間どうでも良い大樹に魔道砲撃して叫んだ。敵襲ー!大人ども大混乱!超楽しかった!大人が逃げて陣地空っぽ、その間に証拠隠滅して大人どもの飯をたっぷり食った。大人ども気づかなかった。超楽しかった。あれで逃がす気が失せた……お前も逃げる気がなかった……その後、どっかで軍用合成生命の狼を逃がして野営地がばれて、お前の友達が全滅した。小隊は三十名分隊は十名、班は五名しかいないからな……奇襲成功した中隊には勝てねえ……裏切りで死なせ残存する最後の一人である七歳の生きて行けねえ友達を見捨てるのか?」


 トマは五分考えた。

「……俺の負けだ……」


 そしてエレナは溜息を吐く。

「こいつは、多分、愛じゃなくて、脅しだよな?」

「そうだな」

「難しいもんだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る