黄昏の語り第三章、十七話

                 「17」    2024年9月27日


――、夢は冷め出撃してから早くも半日が立った―――


 私はエレナシリーズ司令母機。強襲空戦中だ。


 敵艦長が叫ぶ。「全力急上昇っ!」


 遅い、射撃はもう終わっている。


 鈍亀め、鈍間なハリネズミめ。

 その程度の弾幕で私を振り払えると思っているとは馬鹿な限りだ。


 そら、武装も装甲もないエンジンに弾着していくぞ?


 高度二万メートルから全力急降下開始、防空戦列艦はあらかた片付けたが地上の防空設備が起きだした。私は急降下していく、どんどんどんどん地上を目指して落ちて行く、大地が迫り自殺する様で気分が良い、しかし死にたくないので途中でやめる。照準器一杯に弾薬工場が移り無誘導爆弾を投下。


 愚かだ。


 妨害波を幾ら放ってもそいつは高速自由落下しているだけだ。


 攻撃を防ぐなら超速度で落下する爆弾を撃ち抜けば良いのに、いつまでも誤誘導波と照準の甘い弾幕しか放てない。大爆笑しながら速度を落とさず地上を這う超低空で地上防空設備の弾幕を躱していく、私は標的を目指す。


 標的までの道のりの待機整備中陸上決戦兵器は叩いておく。


 標的の司令部前には急いで展開した脱出用飛行機械と略奪品の山と奴隷たちと研究員と官僚と司令官殿。


 私は空対空機関砲を一発無駄撃ちする。


 ほれ見ろ当たった。


 空中戦闘用の大口径高速弾が当たれば人サイズ生命など爆散して形も残らない。


 司令官殿、君は地上攻撃に向かない対空機関砲一発で死んだんだ。この無能め……まあ本部の命令ではあの要塞を吹き飛ばせば、司令官が死んで作戦成功だから、対要塞用魔道砲を起動する。要塞内部に死んだはずの人質の聖女発見、人質の非戦闘員、難民、医療従事者発見、私は本部に報告しない、魔道砲を放つ。


 刹那で要塞を貫通、大爆発だ。


 気分よく上昇、速度を落とし本部命令を待つ。

 空中待機していると仲間が苦戦している。

 高々の対空飛行部隊に負け込んでるので支援に向かう。


 残存燃料八十パーセント、残存弾薬三十パーセント、対空機関砲弾99、9パーセント。


 対空主兵装クエネゴ式魔道誘導弾体射出装置、エネルギー残量ゼロ。


 つまり古臭い機関砲だけが超速度の立体飛行戦に使用可能な唯一の兵装。


 気分は最高だった。


 標的共の動きが面白いのだ。


 高く飛んで雲の中を進み落下するように敵戦隊のリーダー機を機体の背中から機関砲でぶち抜いて、私は増速する。降下を利用し限界まで速度を上げて、リーダーを失い一番混乱してる標的を斜め横から近づき機関砲で順番に三機砕くと同時に回避起動、くるくる回って増速しつつ曲線回避に移り相手を誘導、私の尻は安くない、相手が追撃のために加速に入った瞬間こちらは減速。


 機関砲より長射程精密攻撃可能な魔道砲を持ちながら、無数に攻撃して私を撃ち落とせないから接近して命中率を上げようとしたんだろ?


 愚かだ。


 やりたいことはわかるがそれでタイミングと距離を読まれて私を追い越せば、私が照準していた弾道に自分から五機も身を晒すだけだ。


1,2,3,4,5


ハイ終わり。死に損だ。エレナシリーズにも選ばれる高性能機関砲の連射速度は秒間千発。そんな物に二秒も至近距離で身をさらして無事な物は居ない。


「空中本部に報告、対空装備を使い切った。これ以上の戦闘は無理だ。後退許可を願う」

「駄目だ。ムサンナブ国へ行くな、空中待機しろ」

「空軍基地に戻るだけです」

「エレナうそをつくな」

「私は傭兵です。報酬を先に提示したのは貴方の国だ」

「聖女は生きていた。君は報告しなかった。契約と違う」

「そんなこと言われても困ります。無誘導爆弾抱え古臭い危険な急降下爆撃やらされて弾薬庫を吹っ飛ばしつつ弾幕かいくぐって要塞を吹っ飛ばすまでが私の仕事だ」

「違う、神と交信できる聖女の安否確認、そこで彼女が生きて居るのなら地上軍が奪還に進撃、どれほど死のうが奪還だ。聖女だけが生き残る奪還。そしてもし、君の探知能力でも聖女が死んでいたらその時は魔物に聖女が解析される前に要塞諸共に焼く……最初に説明したはずだ」

「知りません。私が聞いたのは悪神からの命令、〝滅ぼせ〟だ。聖女は生きて居ましたが地下の研究設備を崩壊浸食させ三百メートル空間一杯の肉塊になって脈動し悪神の依り代と言うか出産装置になっていた。壊したほうが良い、聖女を分解解析していた魔物すら逃げて連中は国家崩壊中だ。おかげで楽に進撃できましたが……あれは危険すぎる……」


 私は証拠映像と、検知した魔道波形と、数理モデルと、魔道生命工学が予想する聖女だったものが生み出す生き物の戦闘能力評価を本部にデータ送信した。そして本部との通信を切る。


 大爆笑して、ムサンナブ国に向かう。


 ここは第七魔物大陸。

 聖女奪回に向けた機密遠征軍はどうにか地上軍派遣を阻止した。


 聖女殺害は空軍の密命である。


 どれほど空軍が強大無比となろうとも、戦争の基礎である地上軍が弱体となれば、空軍の戦闘能力を維持する空軍基地を守るものが居なくなる、何よりも爆撃では戦争は終わらない。皆殺しにできない、憎しみを育てるだけ、陸軍の制圧力が無いと戦争は終わらない。空軍は陸軍海軍に有利だが戦争を終わらせられないのだ。


 最強なのに戦争を終わらせられない、それが空軍。


 或いは異世界か未来なら別の展開かもしれないが今はここだ。人類の陸上戦士は人類大陸から動いては行けない。故に私が泥をかぶると聖女が死んで陸軍の派遣を阻止出来て、その報酬に私はムサンナブ国まで飛べて撃墜されず追手がかからず目的地に誘導してもらえる。


 今回の作戦で、エレナシリーズはあらかた死んだ。


 まあ、仕方がない。商業魔道国の機密兵器と言っても、商業は繁栄のためにあり魔道は学問のためにある。つまり兵器作成とは相性が悪い。資金力と技術力と発想を抱えていても、こう思ってしまうのだ。


「……こんなやばいもの作って量産して……人類は生き残れるのか?」


 小銃にすらそう思ってしまう。根拠は食べられない、のどの渇きを癒せない、冬の寒さをしのげない、夏の暑さをしのげない、心を癒し楽しませる事も小銃本来の機能では難しい、狩りに出て獣を肉にできれば小銃も意義深いが、戦争用ではなあ、きっとキフドの連中はやる気をなくす。


 が、警察であれ軍隊であれ「治安」を作れる。

 二者が兵器を握る意義は深い、「治安」の為である。


 こいつだけは連中にしか作れない所がある。暴威に対して逃げるのでは無く戦いで勝利して「治安」を作る。平和ではない、平和を作る素材を提供してくれる。英雄ではなく神でもなく僧侶でも法律家でも道徳家でもない、人をぶん殴って止めてくれるのだ。魔物が出てくればぶっ殺すまで踏みとどまる。


 敵を殺して殺して勝者となって、故郷の財と国家を守り治安を作る。

 作った治安を、政府に官僚に市民に道徳家に法律家にその他の人々に渡す。

 平和を作ってくれると願う。

 そのために殺しもやる。


 矛盾多き血濡れのまだら道だ。付き合いきれるものではない、私には私の夢と平和と遊びがあるのだ。おそらくは概念神の世界なら悪と愚かは良く栄え私も幸せだった。だが、ここは廃棄世界、実質に神が居るから、私も悪の非効率に怯えざる負えない、せいぜいが臆病な皮肉屋止まり、魔物になった強く成った永遠の殺しを楽しめる。


 そう思っていたのだがな……


 まあ、今はどうでも良い。

 空を飛べる、音速を超え、鳥を超え、魔物を機械を超え早いのだ。

 宇宙空間も飛べる。長くは飛べんがな、そこからの絶景は素晴らしい。


 大気圏の光景も素晴らしい。ほら大陸が見えてくる。懐かしき我らが砂漠地帯、農業国のファム穀倉地帯、そこを飛び越え砂ばかりの交易国ララ、少数民族が隠れ住みそいつらはオオカミに変身する秘術を使う。つまり魔物と人を行ったり来たり出来る。強いから軍隊が良く誘うが連中はがめつくて戦場ですぐに逃げる。


 そんな少数民族抱えるララ国の砂と山を越えればムサンナブ大森林が見える。魔法樹二百メートル級ギガースツリーの森だ。ここは夜、国の南東区侵入前に旋回、国境線で空中待機。ここまでは来れたが防空網が固い……戦闘突破は死ぬな……


「ムサンナブ空軍管制室に通告、交戦意思なし、入国許可願う」

「原隊に帰れ」

「こちら、武装をパージ、戦闘能力ゼロ、入国許可を願う」

「機密兵器の司令母機、原隊に帰れ、非武装でも撃墜する」

「……悪いが押し通る……」

「原隊に帰れ」

「防空管制官殿……ワルツは好きかい?」

 踊ってやる。全弾を躱す最後フライトだ。


 ―――、エレナシリーズ司令母機の、その判断が検知できた時、北邦商業魔道国のキフド連合国空軍属、倫理兵器エレナ型のガルムシリーズ製造番号129号はがっくりと首をうなだれた。今から魔族を虐めてやろうとしたら、司令母機が勝手に戦場を離れこっちに来てしまった。


 倫理兵器と名はついてるが結局は、「倫理を覚えきれない馬鹿兵器」が正式名称。


 正確には軍人失敗作と言ったところか、それでも使い道を作って破棄しない祖国がいるのだからもう、それで良いじゃないかと思うんだが、司令母機はエレナの完全コピーだから、性格がそのままだ。本人はバロック装甲集団を求めてうろついて、精鋭にたどり着けずつまらない要塞も突破できず戦って死んだありふれた詰まらない少年兵だ。子供殺し嫌な人がエレナをわが国キフドに運んで来た。


 そんな過去話では大体こんな感じだったらしい。


「こういうバカを作らない方法はありませんか?軍隊では殺すしかないです。一応まだ生きてて……子供で……」

「わが国でも無理っ妖精に見つかる前に持って帰ってください」

「妖精ですか?」

「わが国は闇の妖精が多い、そいつらはきっとこの魔物の死体をアンデットにする」

「……わかりました……」


 が、遅かった。


 闇の妖精がエレナに同情して復活させる。で、その凶暴さに妖精共は逃げだす。死にたい所を無理やり生かされてしかも怒りの表現が殺しといじめしか知らないから妖精はどんどんエレナに虐められる。一瞬だった。闇妖精共がエレナをこっそりアンデットにした瞬間我が国から妖精がすべて逃げた。それだけ妖精と相性が悪い無敵のいじめっ子がエレナだった。


 が、妖精たちは可哀そうだからエレナを助けて残りの事は賢い魔導士様お願いしますと来たもんだ。当時のキフド国は上層部一同頭を抱えた。その結果、生まれたエレナシリーズ129号も気分が悪い話だ。


 腐る気分を変えて129号は戦闘機の中からムサンナブの闇に話しかけた。

 仕事の時間は残り少ないのでケリを付けに入ったのだ。


「あーあー、祖国から逃亡した馬鹿な闇ども、エレナが来るぞ?怖かったら祖国に帰れ」

「やだっ!こっちには聖騎士様と聖剣デュランダルがある!きっと助けてくれる!」

 闇の塊が巨人を形作るがよく見ると闇妖精共が組体操の要領で手を取り合っているに過ぎない張りぼてである。129号は鼻で笑って説得に入る。


「エレナが怖けりゃ諦めろ。お前ら闇属性、聖剣なんか作れない……」

「……そうなの?」

「そうです。神聖属性に成りましょう」

「やだっ!キフドの魔導士様が使ってくれなくなるっ!ほかの国の仕事は兵器ばっかりっ!だからやだっ!」

「なら祖国に帰れ」

「こっここはムサンナブ国!依頼を出して報酬を提示するとカッコい奴らがニヒルに嗤って難しいこともやっつけるっ!」

「冒険者は猫探しも、邪神殺しも手伝うが、闇属性は嫌いだ」

「なんでっ!」

「相性が悪い、暗黒属性に出会うとムサンナブは虐められたくないから滅ぼすしかない」

「虐めてないっ!」

「エレナもそう言ってお前らで遊んだな?今はお前がエレナだ」

「……」

「判ったら祖国に帰れ」

「……うん……」

「エレナシリーズはお前ら虐めたのを反省して戦場で死んだ。つまりお前らはもうエレナに虐められない」

「本当?」

「知らん、私だってエレナシリーズだ。つまり少し残滓は残る」

「そっか~」


 馬鹿どもが巨人の姿をほどき勝手に北邦国に帰り始めたので、次に129号は魔族のユーリを見つめる。

「さて続きだ。トマをよこしなさい」

「なんで?」

「それはお前、言わせんな恥ずかしい」

「トマを愛しているんだね?」

「な訳ねえ……いや好きだが命が惜しい……邪神に献上するんだよ」

「え?」

「奴は祖国の解析ではフラれ女だ」

「はあ」

「しつこい、十億年たってもちんけな話を今でも引きずり発狂し、でもしがみ付いてる。魔道国の総ての英知を結集して世界の秘密を求めたら、フラれ話引きずったバカ女が新しい男欲しくてフンババフンババ、訳の分からん技術ばっかり作って、自分を愛してくれる男を作ろうとしただけ」

「馬鹿?」

「お前もな……で、本来の仕事サボってるのがばれて善なる神からエヴォディーカは解雇通知喰らった」

「はあ」

「が、十億年育った邪神は善なる神の加護なしで邪神の地位、能力、知性を維持発展強化成功。そこまでして求めたのが此奴、先輩、トマ」

「なんで?」

「愛してもらうために沢山因果率操って他にも候補がいて、好みだったから」

「え゛っ!大好きだけどっ!言っちゃなんだけどっ!トマってっ!そこまで良い人でもいい男でもないよっ!」

「そう、その通り、だが知らん。暗命派大僧正ゾックが必殺技知らんぷり。要するに付き合いきれねえ、知りたくない、こっちはもっと重要な仕事を山ほど抱えているのに邪神の男の好みに使う脳細胞は増やしたくない。インテリはわが国で皆切れて研究辞めた」

「……」

「と言うわけで我が国はそこの少年兵を祖国でブラッシュアップさせ、魅力的な男にして邪神に献上することで世界への干渉を辞めさせる。ご協力ください」


 これは愛のピンチである。

 ユーリは決死の覚悟でダガーを抜く、攻撃魔法も放つ、高速戦闘も行う。


 弾かれる、全て弾かれる。異様に硬い、ユーリは短時間ですさまじい破壊を示したが壊せなかった。


「偉大な戦闘屋はこう言う時相手が納得するまで殴りつつ無駄と言い続けるそうだ。だが、私はエレナ、苛めが好きでねえ、説得なんかしない……」


 天空より来たりしキフド連合国機密兵器のエレナ司令母機が現れて129号の言葉を遮るように姿を示す。


 醜い、触手が二万本ある。

 脳みその構造体がはっきりわかる21メートルクラゲに似ている。

 そして頭が四つ。


 触手の先端に生命を兵器に改変し司令母機の配下にさせる毒液を注入可能だ。体自体がムサンナブ防空システム突破で傷塗れ、体液が噴き出て行く。

129号は司令母機に通信装置で話しかけた。


「きちまったか司令母機」

「まあ、来ちゃった129号」

「だよなあ、私でも行く、先輩に会いに行く、そこの魔族がユーリ殺さなきゃ何しても良い」

「ふむ、私の生存時間は七分か、トマは?」

「そこに寝てる」

「ガス散布はT系だな?」

「ああ」


 129号はユーリを照準・毒針で無力化、トマの横に倒した。

 129号は次に迷彩で闇と同一化。


 エレナ司令母機の触手はT系無力化ガス対策液をトマにぶち込んで起こした。そして飛び起きたトマは、エレナ司令母機を見つめる。戦いを諦めてユーリの前にだけ立つ。


 トマは時間稼ぎにエレナ司令母機へ話しかけた。


「倫理兵器系、サイコブレイクタイプ。自殺宗教を敵国の餓鬼に教え込む経典より質が悪そうだ……勝てねえな……」


 司令母機は微笑むような声音で答える。

「えれなだよ?」


 トマも両腕を広げて天を見つめ答える

「エレナ、、、ワルツ盗賊団の後輩か……ありそうな話だ……魔物大陸からの侵略撃退で軍隊が手薄な時、本国で盗賊働きするなんざ子供でも許せねえ……だから、少年兵は、こうなりますよって早く盗賊団から逃げないとこうしますよって、戦闘能力がない僧侶殺す時、幻覚サイコブレイク喰らったもんな……みんな、そこでいろんな地獄映像見た。で、映像の最後には皆エレナに成る」

「そう、あれきつかった」

「教会を病院を学校を農家をとにかく非戦闘員を襲撃して平気な大人って何なんだろうな?」

「兵器に成れた自分だけ死なない」

「そりゃお前の感想と言うか好みだ。大人連中は大金と幸せで脳が狂った。もう満腹だから死までどうでも良くて怪物になってもどうでも良いんだ。偉い人がこのリスク判らないわけがない」

「何だジャンキーか」

「さてな、会えばわかるが会いたくないな、偉い人が有能な善人で出てきたら俺は嫌」

「さすが先輩話が合うねえ」

「神が居て、世界は広くて、富があって、財があって、指導者は有能な善人でそれで世界はこのざま、そんなの知りたくねえなあ」

「まあ、先輩も魔獣になったわけだし、人の世の理は良いんじゃないですか?」

「……俺たちを殺しに来たのかエレナ?」

「最初はそのつもりでしたが私は別の殺しで満腹ですよ。最後にはムサンナブ防空システム単独突破と言う伝説を作りましたしね。つまり脳内麻薬ジャンキー。そして残り三分で死ぬ」

「何がしたいのやら」

「先輩キスして?あの子に見せつける奴」

「そう来たか、良く、その遊びしてたもんな、美貌使って死に行く女兵から惚れた男奪う遊び」

「ガキの惚れたの恋だの……キス一つで崩すのが楽しくてさあ……儚いを弱いを美しいと勘違いしている。つまり生きる気がない、なのに他人の力で生きてる」


 続きを言わせない為にトマは近づきキスをする。

 触手が伸びてチクリとトマを刺す。


「まあ、同感だが悪趣味だな……」

「じゃあなんで今、心も体も醜い私にキスしたの?」

「……」

「ばいばい」


 トマは左腕を伸ばし、傷口に魔道砲撃を行った。


 薄気味悪い飛行クラゲの魔物は死んだ。原隊脱走を根拠にアンデットすら復活できない自壊プログラムが起動していた。


 そこにトマが止めを刺し爆散だ。


 兵器なら標的撃破しても同じ操作なら前同続行考えない。

 軍人なら命令待って次の行動を決める。

 盗賊なら逃げる。

 傭兵なら金にならない殺しは避ける。

 冒険者なら素材回収して金にする。

 魔獣なら?


 食べる。


 喰えば腹が膨れる毒なら死んで、栄養なら明日も生きられる。そんだけ。エレナの脳から輝く魔石を拾い噛み砕く、もちろん不味い、喰えたものではない。が、鑑定魔法で表示は「栄養」と成っている。

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