第5話

 お互い思ったことをいいあった結果良かったのか変な緊張もなくなり良かったのかもしれない。


「さて、お互いへんな誤解も解けた所で改めて自己紹介といこうか、そうだな言い出したのは俺だし俺から自己紹介といこうか」


 俺は改めて彼女の方を向き直し口を開いた。


「俺は、新田敬斗あらたけいと年は18で色々あって最近定時制の学校に通い始めた。ちなみにあんたを助けようと思った理由の一つに同じ学校だと分かったからだ。日中は一応生活の為に仕事をしていた。」


「仕事をしていたですか?今は仕事をしていないんですか?」


「正確に言うと仕事をしていないわけではないからあれだがまー仕事量はかなり減った感じだな」


「そうなんですね、18で最近定時制とはいえ入学したってことは、年は下になりますが私が先輩になりますねふふん」


「先輩ってことはもしかして2年生とか3年生なのか?」


「その反応は、私の見た目で1年生とかと思ったってことですよね。こうみえてもれっきとした2年生なんですからちゃんと先輩として見てください」


「そっかならよろしく頼むよ先輩。まっ定時制だから学校で絡むことは滅多にないと思うがな。ところで、俺の方は名前教えたがそっちも聞いていいか?」


「そうですね、そちらの名前を聞いておいて言わないのは失礼ですよね。私の名前は如月英梨きさらぎえりっていいます。好きに呼んでください敬斗さん」


「それじゃお互い名前も分かったことだし、本題といこうか。帰れないってどういうことだ?俺が、力になれることはあるか?」


「そうですね、なにから話したらいいでしょうね。帰れないというのは言い過ぎというか、実は最近母を亡くしてしまい、母子家庭でしたので保護者がいなくなってしまい、一応親戚の方はいるんですがその方が私達姉妹を一緒に引き取るのは出来ないと言ったり私達を見る目がいやらしかったりとちょっと困った状態で、妹の方は、10歳でまだまだ幼いですから手を出されることはないと思いますが、私の方は……それに姉妹離れ離れになるのは耐えられないし」


「なるほどな、親が亡くなったのは大変だったな、生活費とかはどうなってるんだ?」


「母の貯金があったので暫くは、それでなんとかなるのと保険も暫くしたら入る予定なのですが、今のままだと」


「その親戚が保護者になることでその遺産が危ういということか」


「はい、簡単になりますがそんな感じですね」


 力を貸してやりたいがどこまで俺に出来るものか、だけど話を聞く限りこの子に悪いとこは全くない、しかも妹のことも必死に考えて一人追い詰めてしまうくらいいい子なんだ。なんとか力になってあげたい、仕方ない、あまり頼るのは良くないと思うがこういう時に頼りになる人を一人俺は知っている。


「少し待ってもらっていいか?もしかしたら力になることが出来るかもしれない」


 俺は、彼女を不安にさせないようになるべく笑顔で答えとある人に連絡をした。



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餌付けしてしまった ケンタン @kentan

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