最終話:終わってしまえば夢のような出来事。
俺は桃香に付き添われて退院した。
ケチャップとの出来事は、もしかしたら俺が入院してた間の昏睡状態だった時
見た夢だったんじゃないかとさえ思えた。
いままで一緒にいたケチャップが、今はそばにいないから余計そう思う。
ちゃんとした別れをしないうちにケチャップは自分の星に帰ってしまった。
桃香と一緒に俺の家に着く頃、俺のスマホのメールの着信音が鳴った。
誰からだろうと思って見たら・・・メッセージが1通届いていた。
「ケイスケ・・・ケチャップだよ・・・。
ちゃんとお別れもしないで、帰っちゃってごめんね」
「でも、ケイスケに会ったら、別れられなくなりそうで・・・」
「ケイスケ・・・愛してたよ・・・今でも愛してる・・・もう会えないと思うと
悲しいけどケイスケとの楽しかった日々を思い出に、これから私らしく頑張って
生きてくからね。
あとね私、今、膀胱炎になっちゃってるの・・・お酒飲んだ夜に勢いで
シャワーもしないでエッチしちゃったでしょ・・・きっとあれが原因、でもそれも
ケイスケとのいい思い出になるよ。
ケイスケ、桃香さんといつまでもお幸せに・・・じゃ〜ね、元気でね
・・・さよなら・・・いっぱいの愛を私にくれてありがとう・・・ 」
「ケチャップより」
「ケチャップ・・・」
そうなんだ・・・やっぱり自分の星に帰ったんだな。
けど、膀胱炎ってなんだよ、別れのメッセージに書くかそんなこと・・・。
まあ、ケチャップらしいっちゃらしいけど・・・俺も愛してたよケチャップ
・・・元気でな。
「なに?・・・圭介なにニヤニヤしてるの?・・・誰から?」
「俺の大切な人から・・・」
「なにそれ・・・大切な人って私以外に?・・・誰?」
「お世話になった人・・・それだけだよ」
「今は桃香が一番大切な彼女だから・・・」
(俺は罪作りな男だな・・・ふたりの女を同時に愛しちゃって・・・)
それから俺の家に、大慌てで編集社の谷川さんがやってきた。
「先方様が企画のスケジュールが終わる前に、星に帰るとおっしゃって私を訪ねて
来られたですが・・・すばらしい文化交流ができました、この宇宙で地球がもっともすばらしい星でした、 ありがとうございました、ってご報告にお見えになられた
んですか・・・なにかございましたか? 」
「何もないよ・・・俺も、すばらしい人生経験をさせてもらったから
期間終了を待つことなく満足して自分の星に帰って行ったんじゃないかな? 」
「俺もお礼言います、谷川さん、大変お世話になってありがとうございました」
「とっても素晴らしくて有意義な企画でした」
「あ・・・いやいや、それはなにより・・・お役に立ててよかったです・・・」
「そのお言葉を聞いて安心しました」
「ではでは失礼します」
何も知らない谷川さんは喜んでコロこんで帰って行った。
「ねえ、圭介・・・病院で言ってたでしょ・・・ケチャップって?」
「あのケチャップって何?・・・」
「ああ、ケチャップね・・・あれはね入院してたからさ、桃香が作ってくれる
大好きなオムレツが食べたくなったんだよ」
「いつもさ、ケチャップでハートマーク描いてくれるだろ?それでね」
(危ない、危ない・・・下手な言い訳だけど、それし思いつかない)
「そう、じゃ〜退院のお祝いしないくちゃって思ってたけど一番にオムライス
作ってあげるね」
「うん、まあ、それもだけど・・・俺はオムライスの前に桃香が欲しい」
「しばらく食べてないし・・・桃香のこと」
「ヤダ・・・もう・・・退院したばっかじゃん」
「そうだな・・・入院してる間、ずっと俺のそばにいてくれたんだろ・・・
ありがとうな、桃香・・・感謝してる 」
「なんかさ・・・圭介変わった?」
「え?俺が?」
「入院する前より、顔も穏やかになってるし気持ちも丸くなったって言うか、
優しくなってない?」
「そうかな・・・自分じゃよく分かんないけど・・・」
「そう言うのって体から滲みあふれるんだよ・・・圭介の体から幸せオーラが
たくさん出てる気がするもん・・・」
「そうかな・・・いいふうに変わったんならいいんじゃないか?」
「うん・・・絶対、変わったよ・・・いい感じにね・・・私、前の圭介より
今の圭介のほうが好き」
(そうか・・・ケチャップとの時間の間に俺も成長してたってことかな・・・)
いろんな意味で、みんなに感謝だな・・・。
終わってしまえば夢みたいな出来事・・・ケチャップとの日々は素敵な思い出に
なって残っていきそう。
反面、切ない思い出でもあるけど・・・。
ケチャップ・・・誓うよ・・・これからは桃香を大切にしていくって。
ケチャップもザッハトルテも、俺を桃香といたベストな時間に戻してくれて
ありがとう。
で、桃香を抱いたあとで言われた・・・圭介、エッチこんなに上手だった?
って・・・。
もしかして誰かと浮気してた?って聞かれた・・・。
ケチャップから女が喜ぶスポットいろいろ教えてもらったからかな。
「浮気なんかしてないよ・・・桃香を喜ばせるために性教育受けたんだよ」
「そんなのあるの?」
「うん、エッチが上手くなってるのはね、雑誌の企画で異星人さんによる
最高のセックステクニックって性教育の企画に参加してきたからだよ」
「ああ、そうなんだ・・・異星人さんってセックスが上手なんだね」
END.
アンビバレント。〜異星人との交流企画に応募したら相手がめちゃエッチいスライムだった件について〜 猫野 尻尾 @amanotenshi
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