第8話 お久、早朝配信

「蕾花です。寝起きです」

「潤花です。起こされました」


りんりんどー:常闇之神社チャンネルを夢咲カップルチャンネルにするな

よるは:私物化は今に始まった事ではない定期

きつね四郎:蕾花さんに春が来たんか……!

灯籠真王:妖怪の朝は早い。俺も桜花に脇腹を蹴られて起きた。椿姫にはやらないのに俺にはやるあたりこいつは本能的に敵味方を嗅ぎ分ける才能があるな。さすが俺の子だ

オカルト博士:それだと灯籠ニキ敵認定されてることになるけど

だいてんぐ:草


「寝相の悪さは遺伝だろ。俺は菘と竜胆にしょっちゅうやられてた。でもあいつら相手選んでんだよな。やっぱ俺も燈真も下に見られてんじゃね」

「情けない兄貴ですねえ……」

「そうは言っても、まあ実際に伴侶にやらかしたら色々亀裂入るしいいんじゃね。桜花が椿姫にやらない理由は俺にもわかるけど」

「告げ口しよーっと」

「はんごろしにされるから許して」


ユッキー☆:めっちゃ仲良くて草

物書きアトラ:微笑ましい

しろいきゅうび:終始このテンションでいちゃつきよるから見ていてバカに思えるぞ

月白九尾:なお千年経て冥婚してどっちゃくそにいちゃつく先祖を私は知ってる模様

きつね四郎:幽世だと確かに結婚は冥婚になるのか……

オカルト博士:幽世の妖狐って今どうなん?


「俺らは恋の季節だよ。まあ俺と潤花は付き合って一ヶ月だから、流石にいきなりそういう、まあ……な。それはまだだけど、燈真たちはたびたび俺らに桜花預けるからそういうことだろ」

「桜花君可愛いですよね。ちょっと素直すぎるから心配になりますけど」


きつね四郎:息子を預ける夫婦……あっ(察し)

灯籠真王:弟か妹が増える。椿姫はああ見えて受けだから毎晩楽しいわ

りんりんどー:こいつはっきり言いやがったマジでほんと

月白九尾:燈真ちょいちょい口滑らすけどマジコメント打つ間首筋に刀添えといた方がいいかな

オカルト博士:とんでもない夫婦もおるんやな

ユッキー☆:真剣で私に恋して欲しいんでしょ(適当)

おもちもちにび:じっさい、おねえちゃんはけっこんしきのときに、とうまとごぜんじあいした

隙間女:どんな結婚式ですかそれ


「うちでは普通だぜ、挙式の時に新郎新婦が幸せを願って御前試合するの。蓮と万里恵もやってたし」

「蓮さんが勝ってましたよね。勝負事になると手を抜かないのが私たちなんで、その時ばかりは常闇様が不死に適応させるんですよね」

「ああ。俺とか椿姫みたいなフィジカル不死は別としてな」


物書きアトラ:椿姫さん不死なの?

月白九尾:まあ妖力無限なので。転移術もできるし、亜空間ストレージもあるし、マジで今なら燈真に負けないかも

森ちゃん:結論・幽世はバケモノの巣窟

ラス子:チートキャラのオールスターやんけ

レイレイ:だからこそ現世に行く時は力を剥奪されんだよな。世界にもよるけどフツーの人間にされることもあるぜ

灯籠真王:バカにナイフ持たせる奴はいねえだろ。お前言霊あったら現世で絶対やらかすからな

きつね四郎:正直否定ができない

MIKU♡:お手洗いに起きたら配信してて草。さすがにキッズは起きてへんやろなあ?(威圧)

ユッキー☆:早起きって三文の徳なんですよ

だいてんぐ:物はいいようだね


「嶺慈はぶっちゃけ現世まだ行けないけどな。貢献ポイント足りてないし」

「世知辛いなあ……」

「ていうか俺年明けで貢献ポイントリセットされんだよな……かといってどこ行っても今混んでるし、正直俺幽世の猥雑とした雰囲気好きだし」

「蕾花さんなに年末休みもらえる前提で話してるんですか? あなたも私も総動員ですよ、年末年始なんて」

「すまん聞こえんかった」

「耳つまんで大声で言ってあげましょうか?」

「嘘聞こえてたほんとごめん」


りんりんどー:公共の電波でいちゃつくなバカップル

おもちもちにび:じっさい、ねんまつねんしはやすみがない

きつね四郎:本職は神職ですもんね。そりゃあ年末年始は忙しいか……

月白九尾:流石に氷雨さんは産休育休とるけどね。断っても取らせるから安心して

MIKU♡:そういえば身重だっけ。まだ産まれてないん?

りんりんどー:まだですね。雪女の血がどうも濃いみたいで、年を跨ぐって言われてます。大丈夫ですよ、こう見えて僕も強いですから

ラス子:実際りんりんどーの実力なら、ワンチャンユッキー☆イケそうだよね

ユッキー☆:流石に負けることを認める気なんてないが、空間ごと断ち切る結界なんてどう攻略したらええんや?


「俺は炎で強引に空間ごと分解して突破する。正直、竜胆の活殺結界は普通の方法じゃまず突破できないな」

「蕾花さんですら正攻法を諦めますもんね。私ならいくつか手があります。私は水を操る術を持ってるんですが、空間を飽和するように攻めて、突破というのが手っ取り早いですね。分断されてる空間の内側から水分身を出すとか」


りんりんどー:なんで兄さんより潤花の方が僕に有効打持ってんだろ

きつね四郎:言うて潤花さんも忌兵隊ですし……

ユッキー☆:正味速度なら絶対俺のが上なんだよな。守る暇ないくらい攻めるか

だいてんぐ:いかにも雷獣的だなあ……僕ならそもそも戦わないけど

MIKU♡:なんや年末特番ドリームマッチならまぜてや

隙間女:そんなのはないです

夜葉:御前試合直近でやったし、流石に年末年始はそれどころじゃないしねえ……私すらこの姿で働くわけだし

オカルト博士:神様自ら働く神社なのか……

おもちもちにび:ねこのても、かりたい

ネッコマター:呼んだか? 旦那も叩き起こそうか?

レイレイ:寝かせてやれよ


「猫の手はあちこちで借りてる事実。野良猫会のネットワークはなかなかバカにできんのよな」

「不審者の目撃情報から瘴気の流入情報も、優秀なスタッフですよね。正直蕾花さんより働いてません?」

「俺はほら、広報部長だし……脚本の仕事もこなしてるし」

「まあ確かに最近は精力的ですよね」


おほほなみ:やべえ料理当番なの忘れてた。流し見しつつやるわ

おもちもちにび:ほなみ、ごはんは、だいじだから……わすれないで

おほほなみ:マジごめん。コメントできんわ。じゃあの

物書きアトラ:嵐のような視聴者や

がしゃどくろ:社畜起床なう

すねこすり:屋敷手伝い優雅に起床。そっか、クリスマスイブでも平日だし普通は仕事か

きつね四郎:言うてワイも他人事ではない模様

だいてんぐ:それはそう

月白九尾:桜花の寝顔を優雅に眺める狐なので私は勝ち誇ってるわ

ラス子:ぐぬぬ……この狐……

ユッキー☆:俺もなんやかんや社会妖なので昼間の配信だったら完全にアーカイブだったわ


「俺ら世間の感覚から隔絶された変態の集まりだから、正直あんま見習えた大人じゃねえんだよな」

「変態なのは蕾花さんだけじゃないですかね」

「失敬な!」


きつね四郎:僕はコメントを控えますが蕾花さんはだいぶ攻めてると思います

オカルト博士:全然控えてなくて草

灯籠真王:むしろ核心をついたな

ユッキー☆:きつね四郎兄貴ちょいちょい舌鋒鋭いんすよね。兄弟喧嘩したことないのにディベートやたら強いんすよ

だいてんぐ:誰かさんの影響かな

森ちゃん:誰やろなあ

りんりんどー:逆に兄さんは菘にボロ負けするくらい弱い

MIKU♡:最強とは?(哲学)

ラス子:蕾花ニキ喧嘩っ早いでしょ絶対

しろいきゅうび:大正解。あいつはシンプルに馬鹿なので口喧嘩するくらいなら男らしく殴り合うタイプ

物書きアトラ:幽世物騒……物騒じゃない?

MIKU♡:楽園かよ

だいてんぐ:あなたは絶対行かせられないと今確信しました


「俺ってそんな馬鹿か?」

「ぶっちゃけですか」

「そりゃあもう、御託も忖度も抜きで」

「多分馬鹿さでも最強クラスですね。誰も敵わないかと」


オカルト博士:草

月白九尾:正直燈真以上にわかりやすい奴は出てこないだろうと思ってたんだけどね、私。いたんだわ、ここに

灯籠真王:俺があんなのと並ぶほどのバカなわけがない

おもちもちにび:おとこのこは、バカなくらいが、かわいいんだよ

ラス子:それはそう

森ちゃん:まあ、可愛げはありますよね。大人になってもバカってのはアレですけど

りんりんどー:一応名誉のために言っておくと兄さんは童心を忘れないタイプだね

ネッコマター:不憫に思ったんやろ

きつね四郎:悲しいなあ

ユッキー☆:でもおべっか並べない恋人って貴重じゃね


「それな! 潤花のいいとこは嘘言わないとこだよ! だから時々、図星つかれて悶絶するんだけど。まあそれも悪くねえな」

「正直ほっとくと何しでかすかわからないんですよ、あなたは」


だいてんぐ:ちょっとわかる。引き合わされてまもない頃のきつね四郎みたいな感じする

きつね四郎:せやろか?

オカルト博士:ワイは蕾花ニキを直に見たことないからなんとも言えんが、確かにあれはほっとけないわな

物書きアトラ:良くも悪くもひと集まってくるタイプでしょ

りんりんどー:まあほっとけないってのはある。いい意味でも悪い意味でも

よるは:言うて最近は落ち着いてるし、恋人もできてだいぶ変わったんだよね

月白九尾:まあオスとしてマシになったんじゃない。燈真よりは全然だけど

ネッコマター:惚気ないでもらえます?

ハチミツキ:目ぇ覚めて通知から飛んできたらなんかお前ら朝っぱらからディープなことしてんな

サンダー:息子に噛まれて起こされる実績を解除したぞ。燈真もこれを経験したんだな

MIKU♡:幽世キッズやんちゃすぎないか?

だいてんぐ:君にそう言わせるのはなかなかじゃないかね


「雷疾も将来有望だな。大妖怪大瀧蓮に噛み付くなんてよっぽどだろ」

「他人事みたいな顔してますけど蕾花さんも何回か桜花君に噛まれてません?」

「あいつらはいい妖怪になる」


きつね四郎:どういう基準なんだ……。そろそろ僕は朝の準備あるんで落ちます。お疲れ様です。

ユッキー☆:ワイも落ちな。じゃあの、サラダバー

りんりんどー:お疲れ様〜 朝っぱらからありがとナス

がしゃどくろ:僕は朝ごはんの時間ですねえ。少食なんでトースト半分で充分なんですよ

灯籠真王:俺らには信じられない話だな

おもちもちにび:たりないよ

ラス子:君らは食べ物から妖力を得るんだっけ?


「そう。四郎ニキの世界とは真逆で、妖力の維持には食事が欠かせないんだよな。それこそ常闇様みたいな完全無欠になれば別なんだが、俺や燈真はほんとバカみたいに食うぞ」

「蕾花さんは節制しましょうね。幸せ太りもいいですけど流石にいい歳してみっともないです」

「クゥン……」


オカルト博士:ワイには亭主関白の未来は潰えたように見える

だいてんぐ:それ。僕も諸々準備するんで落ちます。お疲れ様です

灯籠真王:お疲れ様でーす。蕾花はどう考えても尻に敷かれるタイプなんだよな

月白九尾:似たもの同士わかるのね

レイレイ:お前ら俺を見習え

りんりんどー:僕は関白宣言してるんで、兄さんたちとは違うんだよね、格が


「竜胆、あとでわからせる。燈真と蓮は俺と手を組むように」

「何する気ですかあなたは」


サンダー:いや俺は正直万里恵天下で文句はないが

灯籠真王:俺もだな。不満はないんだよな

ラス子:物分かりのいい旦那やな……

ハチミツキ:骨抜きになる程惚れてんだよこいつら


「なんだよお前らも俺のこと言えねーじゃん」

「骨抜きなんですか?」

「なんなら神経も抜かれてるな」


森ちゃん:重症やんけ

がしゃどくろ:草

りんりんどー:てか兄さんそろそろ掃除いかないと


「あやばい忘れてた。ちょ、ちょっとごめん、配信ここまででーす」

「はーい、朝からありがとうございましたー」

「「コン・コヤージュ! またねー!」」

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常闇之神社の社務所日誌・真打 夢咲蕾花 @RaikaFox89

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