赤外線の、席替えせん?

音心みら🍀

IMIFU EP 赤外線の、席替えせん?

此処は貴族の官邸。

セキュリティはバッチリ。アリ一匹すらも通さない。

だがしかし、このセキュリティには一つ課題があるのだ。


「俺らさぁ、ずっとこの席に居るけど、そろそろ怪盗クン達も俺らの位置を研究しててもおかしくないと思うんだよね」


そう言ったのは近赤外線㋐君。

ん?どうして赤外線なんて目にも見えない存在が喋ってるかって?

……これがファンタジーだからだよ(言い逃れ)。

そんな事は置いといて。

セキュリティ、特に赤外線セキュリティに生まれた課題とはズバリ、半世紀近く席替えをしていないのだ!

これまで数多くの強豪怪盗の髪型をチリヂリのアフロにしてきた赤外線セキュリティ。

そんな赤外線でも懸念を抱くことはあるのだ。


「確かにずっと席替えしてないからなぁでござる」


近赤外線㋑君は言った。

それに反応したのは近赤外線㋒ちゃん。


「ずっとというか、ここに来てから一度も席替えなんてしてないじゃない」

「そろそろさぁ、赤外線の、席替えせん?」


近赤外線㋐君の問いかけに近赤外線㋓〜㋾はウンウンと頷く。

そこで近赤外線㋐君は思いついた。


「そうだ!中間赤外線先輩方に提案をしてみないか?」

「いいじゃない!そうしましょ、そうしましょ!」

「……無理だぞ」

「中間赤外線Ⓐ先輩!」


中間赤外線Ⓐ先輩は近赤外線㋐達に向かって言った。


「どうしてですか?中間赤外線Ⓐ先輩ならそのくらいの権力はあるんじゃないですか?」

「俺等を上に見すぎだ。これでも給料の低さにうんざりしてんだよ。提案があるなら遠赤外線様に言え」

「そんなぁ」


中間赤外線Ⓐ先輩は近赤外線達にあんなふうに言ったが、中間赤外線Ⓐ自身も席替えがしたいのだ。

ただツンデレ中間赤外線Ⓐはそれを近赤外線達に明かせない。


「おいてめぇ、シバくぞ」


ヒッ!聞こえてたの!?

(中間赤外線は地獄耳だから困るなぁ)


「こぉら、口が悪いわよ、Ⓐちゃん?」

「てめぇも黙れ、中間赤外線Ⓑ」


この優雅な人は中間赤外線Ⓑさん。

いつも中間赤外線Ⓐを優しく指導している。

そんなほのぼのした中間赤外線に近赤外線㋐はもう一度提案する。


「それじゃぁ、遠赤外線様にお願いしましょうよぉ」


(ツンデレ)中間赤外線Ⓐはうんざりした顔で近赤外線達に言う。


「俺は席替えなんてどうでも良いんだよ!それに、遠赤外線様はそんな簡単にお話できる方ではな……」

「そうね!ずっとこうやってⒶちゃんと近赤外線の皆が言い合ってる時間こそ、怪盗ちゃんたちが研究してるかもしれないもの。遠赤外線ちゃんに提案しましょ!」


中間赤外線Ⓐは「お前はバカか」とでも言うような仏頂面で中間赤外線Ⓑや近赤外線たちを睨んでいる。

中間赤外線Ⓑはそれを気にもせずに近赤外線達に言う。


「皆で遠赤外線ちゃんを呼びましょ!せーのっ!」

『遠赤外線さま〜』


フッ、そろそろ私も正体を明かすか。


「は〜い!みんなのヒーロー遠赤外線で〜す!」


そう、これを読んでいる読者みんながナレーションだと思っていた私こそ、遠赤外線だったのだ!

びっくりしただろぉ?


「僕たち、席替えがしたいです!」

「そろそろ怪盗たちも我々の位置を研究してくると思わないでござるか?」

「そこで、私達もそろそろ席替えをしたら良いんじゃないかなって思って!」


ふむふむ、可愛い弟子たちだ。


「お前ら馬鹿じゃないのか…………」

「こぉら、Ⓐ ちゃんったら!」


中間赤外線たちのほのぼのした風景も良いな。

私は、近赤外線と中間赤外線の皆に最高の笑顔を向ける。


「よかろう!中間赤外線Ⓐ も席替えをしたがっていることだし、席替えをしようではないか!」

「は?」

『やった〜〜〜〜〜っ!』


こうして赤外線たちは無事に席替えが出来たのでした!


おしまい!




『赤外線の席替えせん?』 end.


⟡⁺˖⊹


カクコン短編応募作品です!

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