第3話

翌朝、碓氷は浜に打ち上げられたような寝相によって生じた足の痺れで目覚めた。

半分気を失ったように1階へ降りて朝食を浴びる準備をする。

「おはよう」

「おはよう」

意識の半分が家族との朝の挨拶を済ませたあと

テレビをつけた。

近所で梨泥棒があったとか、都会の電車が人身事故で遅れを出しているとか、そういう世間の人間の動向を知ろうとした。

とにかく人間を演じようとした。

自分は上位存在でもなんでもない

ナルホドコレガ人間デスカがしたい訳じゃない。

至って真面目に人間を知って演じようとした。

米がとおりすぎた感触だけが喉に残った

今日も考え事が重大で、もはや味なんてあっただろうか。

ぽっかりと開いた穴は身だしなみを整え、展望なんて何一つ持たずに今日も学校へ出かけて行った。

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青に際しましては @Dazai114514

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