第2話

おれは自身の認識を妨げる「ミズ」が嫌いだ。

でも物質としての水は好き。

冷たくてどこまでも透き通っている

きっと水に自我があるならこいつは全てを見通しているだろうな。

でも今は受験勉強に集中しなきゃ……。

この「ミズ」の正体に少しでも近づこうと、碓氷は心理学を志し、日々勉学に励んでいる。

いまいちイメージしにくい哲学者、科学者たちの思考のオムニバス、そんな倫理の問題集を片付けて彼は床に入る。

彼が敬愛する技術者メイジー・ラニックは稀代の天才。

インターネット理論を構築し、地球全体を見えない糸で繋いだ。

見えないものをイメージすることが出来るのが人間の特権だが、そこにも限度はある。

その高度限界を難なく飛び越し、インターネットを編み出した彼に碓氷は強い憧れを抱いた。

おれもやがて彼のようになれたら……

少しは「ミズ」もマシになるのかな……。

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