青に際しましては

@Dazai114514

第1話

この18年間、常に疎外感を感じて生きてきた。

物事に対する自分の認識と他者の認識があまりに食い違っている。

この世に生を受けたその瞬間から、金魚鉢を頭に逆さにとりつけられたかのような違和感がある。

自分だけ水越しで、皆と同じものが見えるものか。

岩戸 碓氷(いわと うすい)は有り体に言うとひねくれていた。

そう、親ゆずりの。とびきりの。

小さい頃からそう。

親戚の家で遊んだパーティゲームで優勝を喜んでいる自身のアバターに対してさえ妙な照れ臭さ、直視し難い気持ちがあった。

めでたいことをめでたいと思えない。

所詮画面の中の虚構だし。

このように今日もとっくの昔にすぎたことを現在の苦しみのようにぶり返しては心の中で独り言を練っている

過去に囚われるなと自身に厳しく訓令するが、それでも悪い癖というものは往々にして抜け切ることがない。

そして気づいた時には反芻思考の円環の中に独り呆然と立ち尽くしている。

世の中がおれだけを置いていく

その焦燥感が彼をより不安に駆りたてる。

それでもきっと、よく澄んだ水面を見れば、思い出せるかな。

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