白く 淡く 透明で

@yamineito

第1話

2018年、春 。

大人気ライバー事務所の所属VTuberとして活動していた私は、活動1周年のその日に無期限の活動休止を発表した。

ファンとか、同期とかにはとてつもなく引き止められた。

それを 全部 無視して、私はVTuberという物を捨てた。


あれから、6年経った2024年の今日 。

私は、もう一度 活動を再開させる。



正直、めちゃくそ 緊張してる。なんなら、口から内蔵全部出てきそう。


既に、SNSでは、公式から匂わせ的な投稿がされており、動画配信サイトでは配信待機場所が設けられている。


「 いや、落ちつこ、落ちつこ。うんうん。冷静沈着に行こう。 」


ふぅ、と息を吐き、配信開始の準備へと取り掛かった。


一通り、終わらせてゲーミングチェアに座り、配信待機場所を開くと、

同接30万と、配信開始まで10分の文字の羅列。


「 …… 、いゃぁ、やっぱ無理!!30万とか、見たことないわ!というか、私チャンネル登録者数700万あんじゃん、ってガチ無理無理無理 。てか、待て。後10分で始まるじゃん!話し方忘れた、どんな風に私やってたっけ!!?てか、同接増えた!?なんで、こんなに来るのぉ!? 」


「 はいはい、深呼吸 」


1人、早口で泣き叫んでいると、マネージャーの佐藤が来た。


「 病音ちゃんは、大丈夫だよ。 今日、活動再開させるために、1年前から準備してきたでしょ? 」


…… 、お前はなんでそんな冷静なんだよ???


もっと、慌てろよ!佐藤は、私がデビューした時から見てたから思い入れあるだろ!!!


「 それに、病音ちゃんにはもう後がないでしょ? 」

「 残念なことにね 、それがそうなんだよ 」

「 じゃあ、このまま突っ走るしかないわ 」

「 うへぇ …… 」

「 頑張ってね 」


応援してる、そうのコスト、未だ落ち着けていない私を置いて、佐藤は部屋を出ていった。


「 …… 、大丈夫。きっと私なら大丈夫 」


少し自分を鼓舞してから、もう一度画面を目を戻した。

同接はまた増えていて、同じ会社の後輩の姿もあった。見てはいないが、きっとトレンドも入ってると思う。


まだ、少し怖いし、緊張してる


でも、


自分の為に 、 大切な"あの人"の為に、


もう一度、この場所で私は生きる


それだけは、その気持ちだけは、

絶対に揺るがないから



「 …… 、やろう 」


深呼吸して、指を軽く動かした後、



__ 配信開始のボタンを押した

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