第3話 鑑定
「明日は鑑定に行くぞ。」
晩ごはんのチキングリル、白パン、豆のポタージュを食べながらお爺さまが言った。父さまと母さまには祝福の言葉を食事前に貰っている。加護を与えた神様によっては、教育方針を変える必要があるかもしれないということだった。
翌日、朝ごはんのふかし芋、ベーコンステーキ、スクランブルエッグ、ぶどうジュースを食べて少ししてからお爺さまによばれる。馬車に乗るため玄関に向かうと、当然のようにくっついて来ていたドロシーに
「屋敷で待って、遊んでて良いのだぞ。」
「や。にいちゃといっしょ。」
お爺さまは少し考えた後、おとなしくしているようにと言って同行を許可した。
馬車の中では難しい顔でお爺さまは考え事をしていたし、たまに揺れるし、外は見えなかったが、ドロシーは俺の手を握って楽しそうにしていた。
神殿に着くと祭服を着たお爺さんが出迎えてくれた。
「ホーネット様お待ちしておりました。エドガー様それとドロシー様ですね。はじめまして、祭司のヨハネスと申します。」
俺とドロシーが精一杯の挨拶を返すと、ヨハネス様は礼拝堂の奥にある部屋へ案内してくれた。
案内された部屋はそんなに広く無く、綺麗な調度品が飾られているだけだった。
「エドガー様、こちらの盃を持っていただけますか。こちらは影鏡の目と呼ばれる神器でして、人物の鑑定を行う事ができます。」
俺が盃を両手で受け取ると、ヨハネス祭司が酒を注ぎ、紙を浮かべた。すると、盃が少しだけ光った。ヨハネス祭司が紙を取り出すと鑑定結果が書かれていた。
ーーー
エドガー・ホーネット
3歳 男 人族
気力:30
魔力:130
神力:144
闘技:なし
魔法:(雀蜂)
法術:治療
輪廻の神の加護
神器:無垢と慈悲
ーーー
「うむぅ、元素神ではなく輪廻の神だったか。」
「それよりも、治療をすでに使えることが問題です。エドガー様、どのように治療するかわかりますかな。」
俺はヨハネス祭司の言葉に対して、ナイフの無垢と慈悲を取り出し、「このナイフを刺せば治療できると思います。」と返答した。
「それが神器ですか、能力は治療と。しかし、刃物を刺すという治療は、傍から見ると危険ですな。できれば此処で通常の治療を学んで頂きたいところですが。」
「エドガーはまだ3歳で、文字も学んで無い。通常の才ある子の様に10歳になってからで良いのではないか。それまでは神器による治療は封印ということで良いのではないか。」
「はい、ではそのように。エドガー様、くれぐれも人に使用してはいけませんよ。」
俺が2人の言葉に頷くと、この場は解散となる様だった。
「ヨハネス祭司、寄付金はいつものルートで上乗せで払う。」
「ホーネット様ありがとうございます。よろしくお願い致します。」
帰りの挨拶をして俺達は馬車に乗り込み屋敷へと出発する。
「にいちゃすごい。いたいいたい治せる。」
ドロシーの言葉に、大人しくしていてえらいと頭を撫でてかえした。
お爺さまは難しい顔でずっと悩んでいる様だった。
輪廻の使徒 @rist1371
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