第4話 最弱と予想外
「喰らえ!」
「ギギガガ!」
「っだ!流石に連戦は疲れる〜」
二階層から上がり五階層まで辿り着いた。
ここに来るまで色んなモンスターと戦ったがなんとか乗り切った。
「しっかし茜達と全然会わないな?上の階層にいるとか」
茜は『Lv8』簡単にはやられないがあとの4人はまだ戦闘経験が浅い冒険者なはず。
冒険者がモンスターに倒され倒されたらそれまで。超危険なハイリスクハイリターンな行為だ。
だから予め、ダンジョンに入れる年齢が15歳からと制限された。何故ダンジョンに年齢制限できるのかは謎だけど、まぁそれはいいか。
因みに十階層までは一階層に戻る為の魔法陣が備わってる。
「ちょっと休憩してから六階層に上がろう」
♦︎
「やっと……九階層……か……」
流石に六階層から勢いよく進んだが、どうにも茜や檜山達の姿が見えない。もしかして十階層を攻略しちゃったとか。
「だったらこのまま追いついてやる!」
俺は有り余る元気で階段を走りそのまま十階層に到達した。
「よっしゃぁ!十階層到ちゃーー」
言葉を失った。十階層に上がった光景は……血まみれに倒れてる檜山達だった。
「おいおい、まじかよ……ッ!茜!」
茜が檜山達の一緒に攻略することを思い出し辺りを探したが茜の姿がどこにもなかった。
「おい、大丈夫か檜山っ!」
「……」
「かろうじて生きてるが気を失ってる」
他の3人にも呼びかけたが皆気を失ってる。
流石にこのままにするわけにもいかず近くの帰還転移魔法陣まで運びそのまま消えてった。
「しばらくすれば冒険者管理職が対応してくれる。とはいえ俺もここを出て管理職に茜の捜索以来を出すか」
顎に手をあて考えながら今の現状を考える。
……おかしい。俺が来たのにフロアボスが出現しなかった。確かこのフロアボスは巨大な大鳥型モンスターだったはず。
遠距離攻撃なら茜の専売特許、簡単にやられるはずがない。だがどうにも鳥にやられた後じゃ無さそう。
さっきの檜山達の傷跡はどれも小さな物を複数当てられた箇所がある。鳥の大きさじゃあまずない、むしろあいつらが仲間割れした形跡でもなければ他のしかも人間サイズぐらいのモンスターが。
「……考えても仕方ない。一旦降りて檜山達にその時の状況をーー」
「逃すと思うか」
「ッ!」
魔法陣の方から声が聞こえ振り向くと何やら魔法陣が赤く光。そこから何かが現れる。
紫の肌に黄色い目、赤いロングストレートに頭から出てる両端の角。いかにも悪魔だ。
「小僧、生きて帰れると思うな」
「誰だ!アンタ」
「我か。我の名は“アグルーズ“貴様らが暁月と呼ばれてるダンジョンの主だ」
えっ……
「どうした小僧。我の前に恐れをなしたか」
「いや流石にありえないだろう。ここ十階層だぞ。ダンジョンの主ってもっと頂上で待ち構えてるラスボスみたいなもんだろ。それがこんな低階層に簡単に来る
「うむ、確かに小僧の言うとおり。我も無闇に姿を出すほど愚かではない」
あ、なんだ意外と話しが通じる。
「だが我が直接来たのは小僧、貴様が持ってる物を返して貰う」
「ん?なんのこと。俺あんたから何も奪ってないが」
「惚けるな貴様が持っている紅い宝玉、あれは我の物だ」
紅いのって俺の机の上にあった赤い色した魔装石のこと?多分だがこれは
「悪いがこれは俺の大切な人の物だ」
「ほう、大切な人とは先の茶色髪をした小娘か」
「ッ!どうして茜のことを!」
嫌な予感がする。もしかしたらこの悪魔
「なぁに、ちょいとお仕置きしている最中だが今は無事だ。」
「ッ!、今はってどいうことだ」
悪魔は恍惚な笑みを浮かべ次第に
「あの小娘はいい人材だ。殺すのは惜しいと思い『悪魔変換機』に入れ。日が登ったと同時に悪魔へと生まれ変わるのさ!」
「ッ!」
「それだけじゃない、人間だった心も記憶も一切残らず、永遠に我の忠実なる僕としてなぁ!ハハハ!」
なんだよそれ。勝手に現れてしかも宝玉を持ってない茜達を襲って……
「……じゃあ俺が宝玉とやらを持っていながら無関係の茜達を襲ったのか?」
「ん?無関係ではなかろう。あの小娘は以前我の宝物庫から宝玉を盗んだ。それと一緒にいた奴らも同罪だ」
俺は俯いたまま怒りが込み上がる。
「さぁ茶番も終わりだ。素直に宝玉を返せば見逃してやる」
「……けんな」
「ん?なんだ小僧早くーー」
「ふざけんなぁ!!この悪魔野郎が!!」
直様背中のスティングエッジを引き抜け奴右腕で斬り落とした。
「あぁ折角のチャンスを」
「俺の知り合いだけじゃなく茜に手出したんだ……お前こそ覚悟しろ……!」
もう一本の剣で奴を!
「言っただろ。我はここの主だってことを。火炎玉」
奴の左手から炎の玉がガトリングみたいに打ってくる。なんとか左右に避けながら近づいていった。
「中々やるが」
そう言ってる内に奴の右腕が新しく生えて、握り拳で
「詰めが甘い!」
腹に当たって後退したがなんと剣で防いで無事。
「スティングウルフの角を使う芸当。中々なもんだ」
余裕の笑みを浮かばさながら俺を心底馬鹿にする。
まぁもう慣れてるけど、今は
「うぉおおおお!」
こいつを倒すことに集中する。
火炎玉の連射はやむ気配はないけど、とにかくコイツの再生できないほどのダメージを与えれば!
「小僧、我を甘く見るな……!」
直様火炎玉をやめ、両手を広げ何かの魔法を唱えるのか。
「だがそうはさせるか!」
「地獄の
斬りかかろうとした瞬間、辺りが燃えだした。
「う、ぐぁあああああああああ!」
熱い、苦しい……息がぁ…………
「苦しいか、心配しなくとももうじきお前は死ぬ。我の情けだせめて死の瞬間を見届けてやる」
燃える豪火の中で奴は最後まで舐め腐った目で俺を……見下してた。
ダメだ。腕は焼け焦げ、脚は力が抜け、スティングエッジもこの灼熱に耐えれず灰になってしまった。
…………もうダメだ。俺はここで焼かれ死ぬんだ。ごめんよ父さん母さん親孝行出来なかった息子を許してくれ。
それから茜も……あぁそういえば茜とは生まれた時からいつも一緒だったな。
たまたま生まれた病院が一緒で、気づけば保育園からずっと側に。
そんなのが当たり前だと思ったが今になってなんで茜が俺をダンジョンに1人で行かせないのか。
…………俺を死なせない為、か。茜らしい。
だが俺はそれに気が付かずいつも自分のことばっか考えて、茜を超える冒険者になる目標もあったが本当は違う。
茜と二人で暁月を制覇したかった。
だから俺はいつも意地をはって茜から遠ざかろうとした。みんなが茜ばっかり評価され、その度俺は一緒にいる自身を無くした。
本当はもっと早く謝りたかった。
左脚から力が抜けが倒れそうになると何かが刺さり地面に刺さった。
(……これは)
腰につけてあるのは木刀が支えになった。
この木刀は京都で買った物でも通販で買った物じゃない。俺と茜が冒険者登録した後、茜が俺にくれたプレゼント。なんでもご先祖様が使ってた古びた木刀だとか、最初はふざけてるかっと思ったがこれののお陰でここまでこれた。
だったら、
「ん?」
俺は木刀を支えにアグルーズに近づいた。
「なんだその目は、死ぬ寸前に我に勝てるとでも」
「……やってやなきゃ、ぐぉ!わからない……だろっ」
右手で殴り掛かろうとしたが
「お前の貧弱な拳など我には届かなぬ」
奴の左手で払われた。
「確かにお前の噂はダンジョンに聞いた通り。つくづく愚かで敗北の分かってる勝負に挑む最弱だと言うことを!」
「……」
「実に笑える!腹が捩れるぐらい笑えて仕方ない!」
高笑いしながら涙目で笑ってた。
「…………おい、誰が最弱って」
「えっ、誰ってお前だろう。プッ」
今まで最弱呼ばわりされたが改めてムカつくヤツにそれ言われると……カチンとくる。
「気が済んだかクソ悪魔やろう」
「あっ」
「なんだ聞こえなかったの、これだけのことをしておいて俺をバーベキューみたいにじっくり焼け死するとかよっぽどお前の方こそ最弱っぽい」
「口の聞き方にきおつけろ我はここのーー」
「ーー主だろ。だがその主も人の大切な幼馴染を改造したり、俺を焼け死するとか悪趣味も程がある」
俯きながら徐々に顔を上げ、口角をあげながら
「俺は諦めない。テメェをぶちのめし、茜を助ける!」
アグルーズも段々笑みがなくなり怒りの表情で
「いいだろう!望み通り、我の手で終わらせてやる!」
右手を俺に向け炎が集まり
「豪炎波!」
広範の攻撃魔法だろう。いかにもdeadendな感じだけど、不思議と負ける気はしない。
炎が全身に浴びせられやばいと思った。
パリン!
何かが割れる音がした。それは俺の生命だと思ったら違った。
宝玉が俺のポケットからダラダラと砕け溢れ落ちた。
「ッ!何故だ⁉︎ 何故宝玉が割れた⁉︎ 」
そして俺のまとわりついてた炎が身体中に吸収され、焼け焦げたあとも元に戻っていき。
「まさか……ありえん。宝玉は小僧を選んだと言うことか!」
宝玉らしき物は俺の体に吸収される様に入り込んだ。そして腰にある木刀にも変化が
「なんだこれ」
赤い鞘をした刀に変化した元木刀。
「き、貴様だけは許さん!!」
直ぐに地獄の豪火を展開したが
「残念。今の俺には効かないよ♪」
「ぐぅ!」
「じゃあ、次はこっちの番!」
刀なんて使ったことがない、だけど今の俺なら使えると信じて抜いた。
次の更新予定
2024年11月28日 12:04
ダンジョン無双最弱からの成り上がり 赤倉伊月 @zexal-1000
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