第3話 最弱と譲れない信念

 一度自宅から木刀を取りに行って、ダンジョンに向かった。

 ここ日本にあるダンジョンは10ヶ所。その内俺が向かってるダンジョンは世界各国で7つしかない大迷宮『暁月』


 ダンジョンは基本五十階層が最高到達点だが、暁月はその2倍の百層!

 未だ誰も百層に辿り着いてない。だからこそワクワクする。俺が誰よりもも先に百層に行ってそんで


「…………」


どうにも気分がもやもやする。やっぱ茜と一緒に行ったほうが……いいやいつまでも頼ってばっかじゃいられない。


 そう言いながら暁月の入り口についた。


 「そういえばこの魔装石いったいなんなんだ?誰かの忘れ物だったりして」


基本魔装石及びダンジョンで入手したアイテムは外に持ち出すことはできない。

 まだダンジョンに適応してない時代はそれはもう大変だった。


 モンスターの素材や魔装石等で新たな資源や武器に使われた。それが強力過ぎて戦争が勃発するぐらいのレベルに辺り、流石の政府もこれは見過ごす訳もいかずダンジョンに規制を付けた。


 『第一条 ダンジョンで入手した素材は外に持ち出すことを禁ずる


  第二条 ダンジョン内で生産された武器及びそれらに纏わる危険物を外に持ち出すことを禁ずる


 これに従わない場合“冒険者ライセンスの無期限剥奪“及び10年以上の懲役もしくは1000万円の罰金を命ずる』


などと今になってスッゲェ厳重になり。幸いドロップしたアイテムはダンジョンに預かるか換金するかで、不正する輩も少なくなってきた。因みに昨日ドロップした『魔装石(銀)』は8000円で買い取ってくれた。かなりレア素材だったらしく俺としては超ラッキー。


 「……とはいえ流石に赤い魔装石を隠さなきゃ。俺の冒険者いや人生の生命が終わる」


唾を飲み込み中に入った。


 ♦︎

 

 あの後検問も普通に潜り抜けて安心したが心臓に悪かった。


 「とはいえ、早速来たんだガンガンモンスターを狩りま来るぞ!」


 今日の俺は一味違う。腰に付けてる木刀だけじゃない、背中にスティングウルフの角装備していること。先端は刃みたいな切れ味だったから新武器を早く使いたくてウズウズする。


 「ググギガガッ!」

 

  っと、何か変な声する方へ背を向け、俺に攻撃するそのモンスターは 

「ゴブリンか、会いたかったぜッ!」

  

 「ギガガガ!」


この緑色した棍棒を持ったモンスターはゴブリン。

 一階層にいる中級モンスター。すかさず俺に奇襲をかけようとしたが失敗し、棍棒を力任せに振り回す。


 「丁度いいゴブリンとはいえ倒すのに苦労したが、新武器のお披露目はテメェで決まりだ!」


背中からスティングウルフの角もとい"スティングエッジ“を両手に装備し、仕掛けた。


 縦振りする棍棒を左の剣で抑え空いている右の剣で腕で斬り落とし、直様ゴブリンは嗚咽を吐くがその隙を見逃さず縦に一刀両断した。


 直様ゴブリンは粒子となり消えたがやっぱりゴブリンじゃあアイテム落とさなかったか。


 「さぁーて。武器の調整もできたことだし二階層で歯がたいある奴とやるか」


♦︎


 「「「ガウウウ!」」」


「やっぱ複数いやがったかっ!」


ガシン!つのと角がぶつかり合いスティングウルフ達。即座に守りを固まる。


 相手は三匹

 「はっ!余程お怒りだなぁ。そんなに悔しいか、お前らの部位を使われるのがよっぽど顔に出てるぞ」


 「「「ウガァアアアア!!」」」


 冗談混じりの煽りで一気に襲いかかる。昨日は茜に助けてもらったが


 「いつまでも守られるのはゴメンだぜ!」


 ♦︎


 俺はみんなから足手纏いや最弱などと呼ばれてるが本当にそれでいいかと言えば…………嫌だね。

 ずっと茜の後ろに隠れてダンジョンを攻略してるんじゃない。

 

 俺は昔から異世界や未知の世界に憧れた。いつか俺も異世界で無双したいと妄想することもあった。

 けど現実じゃそれが出来いと知ってすんげぇしょげた。


 だがダンジョンが突如出現してから俺の中にある夢と浪漫が溢れて興奮した。


 高校入学と共に冒険者デビューをしたが最速で十階層にたどり着いた茜が羨ましいかった。

 この時からか茜が人気者になり側にいる俺を馬鹿にする様になったのは。色々悔しかった。いつも

二階層に行けば茜が後ろで加勢する。それがなんだか更に悔しくなり、隠れて木刀で素振りしたり。


 何度もスライムやゴブリンと戦った。ゴブリン相手は最初全く歯が立たずボコボコにされたが何度も相手する内ようやく倒せる様になった。

 だがいつまでもLv3のままじゃいられず茜にばっか頼る訳にもいかず、俺は決意する。

 

 ”茜よりスゲェー冒険者になってやる“


 それが暁月を攻略する俺の理由であり目標。

 だからそれまでは

 

 ♦︎


 「ここでくたばる訳にはイカねぇんだ!!」


 襲いかかってくるスティングウルフ達を2本の剣で横に斬りさいた。


 「ぜぇ、ぜぇ……」


かなり力使ったがいいさ。俺の持っている手札全て使って倒してやる!


 そのまま走り体勢を戻したばかりの真ん中のスティングウルフに向かい斬りこんだ。

 前脚2本切断、そのまま首を切断しまずは一体目。


 その隙に残りの二匹が先端の角で俺を刺しにくる。

 「狙いは、だが」


 角の着弾で爆ぜる轟音。そこには角が地面に突き刺さったスティングウルフ達。


 なんとか避けられた。こっちに気づいたかスゲェ角を引っ張るのに必死だった二匹。


 「無駄だ。さっき威力だと深く刺さったな。無理矢理抜けば角無しのただの狼」


じりじりとスティングウルフ共に近づき、何か怯える様に吠えた。


 「「ガウガヴ!!」」


 「えぇ!そんなに俺に斬られるのが嬉しいの。いやだなぁそんなに照れなくても」


 「「ガウウウウ!!」」


「待たない」


「「ガウウウ!」」


「容赦しない」


「「ガッガウウウウウウウウウウ!」」


「つうか何言ってんのかわかんねぇよ」


二匹の至近距離に近づき


 「お前らも俺を食おうとした。だから俺に食われる覚悟を味わえ!」


そして二匹のスティングウルフは粒子となり消え去った。


 『魔装石(銀)x2 』


「おぉ!大収穫だなぁ俺ッ」


そのまま拾いウエストポーチにしまった。


「あぁ〜初めて茜の援護なしで三匹討伐!茜にも自慢……」


そうだった。今あいつ檜山達と攻略してるんだっけ……あぁまたモヤモヤしてきた。


 「……よしゃ!こうなったら茜達のところまで行ってやる。待っていろ茜!」


勢いのまま俺は次の階層へと上がって行った。


 ♦︎


 「ぐはっ!」


私は今檜山君達と十階層にきている。けど今目の前にいるのは階層のモンスターじゃない


 「探したぞ小娘。我の宝玉返して貰おうか」


悪魔だった。紫の肌に黄色い瞳、そして極め付けは赤いロングストレート。


 不気味な笑みで私を見つ目、私以外みんなやられてしまった。


 「もう一度言うぞ小娘、私の宝玉は何処だ!」


恐怖で身体が動けず、ただ目の前の絶望に

私は……

(助けて……透吾……!)



 








 



 


 



 

 


 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る