自殺志願者とエゴ神様

屑井露天気雨

依鈴とハルヤ

自殺志願者とエゴ神様


今日もいつもと変わらない一日だった。

いつも通り、学校ではひとりぼっち。クラスメイトから空気のように扱われ、私はいないもののように無視される。

いじめられている訳じゃない。でもなぜか分からないが、私には誰も話しかけてくれない。高校三年間、誰も私と関わろうとしてくれる人は1人としていなかった。

家に帰ると、母親から父親の悪口を八つ当たりされる。父は仕事ばかりで家事を手伝ったことがない。それなのに、母の教育方針に父はあれこれと口を出す。


《今が大事な時なんだ。勉強をちゃんとさせろ。》《お前にはあいつの将来のビジョンがないのか》《あいつのことちゃんと見とけよ》《俺に黙って勝手に大学決めんなよ》


と、こんな風に母に私が受ける教育について口を出す。

父は私を何だと想っているんだろう。

私の将来のビジョンというのがあるのなら、それは私が決めることなのに。

だから母は本当は私のことを考えて、私の行きたい道に進ませようとしてくれてる。でもそれをあの父が許さない。だから母が父の悪口を私に八つ当たりするのは仕方がないのだ。私は黙って粛々と八つ当たりされる日々。

学校にも家にも私の居たいと想える居場所はどこにもない。


そして、私はある日、ぷつんと糸が切れたかのように、ふらふらと近くのマンションに入って、フェンスを乗り越えて、飛び降りようとした。しかし━━━━━━━━


???「ねぇ君。」

「!」


誰かが声をかけてきたのだった。


???「どうせ死ぬなら私と遊ばない?」


話しかけてきたのは、黒いうさ耳のパーカーのフードを被って、顔にバツを書いた紙を貼って、棒付きキャンディを舐めてる女の子だった。


この話は、この少女と私「依鈴」によって行われる生存逃亡譚である。


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依鈴「……あなたは誰?」

???「わたし?わたしはハルヤって言うの。一応神様なんだ〜」

依鈴「……は?」


死のうとしている者の目の前にいるとは想えないほど緊迫感のない上に、自分のことを神様と呼んでいる……

何を言ってるんだと謎が深まるばかり。


ハルヤ「不信感で一杯だね!ひゃはは。その表情たまんない!君自分で想ってるより面白い奴だと想うよ?」


「ハルヤ」と名乗った少女は、フェンスにもたれかかってキャンディを舐めながら話す。


ハルヤ「わたし今日一日暇なんだ〜どうせ君死ぬんでしょ?だったらわたしと一緒に遊ぼ!お金出すから!」

依鈴「は、はぁ……いや、でも私は……もう今すぐ死にたいので……邪魔しないで下さい」


依鈴は、また飛び降りようとした。


ハルヤ「でもここからだと多分死ねないと想うよ?人間って死にたい!って想った時ほど中々死ねないんだよね〜……一番おすすめの死に方は電車に飛び込むか、飲んじゃいけない系の薬を沢山飲むぐらいかな……?その薬だって簡単に手に入らないし、君が想ってるより沢山飲まないといけないんだよ〜しかも痛みだってあるしね?自殺ってめっちゃくちゃ難しいの。」


この少女、今から死のうとしてる者におすすめの死に方なんてものを教えている。依鈴はとても引いた。


ハルヤ「だから死にたいならわたしに協力してよ!」

依鈴「きょ、協力?」


ハルヤはクルッと回転すると、依鈴の方を向いて話し出した。


ハルヤ「わたしと一緒に遊んでくれるなら、その時君が死にたいと想っていたら君のこと楽にサクッと殺してあげる♡」

依鈴「!」


依鈴は、背筋が寒くなった。簡単に「殺す」なんて言葉を使われ、とてもびっくりしたのだ。しかし、それと同時に……なんだか希望が出てきた。この少女の誘いに乗れば、楽に死ねる。簡単に楽になれる。…………あの生き地獄から解放されるのだ……!最初は少女を疑ったが、この少女の誘いは何故だかとても信じられる真実味があった。

まるで昔から知っている

親友のような……家族のような……


依鈴「分かった。ハルヤさんの誘いに乗ります。」

ハルヤ「やった!そう来なくちゃね!人間らしくて大変よろしい!」


「じゃあ行こっか!依鈴!」

と、張り切って依鈴の手を繋ぎ、引っ張っていく。


「(名前名乗ったっけ?)」と一つの疑問があったが、ハルヤのテンションに付いていく中でその疑問は薄れていった。


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ハルヤ「いやぁ……下界に降りるのは久しぶりだから色んなことが楽しめそうだ!ひゃはは!」

依鈴「…………」


「(こんな世界に楽しいことなんて……)」


ハルヤ「「こんな世界に楽しいことなんて」……って想ったでしょ?」

依鈴「!、ハルヤさん何か超能力でも使えるんですか……?」

ハルヤ「いやいや、何となく分かっただけ!ひゃはは!それから名前!ハルヤで良いよ!敬語も使わなくて良い!なんかくすぐったいし!」

依鈴「…………分かったよ」


「じゃあまずは……」

と、ハルヤは依鈴の手を引っ張って指を指す。


「カラオケ行こ!」


依鈴「何でカラオケなの?」

ハルヤ「歌いたい曲があったから!」


こうして、ハルヤと依鈴はカラオケに行くことになった。


ハルヤ「先、依鈴、歌って良いよ!」

依鈴「は、はぁ……じゃあ……」


依鈴は、最近受験勉強で自分の好きな音楽なんて久しく聴いていなかった。だからカラオケで歌を選択した時、自分の「好きなもの」に触れられて、少し暖かい気持ちになれた。


依鈴「この曲歌うね」

ハルヤ「うん!」


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ハルヤ「すごいね!歌上手い!!優しい歌声と歌い方だった!」

依鈴「あ、ありがとう……」


ハルヤは、力いっぱい拍手した。久々に他人に褒められ、とても嬉しくなった。


ハルヤ「じゃあわたしの番だね!」


ハルヤが選んだ曲は……


依鈴「こ、子守唄!?」

ハルヤ「そうだよん!ひゃはは!」


ハルヤは、子守唄を選び歌ったのだった。依鈴は昔、母が依鈴の小さい頃お腹をポンポンしながら歌ってくれたことを想い出す。


ハルヤ「…………どう?中々でしょ?」

依鈴「……なんだか懐かしい気持ちになった。」

ハルヤ「懐かしい?」

依鈴「……昔お母さんが歌ってくれたの。お腹を優しくポンポンして私が寝るまで歌ってくれた。……本当に懐かしいな。」

ハルヤ「へぇ……良かったね。」

依鈴「何が?」

ハルヤ「ちゃんと家族との想い出に優しい想い出があったって気づけて。」


ハルヤは、顔が見えないが優しく微笑んでいるように依鈴は感じた。


依鈴「(でも、もうあの頃には……)」


依鈴は、俯いた。その姿をハルヤはじっとみていた。そして……


ハルヤ「依鈴。その暖かい想い出があるなら依鈴の家族と自分の気持ちを話してみても良いと想う。分かって貰えるかは分からない。でも自分の気持ちを押さえ込んだままだと心が壊れちゃう。」


依鈴「……!」


すると、ハルヤは依鈴の頭を撫でた。


ハルヤ「依鈴はさぁ。今きっと寂しいんだよね。どこにも居たい場所がないって想ってるんだよね。」

依鈴「…………」

ハルヤ「よく自分のことを好きにならないと他人から好かれないなんて言うけど、誰かに自分のことを好きになって貰えてそれで初めて自分のことを好きになれるのかなって想えてくる気がすると想うんだ。……めんどくさいねぇ。人間って。」

依鈴「…………」

ハルヤ「まっだから人間は面白いんだけどね……!」

依鈴「……人間のどこか面白いんですか……!?」


依鈴は、思わず怒鳴ってしまった。


ハルヤ「人間は自分の気持ちを自分の口で、自分の言葉で、伝えないと分からない。伝えても分からないこともある。察して欲しいと想っても、中々察してくれる人なんていない。自分の気持ちをそのまんま伝えたら相手が傷つくかもしれないし、喜んでくれるかもしれない。逆に自分の気持ちを曲げながら伝えたら傷つけてしまうこともあれば、喜ぶ時だってある。伝えることをしなくても傷つけてしまったりすることあるし、喜んでもらえることもある。そして喜ぶのも相手は喜ぶかもしれないけど自分は苦しい時もある。相手は喜ばなくても自分は喜ぶこともある。その人には良い伝え方でも、誰かにとっては良くない伝え方っていう可能性もある。人間同士が関わっていくと様々な良いことも悪いことも起こっていく。良いこととしても悪いこととしても決められないことだって起こる。そうやってみんな自分を構成する一部分を生み出していく……とっても面白くない?」

依鈴「…………私は人間なんて嫌いだから」

ハルヤ「そっかそっか!ひゃはは!それもまた良し!依鈴を構成するものの一つだもんね!」

依鈴「…………話変わるけど、どうして子守唄を選択したの?」

ハルヤ「この歌しか知らないのと、あとは一番好きな歌だからかな?ひゃはは!」


プルルルとカラオケの受話器の音がする。そろそろ終了の時間だ。


依鈴「そろそろ出よう」

ハルヤ「そうだね!」


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ハルヤ「うーん美味しい〜!」

依鈴「そんなに買って大丈夫なの?私の分まで出してもらって……」


ここは、喫茶店。ハルヤが「甘いものが食べたい!」と言って連れてこられたのだった。


ハルヤ「気にしないで!わたしお金沢山持ってるから!」

依鈴「まぁハルヤが良いならいいけど……」


ハルヤは、クリームメロンソーダ。依鈴は、カフェラテを飲んでいる。


依鈴は、中学生の頃友達と一緒に来たことを想い出す。


「(あの頃は良かったな……)」


ハルヤ「どうかした?」

依鈴「!、いや別に……昔友達と来たことがあって……」

ハルヤ「へぇその友達とはもう関わってないの?」

依鈴「高校入ってからは疎遠になったから……」

ハルヤ「わたしから言うのおかしいけど、少しでもまた前みたいに仲良くしたいって想ってるなら連絡してみるのも良いんじゃない?」

依鈴「でも、迷惑がられるかもだし……」

ハルヤ「その人たちは迷惑がる人たちなの?」

依鈴「…………」


《依鈴〜!一緒に帰ろ!》《私また忘れ物しちゃったよ!依鈴〜貸して〜お願いします!》《明日一緒に買い物行かない?》《はいこれプレゼント!》


依鈴「…………」

ハルヤ「ねぇ依鈴。暖かい想い出って辛い時に想い出すとさらに苦しくなることもあるよね。でもその想い出を作るのに手伝ってくれた人たちとまた一緒に"今"想い出を作りたいって少しでも想ってるなら話しかけてみるのも良いんじゃないかな?誰かが待っててくれてるかもしれないから。依鈴から話しかけて来ることを。でも自分で話しかけるのはとても勇気のいることだから。だからわたし願ってる。早く依鈴をみつけてあげてって。遠くにいるなら走ってなるべく早く辿り着いて早くみつけてって。この世界で依鈴のように独りぼっちと感じてる人も他にもいると想う。そういう人と出会えたら依鈴もその人もお互い独りじゃなくなる。依鈴もそういう人たちを見つければ、見つけ合えば、依鈴は独りじゃなくなる。」


依鈴「……独りじゃ、ない……」


依鈴は自分のことをここまで考えてくれるのがとても嬉しかった。でも一つ疑問があった。


依鈴「どうしてそこまで私に執着するの?


すると、紙越しにハルヤはクリームを一口食べると、その食べたスプーンを口に当てて、言った。


ハルヤ「私のただのエゴ♡」


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喫茶店を出ると、空には満月が浮かんでいた。


ハルヤ「じゃあそろそろタイムリミットだね。」

依鈴「…………え?」


すると、ハルヤは依鈴の手を引っ張って、近くのビルに入る。


ハルヤ「依鈴。さっきの約束を果たそう。依鈴は今どうしたい?」

依鈴「…………」


ハルヤと遊んで色々なことが判った。

苦しかった家族との間に大切な想い出がちゃんとあったこと。

この世界で同じように独りぼっちで苦しんでいる人がいること。

そういう人たちと見つけ合えば、独りじゃなくなること。でも……


依鈴「この先、またもっと死にたいと想ったら……また、絶望したら……どうしたら良いのか分からなくなったら……何も分からなくなったら……私はどうすれば良いんだろう」


ハルヤは、俯いてる依鈴を真っ直ぐみた。


ハルヤ「依鈴。どうしたら良いのか分からなくなったら、どうもしなきゃいいんだよ。好きな漫画を読んだり、好きな音楽を聴いたり、眠れるなら眠ったり、そして、泣けるなら泣いたり、そうしていくと案外簡単にどうしたら良いのか分かることもあるんだよ。それでも分からないなら分かるまで休めば良いの。」

依鈴「…………!」


「さぁどうする?」

ハルヤが依鈴に問う。


依鈴「……あと少しだけ頑張ってみる。」


すると、ハルヤは紙越しに安心したように笑った……ようにみえた。


ハルヤ「じゃあこれで依鈴の生存逃亡はひとまず終わりだね。」

依鈴「色々ありがとう。ハルヤ。」

ハルヤ「ううん。全部依鈴の力だよ!依鈴は頑張ってるんだから。またいつでも逃げてね。」

依鈴「うん。そうだね……笑」


「また遊ぼ……」と依鈴が言いかけたその時、


ハルヤ「……じゃあね、依鈴。わたしちゃんと見守ってるからね。」


ハルヤの周りを桜の花びらが竜巻と一緒に舞っていた。徐々に竜巻が強くなり、ハルヤがみえなくなっていく。


依鈴「ま、待って……!まだ話したいことがあるのに……!」


依鈴は、ハルヤに近づこうとするが竜巻のせいで近づけない。


ハルヤ「バイバイ。依鈴。」


こうしてハルヤは、消えていった。


依鈴「行っちゃった……」


依鈴は、とても寂しい気持ちになったが、心は晴れ晴れとしていた。


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依鈴「ただいま」

「おかえりなさい」


依鈴は家に帰った。相変わらずイライラしている母。でも依鈴は、その母に話をすることにした。


依鈴「お母さん。言いたいことがあるの。」

「何?そういうの後にして」


依鈴は、諦めない。


依鈴「今ちゃんと聴いて欲しい。お願い。」

「もう……何?」


依鈴は話し出した。


依鈴「私のためにいつもお父さんから庇ってくれてありがとう。お父さんから沢山酷いこと言われて苦しいと想う。辛いと想う。私の意見を優先したいという気持ちとお父さんの強要が板挟みになってパニックになるのも当然だと思う。私のこと想ってくれてるのも分かってる。でもね……」

「…………」


依鈴は、緊張の頂点まで行っているが、頑張って話を続ける。


依鈴「私の話も聴いて欲しいの……!お父さんの悪口を言われるのも。イライラしながら話されるのも本当に恐いし、嫌なの。お母さんは苦しいと想うけど、本当に申し訳ないけど、それでも辛いの。私の気持ちを知って欲しいの。知ろうとして欲しいの。」


すると、依鈴の母親が口を開いた。


「…………ごめんね。依鈴。」

依鈴「!」

「そんな風に想わせてしまっていたのに全然気づかなかった。気づいてあげられなかった。本当にごめんね。」


すると、依鈴の母親は泣き始めた。


依鈴「お、お母さん……」


依鈴は、そっと母親を抱きしめた。


依鈴「謝らなくて良いよ。分かろうとしてくれたらそれで充分だから。これからは一緒に考えていこう。」

「……ありがとう…………」


二人はお互いを抱きしめあった。


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依鈴「「久しぶり!元気にしてる?」と」


依鈴は、メールを送った。すると……


《おっ!久しぶり〜!元気してた?私は元気!全然話できてなくてごめんね(;;)》


メールの返信が送信された。


「「全然大丈夫だよ!気にしないで!」」

《そうだ!今週末出かけない?都合つく?》


依鈴「!」


依鈴は、嬉しすぎて舞い上がりそうになった。


「「空いてるよ!また遊ぼ!」」

《わーいやった!!じゃあ今週末会おうね!》


依鈴は、とても喜んでテンションが上がった。


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依鈴「よし、自分から話しかけてみよう。今一人でいるのは……」


教室を見渡すと、ある女の子が一人で本を読んでいた。


依鈴「あの〜ちょっと良いかな?」

「…………!………何?」


依鈴は、勇気を出して話し出す。


依鈴「一人でいるから話しかけてみたの。いつも本読んでるしょ?どんな本読んでるの?」

「童話だよ。」

依鈴「童話かぁ。私も童話好きだよ!シンデレラとか赤ずきんとか!」

「そうなの?私も好きだよ!特にこういうとことか……」


話に花が咲き出した。こうして話していく中で徐々に距離を縮める二人。そして友達になることが出来た。


「実はずっと前から話しかけてみたかったんだ。」

依鈴「えっそうなの?!」

「うん笑。でもいつも俯いてたから話しかけて良いのか分からなくて……ごめんね?」

依鈴「ううん大丈夫!こっちこそごめんね……」

「いやいや気にしなくて大丈夫!何か理由があったんだろうし!」


「だから本当に気にしないで!」



  「「春谷(はるがい)さん!」」



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春がやってきた。

依鈴は新しく大学生になる。

父親ともいざこざがあったが、頑張って闘った。


どうしなくちゃ分からなくなったら休んで良い。

私は独りじゃない。

あの人ならきっとそう言うよね?笑


晴れて依鈴は自分の心から志望した大学に行くことが出来た。


ちーんと、仏具の鈴がなっている。線香がたかれ、仏壇には、小さな箱が置いてあった。その中には小さな骨が入っている、


依鈴「お姉ちゃん。私を生かしてくれてありがとう。お姉ちゃんは、流産で亡くなっちゃったけどそれでも私のこと心配して来てくれたんだよね。」


依鈴は、骨の入った箱を撫でる。


依鈴「私まだ死にたい気持ちはあるけど、それでも頑張って強くなりたい。だからあの世で見守っててね。お姉ちゃん。」


桜が満開に咲き誇り、花びらが舞い、春風に包まれて依鈴は自分の速度で一歩一歩自分の人生を踏みしめていった。


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自殺志願者とエゴ神様 屑井露天気雨 @kuzuirotenkiame

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