3. Conviction 《確信》
◇◆
目の前の真っ白な少年を招き入れる。
一瞬ためらったのは見逃さない
この少年は絶対に何かある
「さぁ……中へ。今日の《訓練》内容を説明する」
……恐る恐る入ってくる少年は、少しずつ、だが確実に消耗しているように見える。
これは少年と、世界のためだ。
やらなくてはならないこと。
今のところ方法は、これしかない。
「肩関節の構造はもう分かったかね」
「…はい」
「よろしい。他人と、自分を治せてこそ漸く臨床的に使える。他人だけではなく自分自身が負傷した時に治せなかったり手間取っていたら意味がない」
「はい」
「肩はもう終わりだ。今日からは膝関節に移る。…早速前十字靭帯断裂患者を診てもらうつもりだったがリアムがまだ来ていない。来るまで肩の患者の治療をして待っていろ」
一瞬、青ざめたような顔をした
患者の次は自分かもしれないと思ったのだろう。
この少年がここへ最初に来たのは小学生になってすぐのことだ。ここへ通い始めてもう2年になる。
最初はまだ幼稚園児の面影が残っていたがその時よりも大分背が伸び、すらっとしたようだ。だが三年生にしては平均よりも随分と小さい。
伏せた長くて白いまつ毛の合間に覗く金色の瞳は、光を失ったように視線を宙に向けている。
今日は膝の前十字靭帯の再建をさせる。こんなのはリアム同伴じゃなくたっていいのだが、今日はこの少年の胸にある《刻印》の話がある。
リアムから、3人できちんと話がしたいと申し出てきたものだ。今までも何度も申し出があったが、ずっと断ってきた。だが、私も最近気になっていることがある。
今日、この後来るはずだ
特殊魔法『
だが私はこの子が《マリア》だと確信している。
この子の魔法発動を見るたびに、神々の祝福を錯覚する。
これは、異常だ。
ここ、《共同魔法研究所》では、小学生以上の「特殊魔法を発現した者」の《検査》と《訓練》を行っている。
私はここに長年勤めているがこの子は異彩を放っている。
そしてこの《刻印》は……
知りたい
そして、
私を冥府から解放してくれ……
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